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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

SNSによる洗脳院長コラム

2024/11/01 社会問題

連日ニュースで闇バイト、トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループの略称)による凶悪犯罪が報道されています。1,2年前まで聞いたこともないような言葉だったのに、窃盗、強盗党の盗難事件を越えて殺人事件まで引き起こし、あっと言う間に社会の安心、安全を脅かす一段問題になってしまっています。それに加えて驚くのは、その低年齢化です。10月下旬に山口県で起こった強盗未遂事件で逮捕された犯人は、何と高校生と14歳の中学生、未成年、いやいや子供と言ってもいい年齢です。大人の闇バイトも問題ですが、未成年、子供にまで闇バイトが広がっているとは本当に衝撃でした。

 こんな低年齢の凶悪犯罪者を作ってしまう原因は何か?それは闇バイトの勧誘システムであるSNSにほかなりません。一度でも例えば#高額バイトとか#短期高収入とかと言うワードをSNSで検索、入力してしまうとそれに関連した情報ばかりをコンピューターやAIが選別して一方的にお勧めとして選んで送ってくれるのです。その結果、当人が見る情報は、闇バイトで大もうけしたとか、簡単に大金が手に入ったとかと言う、多分、闇バイト募集の裏組織が垂れ流した情報ばかりになってしまうのです。そうした闇バイト情報漬けになる事で、いつの間にか闇バイトが一般的に行われているような錯覚に陥り、闇バイト=犯罪であると意識が徐々に薄れていっているように思います。これは「SNSによる洗脳」にほかなりません。

 闇バイトで逮捕された犯人をニュースで見ると、どこにでもいる青年と言う印象でとても人を傷つけるような悪人とは見えませんし、家族や友人の証言からも少し前まではごく普通の若者だったことがよく分かります。そんな普通の若者が殺人にまで及ぶ犯罪者になってしまうのは、本人の道徳心の欠如や遵法精神の低さが一番でしょうが、それ以上に「SNSによる洗脳」が大きく影響する為に、急速に闇バイトによる犯罪が増えたとしか私には思えません。

 SNSの代表とも言えるインスタグラムやTikTokで私が1980年代の車のを検索するとそれ以降は、それに関連する車の情報ばかりが次々と表示されてそれ以外のたとえば最新のEVの情報などは一度たりとも流れてきません。いつの間にか世の中で昔の車が大はやりしているのではと錯覚してしまいそうになります。そんな、偏った情報の世界がスマホの中に出現する訳です。

 この偏ったSNSの情報世界は、犯罪だけでなく様々なところで問題を聞き起こしつつあります。その一番の例はアメリカの大統領選挙でしょう。トランプ元大統領は、移民やトランスジェンダー、あるいは有色人種に対して差別的な発言をくり返し、また移民がペットを食べているというような明らかな嘘を選挙集会で延べ、それに対してテレビニュースや新聞でも嘘が暴かれたり、差別発言を批判されたりしていますが、支持率は一向に下がりません。その原因は、トランプ支持者はトランプ元大統領を賛美するSNSの情報にしか接しいないので、何があってもトランプは正しい、トランプに任せておけば大丈夫と「SNSによる洗脳」で公正な判断ができなくなっているのです。

 私の仕事である矯正歯科でもSNSの影響が日々広がっているように感じます。それはマウスピース矯正の急激な普及です。日本の矯正歯科医のほぼ全てが会員である日本矯正歯科学会がマウスピース矯正は全ての症例に適応できる訳ではなく、特に抜歯を伴う治療には不向きであると結論づけているにもかかわらず、どんな症例でも治療可能とSNSで発信している歯科医院が多数存在しています。そして、マウスピース矯正に興味を持った患者さんが「#マウスピース矯正」とSNSに入力した瞬間から、マウスピース矯正に関係する情報だけが次々と押しつけられ、やがて矯正治療=マウスピース矯正という錯覚に陥ってしまうと言う状況です。これも「SNSによる洗脳」にほかなりません。

 1990年代の後半からインターネットが普及し誰もが簡単に多種多様な情報を手に入れ得られるようになって、政治家や資本家、権力者が情報を都合良く操作する時代が過ぎ去り、個人が多種多様な情報を元に意志決定する時代がやって来ていたと私は思っていました。ところが、ところがSNSの普及に従いテック企業が開発したシステムやAIによって情報が選別されて個人に届けられることで、幅の狭い情報しか得られない、つまり偏った情報だけを得る事になってしまったのです。折角インターネットで情報の溢れる大海原にこぎ出したのに、SNSというナビゲーターに従っていたら入り江に入り込んで大海原から隔離されてしまった感じです。

 私が若い頃、博学の年長者から新聞を何紙も読むようにしないと偏った情報で間違った判断すると教わったのを思い出します。読売や産経は保守的な記事を書き、朝日はリベラルな記事、同じ事件や問題を伝えていても、その書き方で読者の印象が大きく違う事習いました。ですから私は、できるだけ広く情報を得るように努力していますが、SANは正反対、同じ意見しか伝えてきませんオールドメディアと言われる新聞やテレビは、個人でなく大衆、集団をターゲットにしていますからある程度多くの人に受け入れられる必要がありますから、保守的だリベラルだと言っても極端に変更したりできません。そこにSNSとは違ったオールドメディアとしての価値があるのかも知れません。

 もう何年かすると、SNSも進歩して偏った情報だけでなく、一方的な情報だけを視聴していると、考えが偏らないように「こんな情報もありますよ!」と全く正反対の情報をお勧めいてくれる時代が来るかも知れません。しかし、現在は自分自身が「SNSによる洗脳」のリスクがあることを忘れずにSNSを使いこなすことが必要だと思います。

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