守るべきものはフィロソフィー院長コラム
2018/11/06 医療・健康
10月の終わりにアリゾナ州ツーソンで開かれた Charles H.Tweed International Foundation for Orthodontic Education and ResearchのThirty-Second Biennial Meetingに参加してきました。このMeetingは、私が矯正治療で行っているTweed法を習得した矯正歯科医の集まりで、1949年に第1回が開かれました。それ以来、2年ごとにアメリカ各地で開かれ、世界各地から熱心な矯正歯科医が集まります。参加する矯正歯科医は必ず自分が治療した患者さんの治療記録(模型、写真、レントゲンなど)を3症例分展示するのが義務となっています。
症例の展示は準備に手間がかかり大変ですが、高名な矯正歯科医も若い経験の少ない矯正歯科医も同じように症例を展示することで対等な立場で意見の交換ができますし、他人の治療と自分の治療を比較することで自らを客観的に評価できる大変良い制度だと思います。
今回のMeetingの参加者は200名余りだと思いますから、500を越える症例が展示されていました。4年ぶりの参加で、時間もあったので展示されている症例全てに目を通しましたが、そこには一つとして私が思うTweed方の矯正治療のゴールに達している物はありませんでした。
1987年に妻と共に現在最も一般的なブラケットを用いた矯正治療の原点、ルーツであるTweed法を習得するためツーソンでのTweed講習会に参加しました。会場は元々はTweed先生の診療室だった所で棚には沢山のTweed先生が治療した症例の模型が展示してありそれを見て、私は「これが矯正治療のゴールなんだ」、「このゴールこそがTweed法の神髄、Tweedフィロソフィーだ」と思い、そして自分自身も「こんな治療が出来るようになりたい」、と強く思いました。
そして講習会で親切なインストラクターから、ここで学んだTweed法で治療した症例を持って審査を受けに来るように誘われ、それから2度のMeeetingで合計8症例の審査に合格して、やっとTweed Foundationのメンバーになる事ができました。
それ以後も私はずっとTweed法のゴール、いわゆるツイードオクルージョンと言われる咬み合わせの状態で矯正装置を外すように治療しています。それはTweed先生の言われた通りツイードオクルージョンで装置を撤去する事が、個人個人の咀嚼機能にマッチした咬み合わせを実現するのに最も優れた方法だと思っているからです。
しかし、いつの間にかTweed法を習得した矯正歯科医の集まりであるTweed Meetingの症例展示からツイードオクルージョンが無くなってしまっていたのには驚き、そして寂しさを感じました。初めて私が参加した1988年のワシントンDCでのMeetingの症例展示ではほぼ全ての症例がツイードオクルージョンが作られていて、それを見て「やっぱりこれしかない」と思ったのが、嘘のようです。
確かにツイードオクルージョンを実現するには、ゴムを使ったり、ワイヤーを三次元的に曲げたり大変ですが、長期に安定した機能的な咬み合わせを実現するには必要不可欠なハズなのですが、いつの間にか講習会でTweed法を教えるインストラクターの症例からも消えてしまっている有様です。
「誰にでも簡単にできる」「簡単で治療時間が短いので沢山の患者さんを治療できて儲かる」と安易な考えでワイヤーを曲げない矯正治療法やワイヤーを使わないマウスピース矯正を勧める広告を矯正歯科材料業者が流し、患者さんは治療結果が違うとは考えせず安易な方向へどんどん流されて行ってしまいます。
そして基本に忠実なTweed 法を行う矯正歯科医もこのままで、医院の経営が成り立たないのでと心配し、不本意ながら簡易な道へと流されて行ってしまうのでしょう。しかしそれでは本来のゴールにたどり着けていない訳ですから、歯並びが長期にわたり安定することはなくいずれ再治療が必要となると言う罠があるのですが、目先の事の捕らわれた矯正歯科医にはその罠が見えていません。それが矯正歯科の現状だと思います。
矯正歯科の材料が進歩し、それの伴って方法が変わり、治療方法が簡単になったり、治療期間が短くなったりするのは良いことですが、矯正治療のゴールが変わることがあってはいけないはずです。方法は変わってもフィロソフィーは変えてはいけないのです。
私としては、ここまで矯正歯科医としてやってこれたのはTweed先生のおかげと思っていますから、何とかTweed先生の考えTweedフィロソフィーが次の世代にも引き継がれて行く事が、矯正歯科の明るみ来に繋がると信じています。次の世代にTweedフィロソフィーを引き継ぐ為には、まずTweed講習会やMeetingに参加した若い矯正歯科医にTweed法のゴール、つまりツイードオクルージョンを見せることが第一だと思います。そこで、少なくとも講習会のインストラクターは、ツイードオクルージョンで仕上げた症例を展示すべきと思うのですが、それができていない現実を見て、ここは私自身がツイート法のゴールを実現した症例を展示し続けるしかないと考えました。
