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院長コラムで樋口矯正歯科クリニックの院長を知ろう!河合悟が思うこと。

働き方改革の行方院長コラム

2018/07/03 現代社会

働き方改革法成立を受けて、6月29日の日経新聞朝刊第一面に「迫られる生産性革命 働き方改革法が成立 時間より成果に重きを 」と言う記事が載っていました。目を引くのはアメリカ、ドイツと日本の労働生産性を比較した図です。パッと見ただけで日本の労働生産性はアメリカ、ドイツの約半分なのが明白です。

 日経新聞は経済を基本に記事を書いていますから、当然記事の内容は企業の利益向上を優先した見方になるのは致し方ありません。働き方改革法に於いても労働者の立場ではなく、企業の立場を優先した意見が多く見られました。

 働き方改革法のお題目は「日本の企業に多かった無駄な残業をなくし、時間ではなく成果を評価する働き方」への労働に対する評価の変更です。もの作りで経済大国と言われるまでになった日本は、生産現場が収益の原動力でしたから、生産現場での労働の評価としては労働時間が合理的でした。しかし、先進国ではもの作りから金融へ企業収益を上げる部門が変わってきたことで、一概に長く働くことで収益が上がるとは言えない状況になってたのです。その結果が、収益に対して報酬を支払うと言う成果主義だと私は思っています。

 産業構造が違い金融業がGDPの多くを占めるアメリカと今でももの作りが主体の日本と労働生産性を比か比較するのは、ちょっと無理があると思います。単にパソコンの前で数値を打ち込みお金を動かす事で利益を得る金融業では、一人で短時間で高収益を得ることが可能でしょうが、工場で自動車を作るとなると収益は限られます。これを一括りにして労働生産性を比較する意味があるのでしょうか?

 それに加えて、為替や物価の問題もあります。日経新聞の労働生産性の比較はドルに換算しての比較ですが、これを物価を指標にしたらどうなるでしょう?物価の比較に良く用いられるマグドナルドのビックマックの価格の世界比較を見てみると日本は3.43ドル(390円)で35位です。アメリカは5.28ドル、ドイツは4.77ドル、で約15倍です。アジアで見てもシンガポール4.39ドル(21位)、韓国 4.12ドル(24位)よりも安く、タイ3.72ドル(34位)と同水準で世界第三位のGDPを誇る先進国では異常に物価が安いのです。

 つまり物価を基準にすれば日本の労働生産性は1.5倍ほどになり、アメリカやドイツに引けを取らないのです。結局労働生産性を上げる一番手っ取り早い方法は物価を上げることですが、バブル崩壊以来政府や日銀は様々な金融政策を労して物価を上昇させようとしましたが中々上手く行きません。その大きな原因は政府が大企業中心の経済界の顔色をうかがい、企業寄りの政策を行ってきたからです。物価を上げる一番の方法は賃金を上げ、国民が使えるお金を増やすことです。大企業がため込んだ利益を給与として従業員に渡せば良いだけのことです。最近ニュースで見かけるのは高収益をあげた企業が株主に高配当をすると言う物ですが、これは過剰に貯め込んだ利益について非難を浴びないように株主にアメを舐めさせているだけのことです。資産を持つ株主に配当するよりも、利益を生み出した従業員の給与を上げるのがスジですし、物価の上昇に対してよほど有効です。労働矢野給与を1.5倍にすれば、物価も一気に上昇して、労働生産性もアッと驚くくらい上がることでしょう。貯め込んだ利益を従業員に還元した企業には事業税を減税し、逆に配当を増やした企業には増税する位の政策を行って欲しいものです。

 しかし、大企業優先の政府や日経新聞は自分達に都合の良いデーターだけを示し、働きかが改革法が日本の成長を促すと言っています。働き方改革法の肝である「専門職で年収の高い人を労働時間の規制の対象から外す」高度プロフェッショナル制度の国会審議での労働時間に関する事業所調査のデータも厚労省に都合の良い物だけが公表されていたのと同じです。

 政府は働き方改革で日本の産業構造を製造業からアメリカ型の金融やIT産業へ変えようとしているのでしょうが、果たしてそれが国民の幸せに繋がるのかが疑問です。先程書いたように金融やIT産業では、労働時間と関係なく収益を生むことが可能ですから、一人の人間が際限なく収益を上げることが可能ですから、収入の格差は無限大に開く可能性があります。これに対して製造業やサービス業では人が出来る仕事量に収益は比例しますから労働時間の制約を受けることになり、自ずと限界があります。

 つまり、製造業やサービス業よりも金融やIT産業では格差が生まれる可能性が高いのです。それが証拠にアメリカの所得格差の凄さは、日本とは比較にならないことは周知の事実です。結局、今回の働き方改革で政府、自民党が目指しているのは、労働生産性の向上を隠れ蓑にした大企業優先、金持ち優遇によるアメリカ並みの格差社会の実現なのです。

 働いた時間に関係なく収入が決まるのであれば、持てる者は一層豊になるのは至極当然、誰にでも分かることです。それを労働生産性の向上という耳障りの良い言葉で包み込み、国民を欺こうとしているのが現在の政府のやり方でしょう。森友、かけ学園の問題でも政府の都合の良いように情報を操作し、記録をごまかし、国民の判断ではなく、首相の意志に従った政策を行う政治です。
 
 しかし、格差の助長は国民の不満を招き、引いては社会の安心、安全を脅かすことになります。経済の発展、一部の国民の豊かさと引き換えに世界有数の安全、安心な日本の社会を手放す事になっても良いのでしょうか?安全、安心な社会を守るためには政府やマスコミに惑わされない賢い国民になる必要がありそうです。

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