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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

アメリカが崩れていく院長コラム

2024/08/01 政治・経済

アメリカの大統領選挙が近づき日本でも大統領選挙のニュースが毎日のように報じられています。10日ほど前までは、共に80歳近い高齢のバイデン大統領とトランプ元大統領の二度目の戦いとなるハズでした。ところがテレビ討論会で風邪をひいていたバイデン大統領の元気のなさに対して、銃撃と言う衝撃的なハプニングにも拳を振り上げ力強さアピールしたトランプ元大統領、その勢い違いにバイデン大統領を候補者とする民主党は新たな対応を迫られることとなりました。紆余曲折ありましたがバイデン大統領は自身の年齢による体力の衰えを考慮して出馬を辞退して、若いハリス副大統領に道を譲りました。バイデン大統領に対して決断が遅い党の批判も多数ありますが、自身の名誉、見栄、プライドよりも国の将来を優先した決断に私は拍手をおくりたと思いました。

 これに対してトランプ元大統領の言動は見るのも聞くのも辟易します。相手を罵倒し、勝手な言い訳で自分を正当化する、自分がこの世の支配者でルールは自分で決める、つまりは独裁者、暴君である事を公言しまくっていると私には見えます。そしてもっと驚くのは、その暴君の演説にスタンディングオベーションで応えるトランプ支持者です。その光景は北朝鮮やロシアなどの独裁国家指導者の演説会場とうり二つ。本当にここが民主主義の国アメリカなのかと驚くばかりです。

 私は1957年生まれですから子供の頃の日本は高度経済成長の前で発展途上国でしたから、当時から世界の経済大国であったアメリカが憧れの対象でした。テレビドラマで「奥様は魔女」を見てアメリカの家に憧れ、1990年代の円高に乗じて輸入住宅を建てたくらいです。映画も昭和の時代はハリウッド映画が全盛で西部劇やアメリカンヒーローが活躍する勧善懲悪のアクションムービー、それら全てがアメリカへの憧れをかき立てました。偶然にも矯正歯科医となり矯正歯科治療のルーツがアメリカのアリゾナ州だったこともあってアメリカへはもう数え切れないくらい行きましたが、アメリカへ入国する度に心がウキウキしていました。私にとってアメリカはディズニーランドのような憧れの夢の国だったのです。

 ところがところが、最近のアメリカはどうしてしまったのでしょう?私が正義と自由の国と思っていたアメリカが音を立てて崩れていってしまうのではないかと心配でなりません。いや、もう崩れ始めているのかも知れませんが。その際たる例がトランプ元大統領です。2016年にトランプ元大統領が当選した時に私は政治的に経験やしがらみの無いトランプ氏の斬新な政権運営を期待して ”「今度こそChange」トランプ大統領”というコラムを書きました。当時もトランプ氏は品が良いとは言えませんでしたが、今ほど口汚く相手を罵るヤンキーヤロウではありませんでした。前回の大統領選挙でバイデン大統領に負けたことで見栄っ張りの心が崩壊し、高齢化で感情のコントロールができなくなって今のような下品な老人になってしまったのでしょう。

 他にもアメリカが心配なことがあります。以前のコラム”天神ビッグバンの未来はゴーストタウン?”の中でサンフランシスコでは被害額950ドル(約13.5万円)以下の窃盗は「軽犯罪」扱いとなり、軽犯罪である少額の窃盗犯を警察は捕まえないの治安が驚くくらい悪化していると書きました。ところが最近知ったのですが、窃盗が許されるのは実はカリフォルニア州だけでなく、500ドル未満の窃盗が重犯罪になるのはニュージャージー、イリノイ、ニューメキシコの3州のみで、多くの州では1000ドル以下では罰せられないのです。その結果、学校でも窃盗が蔓延し、試験の際に預けた高機能の携帯電話をクラスメイトに盗まれるのは日常茶飯事で「万引き天国アメリカ」となってしまっているのです。

 トランプ元大統領の言動も窃盗犯を取り締まらない現状をアメリカの大人達は、子供に胸を張って見せられるのでしょうか?こんな状況を子供達に見せて、正義や道徳心を育てる事ができると思っているのでしょうか?自分の欲望をかなえるためであれば何をしても良い、お金を稼ぐためには手段を選ぶ必要は無いと子供達に見せつけているのが今のアメリカ社会なのでしょうか?全てがそうだとは思いませんが、社会規範や良心、道徳心、いわゆるモラルを軽んじて自己利益の追求こそが良いことだと考えている人が増えていることは確かなように思います。

 私は人を指導する、導く立場にある政治家や企業の経営者は、自己利益の追求の前にその言動が社会の、子供達のお手本にとなる必要があると思っています。少し前までは、アメリカの政治家や企業経営者は、きれい事かも知れませんが表面的には正義や良心を行動規範としているように思えていました。正義や良心に反した行動が社会に公になった時には潔く罪を認め、その座を去っていたように思います。しかし現在はどうでしょう?大統領選挙の結果さえ認めないトランプ元大統領を筆頭に社会のルール、モラルよりも自分勝手なルールを押しする姿を子供達に見せることで、ルール無き、モラル無き社会がひたひたと忍び寄ってきているのではないでしょうか?これが私が恐れる民主主義の危機です。

 日本でも同じような現象が増えつつあります。先日の衆議院東京15区の補欠選挙におけるつばさの党による街頭演説の妨害行為や東京都知事選挙でのNHK党のポスタージャック、同じく都知事選挙に立候補した元広島県安芸高田市長石丸伸二氏の人を食ったような発言、態度等々、以前の政治家の態度とは一線を画すモラル無視の行動が目立つようになってきました。

 自民党の裏金問題も根っこは同じかも知れません。裏金を受け取った安倍派の議員たちは法律的に問題ないと訴えますが、法律以前に良心や道徳と言う基準に照らして、それが正しいことでしょうか?そこにモラルはありますか?自分に都合の良い言い訳を並べているだけと私には見えて仕方ありません。子供達の前で自分のしたことにを胸を張れるのでしょうか? 私は左派あるいは革新派と思われがちですが、右も左も保守も革新もどうでも良く、ただ人の良心、正義に従って生きていきたいと思うだけですし、アメリカも日本も正義と良心に従った政治が行われることを願っているだけです。

 今年の大統領選挙、そして来年の秋までには行われる日本の衆議院選挙で両国の国民がその良心、正義を示し、モラルある社会を守ってくれることを願っています

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