たった一人で微力かも知れませんが、いつかそれに賛同しくれる仲間が増えていくことを信じて、Tweedフィロソフィーを守る為に今後も症例を持ってTweed Meetingに参加しようと4年ぶりのMeeetingで決意を新たにしました。
症例の展示は準備に手間がかかり大変ですが、高名な矯正歯科医も若い経験の少ない矯正歯科医も同じように症例を展示することで対等な立場で意見の交換ができますし、他人の治療と自分の治療を比較することで自らを客観的に評価できる大変良い制度だと思います。
今回のMeetingの参加者は200名余りだと思いますから、500を越える症例が展示されていました。4年ぶりの参加で、時間もあったので展示されている症例全てに目を通しましたが、そこには一つとして私が思うTweed方の矯正治療のゴールに達している物はありませんでした。
1987年に妻と共に現在最も一般的なブラケットを用いた矯正治療の原点、ルーツであるTweed法を習得するためツーソンでのTweed講習会に参加しました。会場は元々はTweed先生の診療室だった所で棚には沢山のTweed先生が治療した症例の模型が展示してありそれを見て、私は「これが矯正治療のゴールなんだ」、「このゴールこそがTweed法の神髄、Tweedフィロソフィーだ」と思い、そして自分自身も「こんな治療が出来るようになりたい」、と強く思いました。
そして講習会で親切なインストラクターから、ここで学んだTweed法で治療した症例を持って審査を受けに来るように誘われ、それから2度のMeeetingで合計8症例の審査に合格して、やっとTweed Foundationのメンバーになる事ができました。
それ以後も私はずっとTweed法のゴール、いわゆるツイードオクルージョンと言われる咬み合わせの状態で矯正装置を外すように治療しています。それはTweed先生の言われた通りツイードオクルージョンで装置を撤去する事が、個人個人の咀嚼機能にマッチした咬み合わせを実現するのに最も優れた方法だと思っているからです。
しかし、いつの間にかTweed法を習得した矯正歯科医の集まりであるTweed Meetingの症例展示からツイードオクルージョンが無くなってしまっていたのには驚き、そして寂しさを感じました。初めて私が参加した1988年のワシントンDCでのMeetingの症例展示ではほぼ全ての症例がツイードオクルージョンが作られていて、それを見て「やっぱりこれしかない」と思ったのが、嘘のようです。
確かにツイードオクルージョンを実現するには、ゴムを使ったり、ワイヤーを三次元的に曲げたり大変ですが、長期に安定した機能的な咬み合わせを実現するには必要不可欠なハズなのですが、いつの間にか講習会でTweed法を教えるインストラクターの症例からも消えてしまっている有様です。
「誰にでも簡単にできる」「簡単で治療時間が短いので沢山の患者さんを治療できて儲かる」と安易な考えでワイヤーを曲げない矯正治療法やワイヤーを使わないマウスピース矯正を勧める広告を矯正歯科材料業者が流し、患者さんは治療結果が違うとは考えせず安易な方向へどんどん流されて行ってしまいます。
そして基本に忠実なTweed 法を行う矯正歯科医もこのままで、医院の経営が成り立たないのでと心配し、不本意ながら簡易な道へと流されて行ってしまうのでしょう。しかしそれでは本来のゴールにたどり着けていない訳ですから、歯並びが長期にわたり安定することはなくいずれ再治療が必要となると言う罠があるのですが、目先の事の捕らわれた矯正歯科医にはその罠が見えていません。それが矯正歯科の現状だと思います。
矯正歯科の材料が進歩し、それの伴って方法が変わり、治療方法が簡単になったり、治療期間が短くなったりするのは良いことですが、矯正治療のゴールが変わることがあってはいけないはずです。方法は変わってもフィロソフィーは変えてはいけないのです。
私としては、ここまで矯正歯科医としてやってこれたのはTweed先生のおかげと思っていますから、何とかTweed先生の考えTweedフィロソフィーが次の世代にも引き継がれて行く事が、矯正歯科の明るみ来に繋がると信じています。次の世代にTweedフィロソフィーを引き継ぐ為には、まずTweed講習会やMeetingに参加した若い矯正歯科医にTweed法のゴール、つまりツイードオクルージョンを見せることが第一だと思います。そこで、少なくとも講習会のインストラクターは、ツイードオクルージョンで仕上げた症例を展示すべきと思うのですが、それができていない現実を見て、ここは私自身がツイート法のゴールを実現した症例を展示し続けるしかないと考えました。
たった一人で微力かも知れませんが、いつかそれに賛同しくれる仲間が増えていくことを信じて、Tweedフィロソフィーを守る為に今後も症例を持ってTweed Meetingに参加しようと4年ぶりのMeeetingで決意を新たにしました。