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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

方針と方法院長コラム

2012/10/03 

 衆議院選挙が近づく中、民主党と自民党の代表選挙が行われ、新聞やテレビで政治に関するニュースが一段と増えています。継続して民主党代表になった野田首相も再び自民党総裁になった安倍元首相も選挙を意識してか、どちらの主張も万人受け、良いとこ取り、いわゆる八方美人で一体この国をどうしたいのか、はっきり伝わってきません。

 今問題となっている大きな政治の課題は、社会保障費、原発、領土そしてTPPつまり経済連携と市場開放の問題です。これらの問題に関して、民主党も自民党もはっきりとした方針を示していません。

 社会保障費の問題では、増加する費用を消費税を上げることで賄い、保障水準を維持するのか?保障水準を下げてでも国民の税負担をふやさないのかの選択です。原発に関しても脱原発か原発依存か?領土に関しても中国や韓国との摩擦で経済的な損失があっても領土を守ると言う主張を貫くのか?それとも領土よりも経済的な利益を選択するのか?経済連携に関しても農業等への影響のリスクを冒してでも国内市場を開放して、グローバルな自由貿易を目指すのか?それとも自国市場に閉じこもるのか?

 結局すべては二者択一、複雑なようできわめて単純です。良い事ばかりは絶対になく、必ずメリット、デメリットが有るのが当たり前です。その上で、国民に方針を示し選挙に臨むのが政治家の仕事です。

 ところが、政治家や政治評論家の議論を見ていると方針を決める議論と言うよりは、それを実現する方法をどうする、こうすると言う方法論に行ってしまいがちです。そして、相手の方針を実現する工程がはっきりしていないから、机上の空論で話にならないと結論づけようとしてしまいます。しかし、方針を実現する方法を考えるのは、政治家の役割ではないはずです。方法を考えるのは行政、つまり官僚、役人の仕事のはずです。どうも政治家や評論家自身が、政治家の役割と官僚、行政の役割をきちんと区別できていないような気がします。

 そして方針を決める時大切なのは「どうやる」ではなく、「なぜする」のかです。どうやると言う方法を考え出すと、細かなことまで考慮する必要が有り「ああでもない」、「こうでもない」となかなか結論に行き着きません。果ては上手く調整すればどちらも納得できる良い方法があるのではないかとの幻想を抱いてしまいます。しかし、そんなうまい話はあるはずもなく、そんなことをしている内に窮地に追い込まれ最悪の結果を招くことになってしまいます。

 所が「なぜする」と考えると、意外に問題は簡単です。例えば原発問題、脱原発か原発依存か、どちらにも解決しなければいけない問題はありますが、詰まるところは現状の発電コストが安いとされる原発に依存するのか、コストの問題よりも安全、安心を最優先して脱原発を選ぶのかしかありません。当然、経済界は国際競争力を維持する為にコスト最優先で原発を推進、市民グループは放射線による健康被害を心配して脱原発、どちらが正しいのかは分かりません。しかし、それをきちんと示し国民に選択する機会を与えるのが政治家の仕事でしょう。

 民主党は、2030年代に脱原発を目指すと言いながら、経済界やアメリカからの圧力で脱原発の方針は揺らぎ、大間原発の建設を再開を認めました。大間原発の完成は2016年になると言われていますから、今、建設を再開しても政府が決めた原発の稼働期間40年の半分にも満たない期間しか稼働しないことになります。真面目に考えればそんな原発を作り続けるのが無駄なのは誰にだって分かります。脱原発を目指すという一方で原発を作る矛盾、これが政治家のすることでしょうか?本当に脱原発を目指すなら、LNGの生産地サハリンに近い大間ですから、さっさと原発からLNG火力発電所に変えるのが良いに決まっています。

 また元々、原発推進してきた自民党も、原発を不安視する世論にすり寄るように縮原発と、経済界と世論の両にらみでどっちつかずで、結局方針を示せていません。

 はっきりした方針を示せない既成政党に対して、橋下徹大阪市長率いる日本維新の会は維新八策で政党が目指す方針を示しました。既成政党や政治評論家からは、相も変わらず方針実現の方法が示されず、理想に過ぎないと酷評続出です。しかし、政治家が理想を求めなくて、国民は国の将来に希望が持てますか?

 方針を示して、選挙で信を問う、これが正しい政治でしょう。そして選挙で信任を得たなら、何としても、どんな方法をとっても、示した方針を実現していくのが正しい政治、国のあり方のはずです。

 どんな組織でもトップの仕事は方針を決めること、それは国のトップであれ、企業のトップであれ同じ事です。トヨタの社長は環境対策の柱はハイブリッドにしていくと言う方針を決めるだけで、どうやってハイブリッド車の性能を上げ実用できるようにするのかを考えたりはしません。社長が決めた方針に従い、社員がその方針を実現する方法を考え、実行するのです。

 ですからトップとして重要なのは「方針」を考え、示す事であり、「方法」を考えることではないのです。目先の利益やしがらみにとらわれず、顧客、国民の利益を第一に考え抜いた「方針」を示せるトップが居てこそ、企業も国も繁栄するのです。

 国民が将来に希望を持てるような「方針」を示してくれる国のトップの登場を願うばかりです。

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