日本の政治に「疲れた」院長コラム
2022/07/01 政治・経済
偶然、週刊朝日2022年7月1日号の作家室井佑月さんのコラム「疲れた」を読みました。本当に同感!参議院選挙を前にして、疲れと無力感で一杯、何で日本の政治はこうなるの?!と日本の政治のダメさを嘆きながらも、見捨てきれない、諦めきれないもどかしさが、「疲れた」と言う心の叫びの原因です。
室井さんや私の様な与党、自民党政権に批判的な中高年は、昨年の衆議院選挙で安倍政権でのコロナ対策や桜を見る会問題、モリカケ学園問題等々の疑惑にも関わらず自民党が大勝し衆参両院で過半数を取った時、もう政治に関心を持ちたくないと思った人も多かったはずです。
それでも、関心を持ちたくないと思っていても、次の選挙(参議院選挙)が近づけば否応なく、戦況政治に関する報道を目にする機会は増えていきます。そしてその報道の多くは、与党自民党の圧勝を予想する物です。心の底で本当にそれで良いのか?日本の未来が真っ暗になるぞ!と感じてどっと「疲れた」となるのです。
コロナの収束と共に世界中で物価の上昇が起こり、インプレ退治のために世界中の国々が利上げを行っているにも関わらず、日銀は相変わらず低金利政策を実行すると宣言し世界の潮流に逆行、正にガラパゴス金融政策です。その結果が25年ぶりとも言われる1ドル135円を超える超円安。世界のインフレに加えて超円安で、輸入品の価格がかつてないほど急激に上昇し、ガソリンも電力も食料品も生活に必要な物は全て値上げ、値上げです。
そして黒田日銀総裁は「家計の値上げ許容度も高まってきている」と発言し、いかに官僚や政治家が庶民感覚から隔絶した世界で暮らしているかを露呈してくれました。その後発言を訂正しましたが、本音を喋って失敗した!と大慌てと言ったところでしょう。
家計の値上げ許容度が高まるのに必要な事は何か?それは単純に家計所得の上昇でしょう。所得が増えれば物価が上がって支出が増えても問題になりませんから。しかし、日本はもう20年以上平均所得は上がっていません。格差が開いて高額所得者は増えたかも知れませんが、それを上回る勢いで低所得者が増えているのです。
そこへ、コロナの影響です。高額所得者あるいは大企業に勤める正規労働者は所得が減ることはありませんから、外出自粛で支出が減った分家計の蓄えは増えました。そこだけ見て黒田日銀総裁は「家計の値上げ許容度も高まってきている」と言ったのでしょう。しかし、多くの非正規労働者、低所得者はコロナの影響をもろに受けて、一層困窮しているのが実情です。黒田発言は弱者に目を向けない日本の指導者の姿がそのものです。
昨年秋の自民党総裁選で岸田首相は成長よりも分配重視の姿勢を示していましたが、いつの間にかアベノミクスまがいの成長路線へ転換し、分配どころか国民に投資を勧める政策へ舵を切りました。低所得で、非正規で働いている若者はその日その日の暮らしで精一杯で投資の原資なんてありませんから、国民に投資を奨励する政策は金持ち優遇、格差助長の政策です。
「貯蓄から投資へ」と事をもう何十年も政府は言ってきていますが、日本では投資が幅広く受け入れられていません。しかし、それは実は賢い選択かも知れないと私は思っています。貯蓄と投資、良く考えると実は大きく違わないことが分かります。私達が銀行に預金をすると、銀行はそのお金も企業に貸し出したり、あるいは企業の株を所得したりして銀行が預金者に変わって、投資を行います。そしてその収益を利息として配分しているのですから、預金者は間接的に投資を行っていることになります。(ですから、これを間接金融、株や債券を投資家が買うのを直接金融と言います。) バブル崩壊から30年あまり、銀行の経営は苦しく再編に次ぐ再編、つまりプロの投資集団であるハズの銀行でさえも投資で収益を埋めないから利息もほぼ無いような状態です。プロでも収益が出せないのに一般の国民、素人投資家が収益を得ることができないと考えるのが普通でしょう。
