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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

社会保障費抑制の切り札院長コラム

2012/09/01 

 衆議院で消費税の増税法案が可決され、いよいよ2014年4月には消費税8%、2015年10月には10%になる事とが現実の物になってきました。政府、民主党は、消費税の値上げの理由は、増大する社会保障費をまかなう為とするばかりで、社会保障費の抑制については何ら策を講じようとしていません。これでは、底のない桶に水をくむような物で、いくら水道の蛇口から注ぐ水の量を増やしたところで桶に水がたまることはありません。普通に考えれば、まず出費の抑制策を講じた上で、どうしても歳入不足が生じた時に国民に負担を要請するのが通りというもの。それなのに抑制策どころか、物価連動で引き下げられるべきだった年金支給額さえも削減せずに年金の払いすぎを続けている有様です。

 一概に社会保障費と言いますが、その内訳を調べてみると大雑把ですが、医療費30兆円(31%)、年金50兆円(53%)、福祉15兆円(16%)合計95兆円(2008年)でした。そしてこのうち、高齢者向け支出が65兆円で全体の70%を占めているとされていました。この70%を占める高齢者向けの支出が今後、団塊の世代が高齢者となる事によって急増し、止めどない社会保障にの増大を招くのです。

 この高齢者向けの社会保障費を抑制するには、医療費と年金支給額を共に抑制する事が必要です。この内、年金支給額については国民年金、厚生年金、共済年金などの年金種別により支給額に大きな隔たりがあり一律に削減することはできず、問題は複雑です。

 しかし医療費の抑制は、比較的単純に考えることができます。要は、高齢者が健康になり病院のお世話になることを減らす方法を考えれば良いだけです。高齢者が健康に暮らすためには健康な食生活が大事として昨年の院長コラムに「医食同源」の記事を書きましたが、食事と共に大切なのが適度な運動です。

 8月26日付の日経新聞朝刊の記事に筑波大学と茨城県大洋村(現在は鉾田市)が96年から共同で繰り広げた健康増進プログラムの成果が載っていました。それによると運動習慣の無い人たちと健康増進プログラムに参加した人たちで、2年間の1人当たりの医療費増加額を比べたところ、運動習慣の無い人たちが9万5614円の増加だったのに対し、プログラム参加者のグループは2万3449円に留まっていたのです。転んでけがをする件数が大幅に減るなど、高齢者の健康を維持できるようになった効果が大きく、それが7万円を超す医療費削減につながったと結論づけられていました。

 結局、健康な食事と適度な運動を心がけ、実践することで健康が保たれ、医療費も抑制できる、自己管理が重要だと言う至極当たり前のことです。つまり、国民の健康に対する自己管理の意識を高める仕組み、制度を作らる事が重要です。

 そこで私が提案するのは、自己管理の怠慢が招く病気いわゆる生活習慣病(高血圧症、高脂血症、糖尿病など)の健康保険の適応除外、あるいは患者負担の増額、そしてタバコ税の大幅な増税です。自己管理できず不健康な生活習慣から生活習慣病になった人の医療費をガンや感染症ように自己管理で防ぐことができない病気の治療費と同じように健康保険で負担するのはおかしな話です。

 自己管理に励み、それこそ健康食品やジムにお金や時間を費やして健康を維持して、医療費を使わない人も、欲望のままに食べたい物を食べ、飲酒に溺れ生活習慣病になり多くの医療費を使う人も健康保険料は同じですから、これは大いに不公平というものです。ですから、生活習慣病に関しては健康保険の適応除外とまでは行かなくても、せめて5割の自己負担にするぐらいは必要でしょう。

 タバコ税も自己管理を徹底させるために大幅に上げる必要があります。喫煙が健康に悪影響を及ぼすことは明かで喫煙者もそれを認めていますが、自分の体だから病気になろうが人からとやかく言われる筋合いはないと言うのが多くの喫煙者の主張です。喫煙でガンなどの疾患になり苦しむのは自業自得でしょうが、その医療費の大半を負担するのは健康保険ですから、喫煙しない多くの人達の負担に頼っていることになります。自己責任で喫煙する以上、喫煙による医療費の増加分は、喫煙者に負担してもらうのが通りです。タバコ税を全額健康保険財源に入れることを条件にタバコ一箱2,000円でどうでしょう。

 自己管理不十分な人に負担を強いる代わりに、自己管理を心がけ医療費が抑制できた人には健康食品やジムの費用の一部を給付するとか、消費税が値上げになった時には健康維持に関する費用には消費税0%の軽減税率を適応するとかの優遇処置も必要でしょう。

 健康の維持にも自己責任の考えを適応し、応分な費用負担を求めることで、個人の健康維持に対する認識、努力を促すことこそが、国民の健康を守り、そして社会保障費を抑制できる一石二鳥の切り札なのです。

 次の衆議院選挙では社会保障費抑制策として、生活習慣病の健康保険適応除外とタバコ税の大幅値上げをマニフェストに書いてくれる政党の出現を待っています。 

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