ご予約・お問い合わせ電話番号、0120-053-653

院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

バブルの予感院長コラム

2024/05/01 政治・経済

今年に入って株価が急騰し、ついに2月22日にはバブル絶頂期の1989年12月29日につけた取り引き時間中の史上最高値、3万8957円44銭を上回りました。その後も株価は上昇し一時は4万円を超えました。その後は一進一退が続いていますが、三十数年ぶりの株高に証券業界は大いに盛り上がっています。株や債券の収益にかかる課税を一定まで免除するNISA制度が今年から改善され、免除の範囲や期間が大きくなったのを契機に今まで投資を行っていなかった人が株や債券に投資を行うようになったのが一つの要因と言われています。

 また不動産価格もコロナ明け香から高騰し、東京でのマンション価格の高騰のみならず九州各地でもマンションの価格が急騰していると報じられています。福岡市内では以前から億ションと言われる販売価格1億円超えのマンションはありましたが、昨年から熊本長崎、宮﨑でも億ションが販売されるようになっています。コロナ明けの急激な経済活動の活性化で原材料の値上げ、そして少子高齢化による労働者不足が加わり、建築費用が大きく上がっていることが大きな原因と言われています。

  株や不動産の高騰を見ると昭和末期のバブル全盛時代を彷彿させる物がありますが、20代後半の新人社会人としてバブルを経験した世代の私としては、この令和の株高やマンションの高騰に違和感を抱いてなりません。昭和のバブルは、日本経済は登り調子でGDPも物価も給与も全てが上がり、庶民の暮らしも豊かになる一方でした。世界の中でも円高で海外の物も不動産も何でも安く感じて、ジャパンマネーが世界を買い回っていました。観光客はブランド品を銀行や保険会社は海外不動産を買いまくると言う状況でした。日本の貯蓄でアメリカの全土を買えるとまで言われていましたら。

 それが現在の状況はどうでしょうか?日本の世界経済の於ける位置はどんどん低下して、円安は驚くほど進んで世界で見ると日本は安い国、つまりは貧乏な国となってしまっています。それだけでなく円安の影響を受けて物価が上がるのに所得の上昇はそれに追いつけず庶民の生活はどんどん苦しくなって、国民の実感としてとは株や不動産価格の高騰は別世界の話という所ではないでしょうか?

 それでも私は、やはり現状にバブルの予感がしてなりません。私が株や不動産の現状をバブルと感じてしまうのは、価格の高騰ではありません。私がバブルの匂いを感じるのは、株や不動産を買っている人達の年齢層の変化です。新NISAを紹介するニュースでインタビューに答えているのは20代の若者達がほとんどでした。高齢化社会の進行で将来受け取れる年金が減るのでそれに備えて資産を形成するために若い時から投資を始めると答えていました。バブル崩壊後の平成の時代にも政府は貯蓄から投資へとのキャッチフレーズの元、NISA制度を創設しましたが、政府の思い道理に投資が増えることはありませんでした。そもそも国民の所得は実は肩下がりですから投資をする余裕資金が庶民にはありませんでした。

 それなのに国民所得が大きく上昇していないにもかかわらず、なぜ若者が株や不動産を手に入れようとしているのでしょうか?それは、海外からの投資家が安くなった日本の株や不動産等の資産を買い始めた為に資産価格が高騰し、それを見た若者達が株や不動産を手に入れればお金持ちになれるではと思ってしまった、あるいは思わされてしまった事に尽きると思います。

 本来若者は、大した所得や資産を持ち合わせていませんから株や不動産投資をする余裕がないのが普通です。新NISAでは年間360万円までの投資が非課税とされますが、月30万円の余裕資金がある若者がどれだけいるでしょうか?日々暮らしに追われる若者に投資を勧め風潮、そしてそれに乗せられてしまう若者が増えていること、そこにバブルの匂いを感じるのです。

 不動産への投資も同様です。東京都心部では新築マンショの平均販売価格が1億円を越えたと言われ、それをパワーカップルと言われる夫婦共働きで年収1,000万円を超える世帯が購入していると報じられていました。購入の動機は住居としての利用は当然ですが、それに加えて将来のマンションの値上がりつまりは投資目的も兼ねての住宅購入です。実は、従来のように世帯主だけの所得ではローンが組めないために夫婦の所得を合わせる事で借入金額を増やすペアーローンと言う、銀行が多額の融資をしたいために考え出した方法に乗せられている気がしてなりません。もし離婚や病気等で夫婦の片方の収入が絶たれた時、直ぐに返済不能となって行き詰まる高リスクの投資と私には見えてしまいます。以前から住宅取得の借入額は年収の5倍弱が目安で住宅ローン審査に通るためには、返済額を年収の25%~35%以下と言われていましたのに、いつの間にか年収の10倍の借り入れをさせる銀行のやり口にもバブルの匂いを感じます。

 不動産投資は現物を手に入れますから株への投資よりもリスクが低く感じるかも知れませんが、不動産投資には大きな落とし穴があります。それは人口減少社会の日本では不動産の実需は減る一方だという事です。いくら外国人が投資してもそれを借りる人がいないのでは、賃貸収入がありませんからいずれ値下がりするのは目に見えています。総務省が4月30日発表した2023年10月時点の住宅・土地統計調査によると、空き家は899万戸で過去最多、国内の住宅総数に占める空き家の割合は過去最高の13.8%にも達しているのです。

 先日のニュースで福岡県の人口が北海道の人口を上回ったと伝えていましたが、その実態は人口減少が北海道よりも福岡県の方が少なかった為で、福岡県も人口は減少しているです。それでも福岡でも不動産価格は高騰しており、不動産を持たない若者ほど早く家をマンションを手に入れないと高くなって買えなくなってしまうのではと思っています。これこそが、私が感じるバブルです。

 本来、投資とは資産を有効活用して収益を得るものですら、資産がなくては投資はできないはず。ですから資産を持たない若者は、先ずは貯蓄に励むか、あるはごく少額の株や債券を買うことになります。どちらにしても少額ですから資産の増加は僅かで、長期にわたる貯蓄、投資で将来のリタイヤ後に備えるというのが投資です。しかし、現状を見るとどうでしょう。目先の収益を夢見るのが投資と言われていないでしょうか?例えば株で大きな収益を得るためにはそれなりの投資額が必要ですが、当然そんな資産を持ち合わせていませんから、手元資金がなくて沢山株を買うとなれば、結局現物取引ではなく信用取引つまりは借金して株を買うという事になります。外貨のトレードや暗号資産の投資でもレバレッジを使って自分の持っているお金の何倍もの投資を行うことも結局、借金で投資をしているわけです。これは、ローンを組んだ不動産投資も同じ事。結局、これは全て投資という名のギャンブル、ばくちです。負ければ大きな負債を抱えることになり、資産のない若者ならあっと言う間に自己破産でしょう。

 この投資とギャンブル、ばくちの違い、ギャップに社会が鈍感になってしまいる事にもバブルの予感がします。
 実は昭和のバブル崩壊を経験した私が次世代に一番伝えたいことは、投資とは目先の利益追い求めることではなく、もっと長期的な視点で額に汗して稼いだお金を有効に利用すると言う事です。借金で株や不動産を買うことは、投資ではなく単なるギャンブル、ばくちと肝に銘じておくべきです。

おすすめ記事RECOMMEND

  • 院長ブログ
  • スタッフブログ

ページの先頭へ