では、なぜ政府は国民に投資を奨励するのでしょうか?人口減少で掲載の衰退の可能性が非常に高い日本の状況で投資を行うのは非常にリスクが高いので銀行も融資や投資に消極的です。そこで、その投資リスクを銀行や企業に代わって直接国民に取らせようとしているのか?いや実は株価を支えるために日銀が大量の株を保有していますから、高値で国民に日銀の持っている株を買わせて、日銀の株の買い支え政策が成功したように見たいのか?いずれにしても、国民個人の財産を合法的に密かに搾取する方策かも知れません。
60代半ばになった私たちの世代は、バブル崩壊後の低成長経済を生き抜き、年金の自分が支払った分だけは何とか支給されますから、日本の政治、経済運営に不満はあっても何とか平穏に人生を終えられそうです。しかし、今の40代未満の世代は、非正規労者が多く低賃金で、年金受給も支払った分よりも大幅に少なくしか受給されません。普通に考えれば、若い人達の方が日本の政治を主導してきた自民党に対する不満が多いと思うのですが、何故か自民党支持率は若い世代の方が高いという不思議な状態です。
若者こそが真剣に自分達の未来を託す政党、政治家を選ぶべきなのに、本当にこんな事で大丈夫か?と年寄りのお節介かも知れませんが心配になり、そして「疲れた」となるのです。経済問題だけではありません。ウクライナへのロシア侵攻を見て、軍事費を増額すると岸田首相は宣言していますが、戦争になって戦地に行くのは若い人達、軍備だけで戦争は出来ない事を若者は本当に理解しているのでしょうか?
そこで今回の参議院選挙こそとなるのですが野党はバラバラ、いや野党なのか与党なのか分からない言わばその中間の「ゆ党」とも言われる維新や国民民主党が幅をきかしています。野党の中心であるはずの立憲民主党も公務員や大企業従業員中心のある意味高所得労働者が構成員ある労働組合に遠慮して、共産との野党連合にも消極的です。これでは、非正規労働の若者や中小企業の労働者、あるいは中小自営業者などの一般庶民の民意を政治に届けるすべもありません。だから、無力感でまたまた「疲れた」です。
やはり、政治家や政府に何かを求めるのは無理と諦めて、庶民は地道に日々努力して自分で生き抜くしかない様です、日本が先進国になろうとも、GDP世界3位になろうとも、庶民は変わりなく自分の努力で幸せをつかみ取るしかありません。私自身も人生の最後の最後まで日々努力で生き抜くつもりです。そして先が長い若者達も覚悟と責任を持って、参議院選挙の一票を投じてくれることを願っています。
室井さんや私の様な与党、自民党政権に批判的な中高年は、昨年の衆議院選挙で安倍政権でのコロナ対策や桜を見る会問題、モリカケ学園問題等々の疑惑にも関わらず自民党が大勝し衆参両院で過半数を取った時、もう政治に関心を持ちたくないと思った人も多かったはずです。
それでも、関心を持ちたくないと思っていても、次の選挙(参議院選挙)が近づけば否応なく、戦況政治に関する報道を目にする機会は増えていきます。そしてその報道の多くは、与党自民党の圧勝を予想する物です。心の底で本当にそれで良いのか?日本の未来が真っ暗になるぞ!と感じてどっと「疲れた」となるのです。
コロナの収束と共に世界中で物価の上昇が起こり、インプレ退治のために世界中の国々が利上げを行っているにも関わらず、日銀は相変わらず低金利政策を実行すると宣言し世界の潮流に逆行、正にガラパゴス金融政策です。その結果が25年ぶりとも言われる1ドル135円を超える超円安。世界のインフレに加えて超円安で、輸入品の価格がかつてないほど急激に上昇し、ガソリンも電力も食料品も生活に必要な物は全て値上げ、値上げです。
そして黒田日銀総裁は「家計の値上げ許容度も高まってきている」と発言し、いかに官僚や政治家が庶民感覚から隔絶した世界で暮らしているかを露呈してくれました。その後発言を訂正しましたが、本音を喋って失敗した!と大慌てと言ったところでしょう。
家計の値上げ許容度が高まるのに必要な事は何か?それは単純に家計所得の上昇でしょう。所得が増えれば物価が上がって支出が増えても問題になりませんから。しかし、日本はもう20年以上平均所得は上がっていません。格差が開いて高額所得者は増えたかも知れませんが、それを上回る勢いで低所得者が増えているのです。
