院長コラムで院長を知ろう！矯正歯科専門医　河合悟が思うこと。

　週刊朝日１２月４日号に「入居金と月額費用で決める！全国有料老人ホーム１５７２」と言う記事がありました。２０００年に介護保険制度がスタートして以来、有料老人ホームが急増し、老後の終の棲家として有料老人ホームを選ぶ人も増えているのに対応して、その費用を調査していました。費用の目安として「５年間入居した場合の平均月額費用」を算出し、都道府県別に費用が高いものから一覧表が作製してありました。
　自分も老後に子供に迷惑をかけるわけにはいかないので、何れはこうした介護の施設にお世話になるつもりだったので、参考までに福岡県のところを見てみると、そのトップに見覚えのなる名前が載っていました。
「アビタシオン浄水」５年入居時平均月額費用５８．５万円、入居金１５５０～６１００万円。
　
実は数ヵ月前、訳あって私は、「アビタシオン浄水」に行ったことが有ったのです。その時は「アビタシオン浄水」がそんなに高い費用がかかる施設とは知らずに施設長に方にお願いに訪れたのですが、立派な施設や調度品に感心させられました。お願いと言うのは、「アビタシオン浄水」のすぐ近くに私が作った美容室「スタイル　エフ」があり、美容室のお客様の中に「アビタシオン浄水」にお住まいの方がおられたことから、「アビタシオン浄水」にお住まいの方々に「スタイル　エフ」を紹介して頂けないかと言う事です。お年寄りなので、連絡頂ければお迎えに伺いますし、気分転換に散歩がてら丁度いいのでは、と言う事で提案に伺ったわけです。

　そこで、私は施設料の方から思いもよらぬ提案を受けました。「アビタシオン浄水」の居住者を美容院に紹介するなら、紹介料として料金の１０％を施設側に支払ってほしいとの提案です。私としては、料金を通常よりも値引きしてほしいと言われるかも知れないと心配していましたが、まさか紹介料を要求されるとは思いもよりませんでした。私の美容院は、広告宣伝費等の無駄な費用を押さえリーズナブルな価格を追求しているので、お客様にもディスカウントは一切ありませんし、それをしたら経営が成り立ちません。当然、この紹介料の支払いもお断りしました。私としては、せめて特別なサービスとしてお年寄りの送り迎えをして差し上げることを提案したのですが、どうも相手を甘く見ていた様でした。

　これでは、わざわざ高い費用を払って入居者が施設の商品にされてしまった様なもの。納得できますか？ホテルのコンセルジュのようなサービスを提供すると言う「アビタシオン浄水」のロビーには、レストラン、観劇、旅行、そして美容院と様々なサービスを紹介した冊子が置かれていましたが、それら全てが施設側の利益が上乗せされた料金で提供されているのです。入居者としては、月額の費用は単なる家賃ではなく、そうした様々なサービスを提供してもらうための費用と考えていると思いますが、実態は入居者を商品にしてさらに利益を得ると言う事業モデルだったのです。おまけに「アビタシオン浄水」は、国の補助金が投入されている独立行政法人都市再生機構の作った薬院大通センタービルにあるのに、入居者を欺く様な事業が行われているとは信じられません。有料老人ホームの全てが同じだとは言い切れませんが、最も費用が高い施設がこの実態ですから、後は推して知るべしでしょう。

　こうなったら、やはり自分で弱い立場の高齢者が安心して暮らせる施設を作るしかないと改めて思いました。矯正歯科医として働いた後は行政の規制に影響されない本当に必要なものを充実させた、髙品質でリーズナブルな有料老人ホームを創りそこの施設長となり、そこで暮らす。これを次の目標にしようと決意を新たにしました。