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院長コラムで樋口矯正歯科クリニックの院長を知ろう!河合悟が思うこと。

一日を大切に院長コラム

2019/08/05 現代社会

先日、母が94才でなくなりました。大正14年生まれ、つまり大正最後の年に生まれ、昭和、平成を生き抜き、令和の幕開けと共にこの世を去りました。四つの年号に渡り生きた母の人生を思い起こした時、これからの不安渦巻く令和の時代を生き抜くヒントが見えてきたような気がしました。

 母の幼少期の昭和初期は、世界恐慌の影響で日本は不景気でデフレという現在を同じような時代でした。世界は 植民地圏で排他的なブロック経済を構築した(英:スターリング・ポンド・ブロック、米:ドル・ブロック、仏:フラン・ブロック)国と日本と同じ後発資本主義国であり、植民地に乏しいドイツ・イタリアの軋轢が増していきました。その結果、こうした「持てる国」と「持たざる国」との二極化が極限に達し、第二次世界大戦が勃発していく事になったのです。

 第二次世界大戦で原爆まで投下され焼け野原になってしまった日本ですが、不死鳥のように復活し、奇跡的な経済成長でいつの間にか一時は世界第二位の経済大国となりました。しかし良い事ばかりが続くはずもなく、経済発展でアメリカの不動産を買いあさる様にまでなった日本をアメリが良く思う訳もなく、為替の切り上げや関税の引き下げを押しつけられあえなく日本の景気は失墜しバブル崩壊で失われた20年と言われる平成の長い不況のトンネルに突入してい来ました。大正、昭和、平成の時代を振り返るとアップダウンの大きさ、時代の波の大きさに驚かざる得ません。

 母の人生も時代の波の大きさに負けず劣らず、氾濫に満ちた物でした。小学校低学年で父親を亡くし、7人兄弟を母親が女手一つ育てる支えると言う貧困の極みで育ち、その後県庁勤めの父と結婚しましたが、父は徴兵で満州へ。そしてシベリヤに抑留。何とか帰国し県庁に復職しましたが、組織に縛られることが出来ない父は転職をくり返し、母は内職で家計を支えていました。私の子供の頃の母の思い出と言えば、ミシンの前で内職に励む姿です。その後、私が中学生の頃に父が独立し自営となってからは、経済的にも安定し比較的幸せな人生を送ったと思いますが、父が独立した時はすでに母は45歳でした。人生の半分は苦労に苦労を重ねた人生だったと思います。

 こんな国の歴史や母の人生のを振り返った時、改めて私は思うのです。「浮き沈みはあっても何とかなる物だ」と。

 現在の世界情勢や日本の状況も先の見えない不安だらけです。世界の情勢を見ると今のアメリカのトランプ政権と中国の習近平政権の貿易戦争と第二次大戦前の「持てる国」と「持たざる国」との二極化とよく似ている気がします。お互い甘い言葉や時には脅しをかけて同盟国を増やしてプレッシャーを掛け合い、虚勢を張ってチキンゲームを行っています。どちらの国の国民も自国の指導者が何とか妥協点を見つけ、まさか破局を迎える事はないだろうと、言わば他人事で暮らしていますが、歴史は繰り返し、米中貿易戦争が武力による本当の戦争にならない保証はどこにもありません。過去の事実を振り返ってみれば、多くの人がまさかと思う事が実際に起きてしまっているのが事実です。

 日本の平和な社会、暮らしが国を動かす政治家や官僚の力で守られてきたと言いたいところですが、国の指導者達が間違って戦争に突き進んだ事実を見れば、それは大きな間違いな事は明らかでしょう。平和で豊か(そこそこかも知れませんが)な社会を実現してきたのは、国民一人一人の地道な努力の賜物である事に疑いはありません。

 政治家や官僚はある意味で選ばれた特別な国民です。それが証拠に健康保険も公務員共済ですし、年金も公務員年金で一般の労働者の社会保険や厚生年金とは別に運営されています。経済的にも国家予算がいくら赤字であろうとも公務員の給与が減らされることはありませんし、国の借金が膨大と言っているのに公務員の給料は利益を上げている一流企業の給料を参考に決められています。日産が大赤字でも、トヨタが利益を出して給料を値上げしたら、同業者だから日産の給料も値上げすると言うようなものです。そんな環境で暮らしている人達が、一般の国民、庶民の生活や老後のこと真剣に考えるはずはありません。

 米中の貿易摩擦や韓国との関係が悪化して景気が悪くなったとしても、政治家や官僚の暮らしには何の影響もありませんから、自らの業績、足跡を残すために政治や行政を行っているです。庶民が政治家や官僚、あるいは国を信じていた日には、手痛い目に遭うのは目に見えています。過去の歴史がそれを証明しているではありませんか。

 人口減少社会が現実のもとなり、労働力となる人口が減少してきたことで人手不足による社会構造の変化が起ころうとしているのに、政治家や官僚は従来の政策を変更しようとはせず、折角少し景気が上向き税収が上がったのを良いことに再生支出を増やすことばかり考えています。デフレで物価が下がったというのに国家予算だけが膨らんでいく不思議。野党の政治家ですらそれを疑問に思う事もなければ、追求する事ないのですから、今後の日本が新たな難題に直面することは目に見えていますし、一番苦労するのは、やはり庶民、一般国民です。

 一般国民や庶民が政治や国の運営について強い関心を持っていないことは、先日の参議院選挙運投票率からも明らかですが、それは誰を選ぼうとも自分達地のことを真剣に考えてはくれないと、感覚的に分かっているかだと思います。そして、それが分かっているから、多くの人は将来に不安を感じストレスを抱えながら生きているのです。

 現代社会はストレス社会と言われますが、その大きな原因は将来への不安です。戦後70年あまり平和な社会が続いた為にあたかも国が守ってくれるという幻想に浸り、自分で生きる、身も守ると言う強い心を多くの国民が失ってしまいました。そこへ冷戦が終わり、その後のアメリカ一強のせいかも世界も終わり、世界の情勢が不安定になり、日本の政治がそれに飲み込まれている現実を見て、国民が動揺しているのがストレス社会の本質でしょう。

 そこでもう一度、思い起こして欲しいのです。大正、昭和、平成と荒波に飲まれながらも母のように庶民は国民は生き抜いてきた事を。

 私が山一証券が倒産した1997年、40歳で仕事がうまく行かずうつ病になった時、人生最初で最後の母からもらった手紙が有ります。そこには「人生山あり谷あり 一日は昼夜 朝日が昇る時はすがすがしい 夕日は一日の終わり 暗闇になるが また朝日が出ます 一日を大切に」と書かれていました。

 明日の事は誰にも分かりませんから、明日のことを考えれば不安になるも当然です。しかし、心配は要りません。何が起ころうとも人間の生命力、エネルギーは偉大で、どんな困難も乗り越えてきたことを忘れてはいけません。不安な社会、ストレス社会を危機抜く秘訣は「自分を信じて、一日を大切に生きる。」ことだと母に教えられた気がしました。                                                                                   
  感謝 合掌

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