異次元の少子化対策院長コラム
2023/05/01 社会問題
昨年末に岸田首相が発表した異次元の少子化対策について政府が 3月31日に「異次元の少子化対策」のたたき台を発表しました。たたき台には(1)経済的支援の強化、(2)保育サービスの拡充、(3)働き方改革の推進を3本柱として、児童手当の所得制限の撤廃など2024年度から3年間を「集中取組期間」と記載しています。
経済支援の強化の主たる物は児童手当を増額して第1子は月1万5000円、第2子は3万円、第3子以降は6万円とすることと、所得税源(世帯主の年収1,200万円程度)の撤廃です。 保育サービスの拡充については現在保育所の利用には就労しているなど一定の要件がありますが、就労にかかわらず時間単位等で保育園を利用できる制度の緩和と保育士の配置基準を見直し子供の数に対する保育士の数を増やすこと、および保育士の待遇改善が大きな柱です。
働き方改革としては、育児休暇の取得を促進するため、現在最大で休業前の賃金の67%(手取りで8割程度)が給付される育児休業給付金を出生後一定期間、男女ともに育休取得した場合は8割程度(手取り10割相当)に引き上げる案が検討されています。
その他にも出産費費用の健康保険適用や奨学金制度の拡充等が検討されていますが、いずれも過去の施策の拡充や検討された事のある施策ばかりで、おまけにそのほとんどは経済的な支援、つまりはお金のばらまきです。その上、その金額がみみっちすぎます。児童福祉手当を月額5,000円や10,000円程度あげたところで、子供を増やそうと思う親がいるでしょうか?その程度のお金は、この所の物価上昇で帳消しになっています。そんなみみっちい異次元の少子化対策にも関わらず、政府は財源問題を持ち出して対策の具体化はいつなるのかも分からない状況です。
こうした政府の異次元の少子化対策に対して、マスコミに登場するいわゆる有識者からは、出産一時金を第三子以降1,000万円支給するとか、第一子から1,000万円支給する様な方策も出ていました。しかし、幼稚園から大学まで全て公立を利用しても子育てにかかる費用は、3,000万円以上と言われていますから、出産一時金に1,000万円をもらっても、結局家計は赤字となってしまします。自分自身の生活の経済的な豊かさを優先すれば、子供を持たないことを選択する事になるのも仕方ないことです。経済優先の資本主義のダークサイド、お金が全て、お金を持った者が勝ち、何でもかんでもお金を基準にした価値観が社会を覆ってしまった結果が少子化の根本原因だと思います。
私も以前は、経済的な支援を充実させれば少子化を食い止められると考え、19年前のコラム「日本の活力ある未来のための秘策」の中で子育て手当月額100,000円を提唱しました。しかし政府の少子化対策は遅々として進まず、20年近くの時間が流れた現在では、もう経済的な支援だけでは少子化を止められませんし、自民党の失政で日本の財政状況はどんどん悪化している現在では、現実問題としてインパクトのある大規模な経済的対策を打つのも不可能です。
そこで私の提案する新しい少子化対策は、都市集中型社会から地方分散型社会への社会構造の転換です。現在のように大都市に人口が集中する社会では、住居費が高騰しています。当然広い部屋、家に住むことは難しいですから、多くの子供を産み育てる環境にはありません。人口減少は先進国共通の問題ですが、先進国ほど大都市の都市の人口集中が進んでいます。断トツ世界一の出生率を誇る韓国では国民の約50%が首都ソウルに暮らして家賃が高騰、そして極端な少子化が進行しているのがよい例です。
大都市では家族で暮らすための広さの部屋を確保しようとすれば、当然仕事場から遠く離れたところに住むことになりますから、家族で過ごす時間は短くなります。昭和の時代は父親だけが長い通勤時間を我慢すれば良かったのでしょうが、共働きが当たり前の現在では夫婦共に長い通勤時間となれば子供と過ごす時間は極端に短くなります。職住近接を求めれば当然狭い部屋に住むことになり、複数の子供を持つことを諦めざる得ません。
