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院長コラムで樋口矯正歯科クリニックの院長を知ろう!河合悟が思うこと。

次世代へ繋ぐ院長コラム

2021/09/01 社会問題

8月は終戦の月、様々の所で戦争の記憶や平和への誓いが伝えられます。8月5日の福岡県歯科保険医新聞に シベリア抑留~祖父の足跡をさがして~と言う記事を見つけました。記事は糟屋郡で開業されている國分靖頼先生がシベリヤで抑留されたお祖父様の「身上申請書兼復員証明書」「兵籍簿」を入手され、叔父様の戦争体験に思いをはせ、戦争の悲惨さを後世に伝え、平和を願う内容でした。25年前に他界した私の父もシベリヤ抑留者でしたが、当時の話を聞く機会もなく父の戦時中の事とはほとんど知りません。記事を読んで、父の戦時中の記録も探せるかも知れないと思い、面識もない國分先生に連絡して記録の入手手順を教え頂き、愛知県庁で父のシベリヤ抑留記録の調査をお願いしました。

 父の戦争中のことを調べ始めた時に思い出したのが、父の遺品の中にあった古い文書です。昭和初期に亡くなった祖父の遺書は何とか読めましたが、筆で巻物に書いてある文書は、「家系」とあるので祖先のことが書かれているのは分かりましたがそれ以上の内容は分からず、ほったらかしにしていました。最近手に入れたスキャナーでデジタル化すれは、読める人を探せると思い、お盆休みを利用して早速スキャンして巻物を画像ファイルにしました。そしてインタ-ネットで探した古文書解読サービスに依頼したところ、文書は 慶安3年(1650年江戸時代初期)の日付 の物と分かり、内容を現在解読してもらっている最中です。

 このように私も60歳を過ぎて、自分が親から引き継いだものを整理して、次の世代に繋げていく準備をしているのですが、私の次の世代つまり私の子供達がその次の世代にご先祖様が残してくれた物を繋いでいけるのかを思うと不安になってきます。子供達はもう30代となりましたがまだまだ家庭を持照るような状態ではなく、子供を持つことができるのかどうかも見通せません。

 過去の遺産を次の世代に引き継げなくなるのは、我が家だけの問題ではなく、少子化による社会全体の問題です。超高齢化社会(65歳以上の人口の割合が全人口の21%を超えている状態)を迎えた日本では、高齢者を支える世代が少なく介護や年金等の問題に注目が集まりがちですが、それ以外にも過去の遺産、記憶、記録の継承そして人口増加を前提とした社会システムの維持も大問題です。

 日本は世界に先駆けて人口減少社会、超高齢化社会に突入しましたが、いつの間にかこの問題は日本だけの問題ではなくなっていました。私もつい最近まで、少子化による人口減少は、先進国の問題と思っていましたが、実はもう世界全体が少子化による人口減少に向かっているというのです。日経新聞の特集「人口と世界」によれば少子高齢化で2020年代前半の今が世界人口の減少入り口に差し掛かっており、いずれは世界中で働き手(15~64歳の生産年齢人口)が足りなくなると述べています。

 現在の社会のシステムは全て人口が増加と経済成長を前提として構築されていますから、人口が減っても経済成長を止めないために今まで労働者として重視されてこなかった女性の社会進出や高齢者の雇用を計り、労働人口の減少を補おうとしてきました。家庭での父親母親の役割よりも社会での活躍、高所得の獲得が優先、あるいは良い事、大切な事とする社会の風潮を社会のリーダー達つまり経済界や政界が形成して来ました。その結果、社会で活躍する女性は増加し、労働力は確保できたかも知れませんが、家族や家庭は二の次となり出生率は低下の一途を
たどることになりました。

 労働者が不足するから単に今まで働いていない働かせればよいと言う、単純なあるいは短絡的な政策が、かえって労働人口を減らしてしまうと言う負のサイクルを形成してしまった訳です。人口減少は人類がいまだ経験したことがない事態ですから、人口増加を前提とし従来からの社会システムの運営の延長線上、経験則に従って施策を行っても上手く行かないのは当然です。従来からの常識を打ち破る発想で対処する必要があるのです。

 最近 SDGs(持続可能な開発目標)と言う言葉をよく聞きますが、その内容は貧困や飢餓といった問題から、働きがいや経済成長、気候変動に至るまで、21世紀の世界が抱える課題を包括的に挙げて解決しようとする物ですが、これも実は世界人口の増加を前提としています。人口増加を前提としているから「開発」となってしまうのです。人口減少ならば、開発の必要は無く、今まで人類が築いてきた資産の再分配で十分なはずです。

 地球温暖化防止のための二酸化炭素排出量規制も同様に人口増加を前提にした議論です。人口が減少していくのであれば、いずれCO2排出量は自然に減少していくはずです。おまけにEUでは2035年にはCO2排出量を減らすためガソリンエンジン車の販売を禁止し電気自動車へ転換すると言っていますが、電気自動車をを作る方がエンジンからのCO2排出量よりもよほど多いのでトータルで考えれば馬鹿げた方策という意見もあります。

 18世紀半ばからの産業革命以来世界人口は大きく増加し、人々はスクラップアンドビルドを繰り返すと言う社会システムで経済成長を支え、豊かな暮らしを手に入れてきました。しかし、ここに来て人口減少という新しいフェーズに入ったのですから、もう従来のスクラップアンドビルドで人々幸せを実現できないと思います。人口減少社会に於いては、新しく作るのではなく、従来築いてきた資産をいかに有効に活用するかがより重要なのです。 前述の車の例で言えば新しい電気自動車を作るのではなく、今ある車のエンジンだけをモーターに置き換えるという発想です。

 私達の世代までは過去の延長線上で物事を考え発展させれば良かったのですが、人口減少社会を生きる次の世代は従来の常識を打ち破る、全く違う目で物事を見て考える必要があるのです。そして新しい発想で過去の遺産の有効活用にこそ人類の未来があると思うのです。先人達がそして私達が苦労して築いてきた資産、遺産を次世代が有効に活用して幸せに暮らせることを願っています。

以前の人口減少に関係する院長コラム
日本の将来(2004/2/21)
日本の活力ある未来のための秘策(2004/3/17)

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