そこへ、コロナの影響です。高額所得者あるいは大企業に勤める正規労働者は所得が減ることはありませんから、外出自粛で支出が減った分家計の蓄えは増えました。そこだけ見て黒田日銀総裁は「家計の値上げ許容度も高まってきている」と言ったのでしょう。しかし、多くの非正規労働者、低所得者はコロナの影響をもろに受けて、一層困窮しているのが実情です。黒田発言は弱者に目を向けない日本の指導者の姿がそのものです。
昨年秋の自民党総裁選で岸田首相は成長よりも分配重視の姿勢を示していましたが、いつの間にかアベノミクスまがいの成長路線へ転換し、分配どころか国民に投資を勧める政策へ舵を切りました。低所得で、非正規で働いている若者はその日その日の暮らしで精一杯で投資の原資なんてありませんから、国民に投資を奨励する政策は金持ち優遇、格差助長の政策です。
「貯蓄から投資へ」と事をもう何十年も政府は言ってきていますが、日本では投資が幅広く受け入れられていません。しかし、それは実は賢い選択かも知れないと私は思っています。貯蓄と投資、良く考えると実は大きく違わないことが分かります。私達が銀行に預金をすると、銀行はそのお金も企業に貸し出したり、あるいは企業の株を所得したりして銀行が預金者に変わって、投資を行います。そしてその収益を利息として配分しているのですから、預金者は間接的に投資を行っていることになります。(ですから、これを間接金融、株や債券を投資家が買うのを直接金融と言います。) バブル崩壊から30年あまり、銀行の経営は苦しく再編に次ぐ再編、つまりプロの投資集団であるハズの銀行でさえも投資で収益を埋めないから利息もほぼ無いような状態です。プロでも収益が出せないのに一般の国民、素人投資家が収益を得ることができないと考えるのが普通でしょう。
では、なぜ政府は国民に投資を奨励するのでしょうか?人口減少で掲載の衰退の可能性が非常に高い日本の状況で投資を行うのは非常にリスクが高いので銀行も融資や投資に消極的です。そこで、その投資リスクを銀行や企業に代わって直接国民に取らせようとしているのか?いや実は株価を支えるために日銀が大量の株を保有していますから、高値で国民に日銀の持っている株を買わせて、日銀の株の買い支え政策が成功したように見たいのか?いずれにしても、国民個人の財産を合法的に密かに搾取する方策かも知れません。
60代半ばになった私たちの世代は、バブル崩壊後の低成長経済を生き抜き、年金の自分が支払った分だけは何とか支給されますから、日本の政治、経済運営に不満はあっても何とか平穏に人生を終えられそうです。しかし、今の40代未満の世代は、非正規労者が多く低賃金で、年金受給も支払った分よりも大幅に少なくしか受給されません。普通に考えれば、若い人達の方が日本の政治を主導してきた自民党に対する不満が多いと思うのですが、何故か自民党支持率は若い世代の方が高いという不思議な状態です。
若者こそが真剣に自分達の未来を託す政党、政治家を選ぶべきなのに、本当にこんな事で大丈夫か?と年寄りのお節介かも知れませんが心配になり、そして「疲れた」となるのです。経済問題だけではありません。ウクライナへのロシア侵攻を見て、軍事費を増額すると岸田首相は宣言していますが、戦争になって戦地に行くのは若い人達、軍備だけで戦争は出来ない事を若者は本当に理解しているのでしょうか?
そこで今回の参議院選挙こそとなるのですが野党はバラバラ、いや野党なのか与党なのか分からない言わばその中間の「ゆ党」とも言われる維新や国民民主党が幅をきかしています。野党の中心であるはずの立憲民主党も公務員や大企業従業員中心のある意味高所得労働者が構成員ある労働組合に遠慮して、共産との野党連合にも消極的です。これでは、非正規労働の若者や中小企業の労働者、あるいは中小自営業者などの一般庶民の民意を政治に届けるすべもありません。だから、無力感でまたまた「疲れた」です。
やはり、政治家や政府に何かを求めるのは無理と諦めて、庶民は地道に日々努力して自分で生き抜くしかない様です、日本が先進国になろうとも、GDP世界3位になろうとも、庶民は変わりなく自分の努力で幸せをつかみ取るしかありません。私自身も人生の最後の最後まで日々努力で生き抜くつもりです。そして先が長い若者達も覚悟と責任を持って、参議院選挙の一票を投じてくれることを願っています。