これが地方なら地価も安いですから広々した家に住めて、かつ職住近接が可能となり、夫婦で協力して子育てを行えますし、家族で過ごす時間も大幅に増えます。毎日家族で一緒に夕食を摂り、家族団らんの時間を過ごせます。時間的余裕を持てるので精神的にも豊かな人間らしい暮らしが地方の生活にはあります。企業としても社員が通勤でエネルギー浪費することなく業務に注力できるのでメリットがあります。
誰しも地方に暮らす事のメリットは十分分かっていても、実際それが難しい原因は地方に仕事場がない事です。地方の自治体は仕事場確保のため地場産業の育成や企業の誘致等々地方経済活性化の為の様々な施策を実施していますが、その効果は限定的で人口が増えた地方都市はごく僅かです。個々の地方自治体の施策で地方経済を活性化し仕事場を確保する事は容易ではありません。それにはやはり国の施策の大幅な変更が必要です。
地方分散社会の実現の秘策は、首都圏での大企業のオフィース開設制限です。現実問題としては法律的にオフィースの設置制限はできませんから、税制で対処するのが現実的です。例えば社員数1,000名以上の企業について、定員100名以上の社員が勤務するオフィースを設置する場合には、固定資産税を現在の10倍にすると言うのはどうでしょうか?固定資産税が10倍となれば、多く企業はオフィースを地方に移転するはずです。おまけにこの施策には財政の出動の必要もありませんし、場合によっては税収の増加も期待できます。
首都圏の人口は減少し、納税額も減りますから東京では反対の声が上がると思いますが、長期的視点で見れば東京都民のメリットもあります。現在の首都圏の人口増加は出生によるものではなく、地方からの人口の流入です。地方で生まれ育った若者が都会に憧れ、仕事を求めて首都圏へ移住しているのです。言い換えれば地方が東京都民の生産現場、人の供給場所です。その地方の人口減少が進めば、当然地方で生まれる子供も減り、東京へ来る人も減ってしまいます。つまり地方分散社会の実現は首都圏の人口、繁栄を守ることにもなるのです。
私が掲げる「異次元の少子化対策」は地方分散型社会の実現、そしてその具体的方法は首都圏での大規模オフィースに対する固定資産税の大増税です。あなたは、岸田首相の「異次元の少子化対策」と比べてどちらが異次元で、どちらが効果があると思いますか?
経済支援の強化の主たる物は児童手当を増額して第1子は月1万5000円、第2子は3万円、第3子以降は6万円とすることと、所得税源(世帯主の年収1,200万円程度)の撤廃です。 保育サービスの拡充については現在保育所の利用には就労しているなど一定の要件がありますが、就労にかかわらず時間単位等で保育園を利用できる制度の緩和と保育士の配置基準を見直し子供の数に対する保育士の数を増やすこと、および保育士の待遇改善が大きな柱です。
働き方改革としては、育児休暇の取得を促進するため、現在最大で休業前の賃金の67%(手取りで8割程度)が給付される育児休業給付金を出生後一定期間、男女ともに育休取得した場合は8割程度(手取り10割相当)に引き上げる案が検討されています。
その他にも出産費費用の健康保険適用や奨学金制度の拡充等が検討されていますが、いずれも過去の施策の拡充や検討された事のある施策ばかりで、おまけにそのほとんどは経済的な支援、つまりはお金のばらまきです。その上、その金額がみみっちすぎます。児童福祉手当を月額5,000円や10,000円程度あげたところで、子供を増やそうと思う親がいるでしょうか?その程度のお金は、この所の物価上昇で帳消しになっています。そんなみみっちい異次元の少子化対策にも関わらず、政府は財源問題を持ち出して対策の具体化はいつなるのかも分からない状況です。
こうした政府の異次元の少子化対策に対して、マスコミに登場するいわゆる有識者からは、出産一時金を第三子以降1,000万円支給するとか、第一子から1,000万円支給する様な方策も出ていました。しかし、幼稚園から大学まで全て公立を利用しても子育てにかかる費用は、3,000万円以上と言われていますから、出産一時金に1,000万円をもらっても、結局家計は赤字となってしまします。自分自身の生活の経済的な豊かさを優先すれば、子供を持たないことを選択する事になるのも仕方ないことです。経済優先の資本主義のダークサイド、お金が全て、お金を持った者が勝ち、何でもかんでもお金を基準にした価値観が社会を覆ってしまった結果が少子化の根本原因だと思います。
