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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

金融所得税50%で幸福度アップ院長コラム

2021/11/01 政治・経済

コロナウィルスの感染が原因不明で驚くべくスピードで収束してしまったことで、衆議院戦況の争点としての注目があっと言う間にコロナウィルスの感染対策から経済問題へと移ってしました。そのお陰で自民党のコロナ対策の失政は忘れ去られ、選挙結果は事前の自民党大幅減とはならず、結局自民党が安定多数を核として相変わらずの自民党政治が続いていくという結果になりました。

 選挙公約は財務次官に与野党の「バラマキ合戦」とまで言われる選挙目当ての政策のオンパレードとなりましたが、注目されるのは与野党共に「分配」という言葉を多用していたことです。安倍、菅政権では成長一本槍、今となっては懐かしいアベノミクスでは「トリクルダウン」と言う言葉もありました。まず企業が高収益を上げれば、いずれは末端の庶民までお金が落ちてくると言うまことしやかな理論でした。

 私はこれを聞いたときに、30年あまり前の中国で改革開放を主張した鄧小平の「先富論」つまり「先に豊かになれる地域/人は先に豊かになってよい」、豊になった者がそれに続く者を豊にすると言う考え方にそっくりだとお思いました。その中国が改革開放から30年以上経ちどうなったかと言えば、共産主義社会だと言うのに国民の格差がどんどん開き、国民の不安が爆発寸前なり習近平は「共同富裕」つまり所得の再分配を推し進めようとしています。

 結局の所、経済成長を目指すアベノミクスや先富論では経済規模が大きくなっても、大企業や一部の高所得者に富が集中し国民の経済格差が拡大し、多くの庶民派は生活満足度あるいは幸福感の向上を実感することがない事が証明されてしまいました。

 そこで、登場するのが富の分配を目指す政策です。岸田首相も自民党総裁選の時点では富の再分配のが必要であり、その財源として金融職課税の強化を第一に挙げていましたが、経済界からのプレッシャーに負けて、あっと言う間に金融所得課税の強化は衆議院選挙の公約から消え去りました。やはりというか、当然と言うか、大企業、経済界寄りの自民党総裁らしい変わり身の早さです。

 経済界の意見を代弁するメディアに於いては金融所得課税の強化に対しては反対する記事も多くあります。ニューズウィーク日本版10月20日の「岸田首相が訴えていた「金融所得課税」の強化は、やめておいて大正解だった」とか、日経新聞10月21日の社説「「貯蓄から投資へ」の流れをもっと太く」等が目に付きました。いずれの記事も日本はアメリカと比較して超富裕層が圧倒的に少なく、経済格差はそんなに大きくないと主張しています。例えば資産上位1%の人が持つ金融資産は米国が国民全体の約4割、英国が2割強に達するのに対し、日本は1割。資産100億円以上の富裕層の数はアメリカの10分の1、株式からの配当や譲渡益で年間1億円以上の所得を得ている人はどちらも数千人に過ぎないと主張します。

 そして、日本では金融資産の約7割を年収1000万円以下の世帯が持っていますので、金融所得枷を強化すれば庶民への影響が大きいと述べていました。実はそこにこそ格差社会を引き起こすマジックが隠されているのです。この金融資産を持つ年収1000万円以下の世帯の多くは有価証券を持った年金生活者世帯だと言うのが実態です。つまり金融所得課税の影響を受けるのは、富裕層と年金生活者世帯という事が分かります。富裕層と年金生活者、そうです実はどちらも自民党の有力支持増です。ですから、経済界優先とシルバー民主主義とまで言われる高齢者重視の自民党政権で金融所得課税の強化が行われないのは当たり前です。

 この富裕層と庶民、高齢者と若者の経済格差が、今一番の問題ですから、問題の解決の鍵はやはり金融資産課税の強化しかないのです。資産を持たず住宅ローン等の負債を抱える若い勤労者世帯に対して、子育て支援等の公的な支援の強化や年金や保険料の軽減を推し進める財源として、富裕層や金融資産を保有する年金生活世帯からの徴税を行うわけでです。富裕層と高齢者からの若い勤労者への資産の再分配こそが金融所得課税の目的です。

 また企業に対しても個人と同様に所得を事業所得と分けて徴税を行うことにすれば、大きな税収を得ることが可能になります。例えばソフトバンククループは2021年3月期の決算で純利益が日本企業の利益として過去最高となる4兆9879億円でと発表していますが、その多くは株式譲渡等による金融所得ですから、企業に対しても金融所得課税の強化すれば税収は莫大です。現在世界で高収益を挙げている多く企業は、製造などの実際の事業所得よりも自己株式の売却益や投資した企業の売却益等の金融所得が多くを占めていますから、世界中で企業に対する金融所得課税の強化を行えば、世界中の経済格差を是正する事も可能だと思います。 実際、7か国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)でも各国が協調して企業に対する金融所得課税の強化を目指そうと論議されています。

 労働には時間という誰にでも均等な制限がありますから労働によって得られる所得はには限界が在りますが、金融所得にはその限界が在りません。何もしていなくても、寝ている間にも金融所得は発生しています。それなのに勤労所得に対しては所得が増えれば累進税率で是高い税金が課せられるのに、金融所得はその額に関係なく20%としか課税されないのは不思議な気がします。額に汗せいて稼いだ所得よりも寝ている間に増えた所得の方が税金が安とはどう言うことでしょうか?これが資本主義?労働者よりも資本家優遇が当たり前と言う事?

 私は2016年8月のコラム「 格差が人類を滅ぼす」の中に「行き過ぎた金融資本主義の是正が第一だと思います。労働による所得を得るのには誰にでも平等な時間を必要としますが、お金や株などの金融資本から得られる所得は時間を使うという制限がありませんから、資本を持っている者はそれを活用し無制限に増やすことが可能です。これを止めない限り、格差は広がるばかりです。」と書きましたが、その手段が金融所得課税の強化です。

 コロナ禍で世界経済は傷つき、政界各国で経済格差が一段と大きな問題となっています。今こそ経済格差を是正する手段として日本が率先して金融職課税の強化を行ってもらいたい物です。そこで私は。金融所得税率50%を提案します。金融所得税率を50%と言うと驚かれるも知れませんが、働いて稼いだ所得の最高税率がかつては70%、現在でも45%ですからと比較すれば、寝ている間に増えたお金の税率が50%でも惜しくないでしょう。宝くじの還元率だって50%を超えてはならないとされていますから、労働に寄らない所得の半分は、他人のために使うと借り切ってもらうのです。

 そして高齢者よりも支出が必要つまり諸費が多い若い勤労世帯にお金が移れば、当然経済活動が活発になり、引いては経済成長に繋がり国も豊になっています。逆説的かも知れませんが、私は金融所得課税の強化が全国民が豊で幸福な社会への第一歩だと思います。

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