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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

”良医”を育てる院長コラム

2005/04/01 

 昨年(2004年)4月から医科ではプライマリーケア(初期医療)を中心とした幅広い診療能力の習得を目的として、大学卒業後(医師免許取得後)2年間の臨床研修が務化されました。また、歯科でも2006年に1年間の臨床研修が義務化されます。
 従来の臨床研修では、大学病院での専門分野に偏った研修の弊害と、身分や経済的な保障のない研修医のアルバイト当直による医療過誤が社会問題化も指摘されていました。
 そこで、臨床研修の場を症状の重い特殊な患者さんの治療を主体とした大学病院から、より一般的な症例の多い基準に適合した一般病院に広げると共に、国の予算で研修医の生活を保障し、適正な給与の支給と研修中のアルバイトの禁止などが定められました。
これらの改革は、偏に医師の基本的な臨床能力つまり患者さんの状態を読み取り、適切な診断を下し、治療方法を患者さんに伝える能力の向上を目的とした物です。単に専門的な知識や能力が有ることが”良医”でなく、一般社会からは、患者さんと真剣に向き合えることが”良医”には必要とされているのです。
 そうした改革の中、今年医学部6年生になる私の知人が来年の卒業を控え臨床研修を受ける研修病医院の見学に行った様子を話してくれました。何処の病院も将来の戦力となる研修医の獲得には熱心で立派な研修プログラムを用意し、見学の学生に対しても親切そうな様子でした。募集人員に対して応募する研修医が何十倍という研修の希望が多い病院も有るとのことでした。そうした人気病院では、研修医を選別するための入学試験ではありませんが、試験があるとのことでした。大半の病院の試験は、英語での医学論文を読ませて、それに対する質問事項に答えるという形式になっていると言い、ある自分の同級生は、改めて英語の勉強を始よとしていると言っていました。
 この試験の話を聞いて、その研修病院の責任者は新しい研修医制度の目的を本当に分かっているのかという疑問が私に中に湧いてきました。研修医制度の目的は”良医”を育てることにあると思うのですが、英語が出来ることが良医になることの必須条件なのでしょうか?大学院に進んで、医学の研究に従事し、最新の医学情報を英文の論文から手に入れる研究者を育てるなら、それも良いでしょう。しかし、臨床の場で日々患者さんと接し、患者さんと共に生きる”良医”を育てることを目標にするなら、試験の内容も自ずと違ってくるはずです。仮にも、研修医は医師国家試験にも合格し基本的な医学の知識を持っていると国が保障した人たちです。”良医”育てるための試験であれば知識を試すのではなく、人間としての良識や、人を思いやる心、そうした観点で選ぶべきではないでしょうか?
一般社会の人たちが、有名な病院が英語の能力で臨床研修医を選別していると知った時、果たしてその病院を受診したいと思うでしょうか?私ならゴメンです。
 社会で本当に必要とされている”良医”を育てることは、本当に難しいことかも知れません。しかし、こうした現状を広く社会に知らせることで少しでも良い方向に行けばと思い書きました。

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