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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

呪われた東京オリンピックは中止してください。院長コラム

2021/04/01 社会問題

東京オリンピックの開催が決まった時、2013年10月の院長コラムに「祝? 2020年 東京オリンピック」と題して、オリンピック開催に懐疑的なコラムを書きました。そして今、2020年が一年延期となり、いよいよ開催時期が迫り聖火リレーもスタートしてしてしまいましたが、医療に携わる者としては、 改めてオリンピックの開催に反対するコラムを書かないではいられない状況になってしまいました。

 2013年の誘致の時を思い出せば、安倍元首相が被災してメルトダウンした福島第一原発が事故復旧作業の目処も立っていなかったにも関わらず、「Under control」と言っていたわりには、未だ燃料棒の取り出しどころか放射能で汚染された処理水の処分方法さえ行われていません。震災をダシにして「復興五輪」と名付けて、国民が反対意見を言い難い様にしいましたが、どう考えて原発事故から福島が復興したとは思えません。

 さらに、猛暑で日中の外出は熱中症の危険があると言われる位の7月の東京の気候をオリンピックに最適と吹聴して、やっとの事で誘致に成功しました。しかし、やはり日中のマラソン競技は熱中症のリスクが高すぎるという事で早朝に実施する事になり、オリンピック招致委員会の招致広報の嘘が世界に知られることになりました。招致の時点から嘘で塗り固められた東京オリンピックがトラブル続出なのは、因果応報かも知れません。

 まずは盗用疑惑でのシンボルマークの変更、招致した猪瀬直樹東京知事は不正献金問題で都議会に於いてバックに現金を詰め込む実演までしたあげくに嘘がバレ辞任、その後を引き継いだ桝添東京都知事も政治資金や知事交際費の私的流用疑惑で辞任、メインスタジアムは巨額予算が問題となり建築家を変更して再設計、その他の競技施設も開催場所も含めて変更の連発でした。ここまでのトラブルの数々を見れば、東京オリンピックを政治家の嘘が招いた「呪われたオリンピック」と呼ぶことに多くの人は賛同するでしょう。

 しかし真の禍、呪いは、その程度では収まらなかったのです。いよいよ開催となった昨年、ついに招致の時の嘘のたたりか?新型コロナウィルスの感染拡大で前代未聞の開催の1年延期となってしまいました。ついでに大嘘をついて招致した安倍首相は体調悪化で首相を辞任すると言うおまけ付きです。それでもこのまま何とか一年をやり過ごせば無事開催と大会関係者は思っていたことでしょうが、神様はそんなに甘くはありませんでした。

 年が明けると、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言が世界中に拡散して会長を辞任する事態となり、招致活動当初から関わっていた政治家は全て消え去りました。不運と言うのか?自業自得なのか?は分かりませんが、とにかく「呪われた」言う言葉のごとくの顛末です。

 それでも心配されていた新型コロナウィルスの感染も年末年始の第三波のピークを越え2月末には感染も収まってきてホッとしていましたが、桜の開花と共に再び感染が拡大しています。それでも政府は面目にかけてオリンピックを開催するつもりですから、国民の多くは1月に発出された緊急事態宣言の会場に国民の過半数は反対だったにも関わらず、緊急時体位宣言を解除して、聖火リレーをスタートさせました。

 聖火リレースタートを合図とした訳ではないでしょうが、これ以後感染は急激に拡大し宮城では過去最高の感染者数を記録していますし、いち早く緊急事態宣言を解除した大阪では東京を越える感染者数を記録しています。緊急事態宣言解除後も「密の回避」、「大人数での会食の自粛」等々で人の動きの抑制を中心としたコロナウィルス対策を政府は叫んでいますが、一方では人が集まるに決まっている聖火リレーをスターとさせるというちぐはぐな対応では、国民がこれ以上自粛生活に協力しようと思う訳はありません。

 政治家や厚労省の官僚が深夜まで飲み歩いていると言う報道から、政府がコロナウィルスの感染が重要だと口では言っていても、「もうコロナは心配ない」、「何とかなる」と政治家も官僚も心の中ではそう思っていると国民は感づいています。それに加えて海外から関係者を含めると6~9万人が来日するというオリンピックの開催ですから、ある意味政府は「新型コロナウィルスは終わったこと」と暗に吹聴しているような物です。

 しかし、本当にオリンピックを開催して、国民の安全が保たれるのでしょうか?昨年開催を延期した後、オリンピック開催前に大多数の国民、少なくとも65歳以上の高齢者と基礎疾患がある人へのワクチン接種が完了しているとして、政府はオリンピックが安全に開催出来ると言っていました。しかし現在のワクチン接種状況はどうでしょう?医療従事者として優先接種の対象者である私のクリニックのスタッフさえもワクチン接種の予定も立っていないのが現実です。今後3ヶ月あまりで、高齢者と有病者へのワクチン接種を完了することはどう考えても不可能でしょう。

 世界では様々な変異ウィルスによる感染拡大が続いている中で多くの外国人が来日すれば、どんなに検疫を厳しくしてもウィルスの侵入を防ぐことは不可能でしょう。2019年のラグビーワールドカップ後にインフルエンザが大流行したのは、多数来日した来日外国人が様々なインフルエンザウィルスを持ち込んだことが原因だと言うのは、専門家の暗黙の了解です。

 ですからオリンピックを開催するには、従来の新型コロナウィルスに加えて、様々な変異コロナウィルスが日本に持ち込まれる覚悟をする事が必要です。現在、海外では新型コロナウィルスによる死者が日に千人を越える国もいくつもあります。日本の新型コロナウィルス感染により亡くなった方は3月末で9,176名で通常の肺炎でなくなる数よりもずっと少ないですから、政府や国民の危機感も乏しいかも知れませんが、変異ウィルスの感染拡大によっては、いつ日本が海外と同じような惨状にみまわれても不思議はありません。

 開催決定直後には、経済的波及効果を期待して飲食業界や観光業界は開催改正決定を大歓迎していましたが、海外からの観客を入れず、日本人の観客数も制限するでは経済的波及効果も知れていますから、今では開催を望む声もどこからも聞こえてきません。それよりも開催により再び感染が拡大すれば、また緊急事態宣言が発動され経済はもう立ち直れないくらいガタガタになると開催に大多数の国民は懐疑的とアンケート結果も出ています。国民は「復興オリンピック」とも「コロナに打ち勝った証しのオリンピック」とも思っていないのです。

 結局の所オリンピック開催に積極的なのは、関係者とレガシー作りに熱を上げる一部の政治家だけです。もしそれでも、政府がオリンピックを開催するというのであれば、オリンピックの開催が国民の命を賭けた開催になる事を周知すべきでしょう。

 政治家の嘘で固められた東京オリンピックの開催が新型コロナウィル感染による死者激増の惨事を引き起こせば、後世に本当に呪われた東京オリンピックと言われる事なりかねません。国民の命を守るために私は東京オリンピック開催中止を声を大にして叫びます。

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