私も以前は、経済的な支援を充実させれば少子化を食い止められると考え、19年前のコラム「日本の活力ある未来のための秘策」の中で子育て手当月額100,000円を提唱しました。しかし政府の少子化対策は遅々として進まず、20年近くの時間が流れた現在では、もう経済的な支援だけでは少子化を止められませんし、自民党の失政で日本の財政状況はどんどん悪化している現在では、現実問題としてインパクトのある大規模な経済的対策を打つのも不可能です。
そこで私の提案する新しい少子化対策は、都市集中型社会から地方分散型社会への社会構造の転換です。現在のように大都市に人口が集中する社会では、住居費が高騰しています。当然広い部屋、家に住むことは難しいですから、多くの子供を産み育てる環境にはありません。人口減少は先進国共通の問題ですが、先進国ほど大都市の都市の人口集中が進んでいます。断トツ世界一の出生率を誇る韓国では国民の約50%が首都ソウルに暮らして家賃が高騰、そして極端な少子化が進行しているのがよい例です。
大都市では家族で暮らすための広さの部屋を確保しようとすれば、当然仕事場から遠く離れたところに住むことになりますから、家族で過ごす時間は短くなります。昭和の時代は父親だけが長い通勤時間を我慢すれば良かったのでしょうが、共働きが当たり前の現在では夫婦共に長い通勤時間となれば子供と過ごす時間は極端に短くなります。職住近接を求めれば当然狭い部屋に住むことになり、複数の子供を持つことを諦めざる得ません。
これが地方なら地価も安いですから広々した家に住めて、かつ職住近接が可能となり、夫婦で協力して子育てを行えますし、家族で過ごす時間も大幅に増えます。毎日家族で一緒に夕食を摂り、家族団らんの時間を過ごせます。時間的余裕を持てるので精神的にも豊かな人間らしい暮らしが地方の生活にはあります。企業としても社員が通勤でエネルギー浪費することなく業務に注力できるのでメリットがあります。
誰しも地方に暮らす事のメリットは十分分かっていても、実際それが難しい原因は地方に仕事場がない事です。地方の自治体は仕事場確保のため地場産業の育成や企業の誘致等々地方経済活性化の為の様々な施策を実施していますが、その効果は限定的で人口が増えた地方都市はごく僅かです。個々の地方自治体の施策で地方経済を活性化し仕事場を確保する事は容易ではありません。それにはやはり国の施策の大幅な変更が必要です。
地方分散社会の実現の秘策は、首都圏での大企業のオフィース開設制限です。現実問題としては法律的にオフィースの設置制限はできませんから、税制で対処するのが現実的です。例えば社員数1,000名以上の企業について、定員100名以上の社員が勤務するオフィースを設置する場合には、固定資産税を現在の10倍にすると言うのはどうでしょうか?固定資産税が10倍となれば、多く企業はオフィースを地方に移転するはずです。おまけにこの施策には財政の出動の必要もありませんし、場合によっては税収の増加も期待できます。
首都圏の人口は減少し、納税額も減りますから東京では反対の声が上がると思いますが、長期的視点で見れば東京都民のメリットもあります。現在の首都圏の人口増加は出生によるものではなく、地方からの人口の流入です。地方で生まれ育った若者が都会に憧れ、仕事を求めて首都圏へ移住しているのです。言い換えれば地方が東京都民の生産現場、人の供給場所です。その地方の人口減少が進めば、当然地方で生まれる子供も減り、東京へ来る人も減ってしまいます。つまり地方分散社会の実現は首都圏の人口、繁栄を守ることにもなるのです。
私が掲げる「異次元の少子化対策」は地方分散型社会の実現、そしてその具体的方法は首都圏での大規模オフィースに対する固定資産税の大増税です。あなたは、岸田首相の「異次元の少子化対策」と比べてどちらが異次元で、どちらが効果があると思いますか?