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院長コラムで樋口矯正歯科クリニックの院長を知ろう!河合悟が思うこと。

医療矯正と美容矯正院長コラム

2021/05/04 医療・健康

昨年の9月に「矯正治療の灯が消える」と題したコラムを書きましたが、再び矯正歯科治療の大きな変化について書かずにはいられなくなりました。4月7日の日経新聞に「アジアの若者、マウスピースで歯の矯正 アプリで診断も」と言うシンガポールでマウスピース矯正治療が人気を集めているとい言う記事が掲載されました。記事によると企業が治療希望者(患者)契約し、患者さんは企業と提携した歯科医院で診察と装置の型取りをして、後は企業から装置が送られ、2週間に一度アプリで歯科医のオンライン診察を受けて治療完了と言う事でした。これで治療費は20万円ほどとのことですが、これが治療と言えるのか?少し疑問ではありますが、このオンラインマウスピース型矯正を行う企業はシンガポールだけでなくタイやフィリピンにも進出して東南アジアでビジネスを拡大中です。東南アジアでのマウスピース矯正の普及に伴い、マウスピース矯正再大手のアメリカのアラインテクノロジー社も東南アジアでの事業家拡大を図っているとのことです。そして独スタティスタによると、マウスピース矯正の市場規模が27年には77億ドル(約8400億円)と、10年で4倍近く伸びると予測されていると記されていました。

 この記事からも分かるように世界中でマウスピース矯正が拡大し、歯の矯正と言えばマウスピース矯正という時代がやって来ようとしています。このままでは今まで矯正治療の主流だったブラケット装置を歯に装着するという処置が必要な以前からの矯正治療は、瞬く間にマイナーな矯正治療となっていくのかも知れません。

 マウスピース矯正が広がっている原因は、簡単、低価格、目立たないと言う大きなメリットがあるからと言われていますが、私はもっと根底的な原因があると思っています。それは社会が、患者さんが矯正治療の結果に対して求めるものの変化です。従来矯正治療は歯科治療の一分野あり、あくまでも医療の一部と認識されていましたから、歯学部教育の中に歯科矯正学があり、当然、治療目標は正常咬合とされてきました。しかし、現在矯正歯科のホームエージを見ても、前述の日経紙の記事のようなメディアを見ても、そこに書かれているのは「キレイな歯並び」であり、正常という言葉はどこにも出てきません。

 これは、矯正治療が見かけを変える治療?となり、ある意味ファッション、美容の一分野となった事意味しているとしか思えません。そして、この変化は、矯正治療を受ける患者さんと矯正治療を提供する歯科医あるいは業者の両者にとても好都合なことです。少し考え分かる事ですが、「キレイ」には基準がありません。「キレイ」は主観的ですから、個人個人、民族あるは時代によって「キレイ」の基準感覚は違います。一定の基準がない「キレイ」になるが、今の矯正治療の目標ですから、例えば凸凹の歯並びが歯が並べば「」キレイ」になったと言えば、たとえ治療後に上下の歯が上手く咬めていなくても、前歯前に出ていて唇が閉じにくくても、それは矯正治療が上手く出来た事になってしまいます。

 治療のゴールに基準がない、つまりは行き当たりばったりですから、治療が簡単なのは当たり前です。その結果、治療効果が不確かなマウスピース矯正や裏側の矯正装置が広く行われるようになってきたわけです。マウスピース矯正や裏側からの矯正装置では、ゴムを使って上下の歯を連動させて動かすことは難しいですから、咬み合わせ(咬合)を正常にもっていくことはほぼ不可能な事は容易に想像できます。ですから、現在大多数の矯正治療のゴールは「キレイな歯並び」であって、「正常咬合」ではないのです。

 つまり一口に矯正治療と言っても「キレイな歯並び」と「正常咬合」の二つのゴールが混在しており、その区別が曖昧なのが現状です。明らかに目指すゴールが違うのですから、私はこの二つを明確に区別して「キレイな歯並び」をゴールとする矯正治療を「美容矯正」、「正常咬合」をゴールとする矯正治療を「医療矯正」と名付けたいと思います。

 これは、医科で「形成外科」から、「美容外科」と言う分野が別れていったのと同じ事です。本来形成外科は、事故や病気で欠損したり変形したりした組織や形態を以前の状態に回復する治療でしたが、その医療技術を活用して「キレイ」を目指したのが美容外科です。「キレイ」という客観的な基準がないものを目標としていますから、当然、患者さんと術者の想定する「キレイ」が相違することは当然で、その為に治療結果に対するトラブルも尽きません。

 「美容矯正」は正常咬合を目指していませんから治療後も咬合は異常なままの可能性が高く、再び歯並びが悪くなるのも仕方が有りません。歯も体の一部ですから、異常があれば段々悪くなると言う当たり前のことです。しかし、「美容矯正」を本当にファッションと美容と捉えるなら、メイクが崩れたらやり直すように、髪が伸びてヘアースタイルが崩れたらまたカットする様に、歯並びもまた乱れたら「美容矯正」をすると言う感覚になるのかも知れません。

 いずれにしても矯正歯科は、今、「医療矯正」と「美容矯正」とに別れると言う、大きな変革期になるのではないでしょうか?この事を矯正歯科医はしっかりと認識する必要があります。「医療矯正」を行う技術、知識があるにもかかわらず、簡単だから、手っ取り早くお金になるからと「美容矯正」に走る矯正歯科医も沢山見かけますが、この短絡的な行為こそが自分の首を絞めることになるのが分かっていません。マウスピースを患者さんに渡すだけ、つまりは矯正装置を売っているだけですから、歯科医であれば誰でも同じ、もっと進めば前述のシンガポールのように企業が主導する治療となってしまいます。今までは矯正歯科医同士が患者獲得を競っていたのが、いつの間にか一般の歯科医、マウスピース矯正装置を作る大企業と患者獲得競争を行う事態となってしまうからです。

 そうは言ってもこの矯正歯科を取り巻く変化は、アメリカを発生源として世界十へ広がりつつありますから、もう止めようがありません。ですから、矯正治療におけるトラブルを防ぐためにも、矯正治療を受けようとする人が矯正治療には、「正常」を目指す「医療矯正」と「キレイ」を目指す「美容矯正」がある事を知っておくことが重要です。貴重な時間とお金をかけて、矯正治療を受けたのに治療結果に満足出来ない言う事がないように、自分自身が何を目的に矯正治療を受けるのか?考え、それにあった矯正治療を受けてもらいたいと思います。

 最後に、私の樋口矯正歯科クリニックはあくまで「正常咬合」を治療目標とした「医療矯正」を今後も追及していきます。。しかし正常という基準に達するのには困難が伴いますから、当然優れた治療技術や治療効果が優れた矯正装置の選択が必要ですが、それと同時に患者さんの協力が一層重要です。一般の病気の治療と同じように私たち術者と患者さんが手を取り合って「正常」を目指して頑張る矯正歯科クリニックになるようスタッフ一層一層努力するつもりです。

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