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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

2010年、新年を迎えるに当たって院長コラム

2010/01/01 

 2009年のトップニュースと言えば、なんと言っても8月の総選挙での民主党による政権交代でしょう。閉塞感漂う日本を何とか変えたいと思う国民の期待を背負っての船出でした。しかし、政権発足直後のドバイショックとそれに続く円高で、経済は混乱、税収の落ち込みが著しく、マニフェストの完全実施は見送られ、期待通りにはなかなか事は進みませんでした。それでも何とか今年こそは、新しい日本の飛躍の始まりとなってもらいたい物です。
 歯科界に於きましても2009年は、エポックメイキングな年となりました。歯科医師過剰が叫ばれる中ついに歯学部の入試で数校が定員割れとなり、歯科医師の苦境が広く一般社会でも認識されていると言う時代の変化を強く感じさせる年となりました。
 矯正歯科の分野でも、私にとっても時代の変化を強く感じさせられる出来事がありました。それは12月に参加した舌側からの矯正治療、インコグニトシステムでのことです。新しく開発されたその治療システムは、患者さんの歯の模型をドイツのメーカーに送るとその歯の模型の歯並びを並べ直しそれに合わせてコンピューターを使いCAD/CAMシステムで装置を作り、ワイヤーも治療ステップ毎に機械で曲げる。そしてその装置とワイヤーがセットで送られてくるので、患者さんにその装置を歯に接着し、指示通りにワイヤーを交換しゴムをかければ治療は完了、こんな治療システムでした。
 矯正治療の難しさは、動かしたい歯だけを動かし、その反作用を如何にして押さえるか、そして装置撤去後に如何にして正しい咬合を維持するかと言うことですが、インコグニトシステムではこの点に関しては全くと言っていい程考慮されていません。私から見れば「こんな治療システムで治るなら、苦労はいらない」と言ったところでした。しかしその後、どうしてこんなシステムが生まれ、そしてそれに疑問を持つことなく治療の取り入れる矯正科医がいるのかと考える内にその答えが分かりました。
 私は、最も基本的な装置を使って治療していますから、患者さん一人一人に最適なワイヤーを自分で曲げ、自分が思うように1本1本の歯をコントロールしています。しかし、私より若い世代の矯正科医達の多くは、平均的な歯の傾きや厚さを調整するよう作製された歯に付ける装置を使うストレートワイヤーと呼ばれる治療方法を行い、ワイヤーを使って自分で歯をコントロールするという事を行っていません。ワイヤーの種類やゴムの掛け方等は、患者さんを見ながら矯正科医が決定しますが、ワイヤーを入れ替えるだけで何となく治療が進んでいくという感じです。そしてインコグニトシステムは、基本を知らないストレートワイヤーの治療しか経験のない矯正科医が、とことん治療を単純化して創り上げたのでしょう。そして私には、これはまるで「ビンに入ったうどんつゆ」だと思えてきたのです。本来うどんつゆは、煮干し、昆布、鰹節で「ダシ」をとるのが基本だったはずですが、時代の変化と共に「ダシ」を化学調味料で代用しうどんつゆを作るのがストレートワイヤー。そして、「ダシ」をとったことがない化学調味料しか知らない世代が作ったのが「ビンに入ったうどんつゆ」つまりこれがインコグニトシステムと言う訳です。
 うどんだしなら一般の人が使うのだからそれで良いかも知れませんが、一流の料亭やうどん屋のプロの料理人が「ダシ」をとったこともなく、「ビンに入ったうどんつゆ」を使っていたら驚きませんか?矯正歯科医はプロフェッショナルだと私は思うのですが、インコグニトシステムで治療する矯正科医は本当にプロフェッショナルと呼んで良いのか疑問です。
 私はもう時代遅れの職人気質の言われる世代になってしまったのかも知れませんが、これからも基本を大切にこだわりの矯正治療をしていきたいと決意を新たにしました。
 さて2010年の年頭に当たり、樋口矯正歯科クリニックの2009年の総括を報告をさせて頂きたいと思います。2009年に新しく来院された患者さんの数(新患数)は、313名で2009年末までの総新患数は9,812名となりました(グラフ参照)
患者さんの年齢構成に大きな変化は有りませんが、18歳以下の学生層の割合は少なく、成人女性が半数以上を占めていました。成人の患者さんの矯正治療では、虫歯の治療が行われていたり、あるいは虫歯で歯を失ったりしていて若年者の矯正治療よりも困難な事も多く、また一般歯科医との連携の重要さを再認識させられています。また、この一年間に顎変形症(手術を必要とするような著しい顎の骨の大きさの不調和がある症例)で外科的矯正手術を施行した患者さんは27名で、開院以来の総数が301名となりました。
 2010年は新患数が10,000名を越える樋口矯正歯科クリニックにとって記念すべき年になますが、基本を忘れず初心に立ち返り、クリニックの願いである"患者さんのことを家族と思い、皆様の健康の維持増進に貢献する"の気持ちを大切にスタッフ一同努力していくつもりです。

本年も樋口矯正歯科クリニックを宜しくお願い致します。

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