「NO!動物実験」に異議あり院長コラム
2018/03/02 現代社会
先日もらったLUSHの入浴剤の紙袋に驚かされました。表には「LUSH FRESH HANDMADE COSUMETICS」と普通に書いてあるのに、裏側にはウサギ二匹のイラスト下に「NO! 動物実験」とドカーンと書いてあるのです。入浴剤や化粧品と動物実験と何の関係があるの?と思うのと共に動物実験に反対する事にも大いに疑問を感じました。
動物実験反対と声高に叫ばれる事には、私だけでなく医療従事者や医療関連の研究者なら誰でも大いに疑問を感じる事だと思います。「LUSH」は化学合成成分を含まないオーガニックを製品の特徴としてそれをセールスポイントにしていますから、自然や動物を大切にするというイメージを高めるための戦略として「NO! 動物実験」をアピールしているのでしょう。
しかし現実問題として、動物実験を一切行わないで現在の様な医学の発展ができたでしょうか?そして今後も動物実験を行う事なく医学の発展や新薬の開発が可能でしょうか?医学の進歩と共に新薬の開発は細胞レベル、遺伝子レベルの研究が主流となって来ていて動物実験を必要性は少なくなっているのでしょうが、それでも最終的には動物実験や実際の患者さんによる治験を行う必要があります。過去においても未来においても動物実験なくしては、医学の発展は得ません。
この現実に目を背けて、ことさらに動物事件反対を叫ぶ「LUSU]と言う起業は無責任極まりのもでしょう。動物実験反対を叫ぶ「LUSH」の創業者や経営者達も病気になれば、動物実験で得た利益つまり現代の医療や薬品を利用する訳ですから身勝手な物です。ついでに言えば化学合成物質を否定するオーガニックについても、人口が70億人を越えた現代で化学肥料や農薬を一切使わないで食料を確保する事は不可能です。そしてオーガニックを信奉する消費者も病気になれば化学的に合成された薬の恩恵に浴するのですから程度の差こそあれご都合主義と思えます。
それでは逆に医学の発展に必要だから無制限に動物実験を行っても良いかと言えばそんな事はありません。生物を使わない研究を優先し、動物実験を最小限にする努力をする必要があるのは当然です。オーガニックについても、化学肥料や農薬の使用を最小限にする努力が必要なのは当然です。
要するに物事極論ではなく、「ほどほど」が重要だと言う事です。しかし油断していると、ついついやり過ぎてしまうのも人の性なのかも知れません。その良い例が抗生物質の乱用の問題です。抗菌薬の乱用で耐性菌が増加し、耐性菌による死亡者は2013年現在、世界全体で年間70万人。対策を講じなければ50年に1000万人に増えると推計されている位です。そこで昨年厚労省は、抗生物質の使用指針「抗微生物薬適正使用の手引き」を作り、薬が不要な場合と有効な場合を示しましたが、その中で風邪の原因の9割は、細菌よりはるかに小さいウイルスで、抗生物質は効かないことを強調しています。風邪の原因が「細菌」か「ウイルス」かを区別しないまま、「念のため」と処方する医師が少なくないし、患者さんも風邪がひどくならない為にと抗生物質を気軽に服用してしまいます。命に関わる薬ですら、ついつい安易に服用してしまいがちですから、化学肥料や農薬となれば…。
そこで登場するのが「LUSH]やオーガニックの様な極端な否定てきな主張を売り物にする商売です。極端な主張はアピールしやすですから様々な業種で見る事ができ、矯正歯科の「非抜歯矯正」も極端なアピールをしている良い例だと思います。1900年代前半に正治療の始まりは歯を抜かないで歯を並べる治療から出発しましたが、治療後の安定性が得られない、治療後の口元が飛び出してしまうなどの不都合が問題となっていました。その後1940年代になり私が行っている矯正治療の方法を考案したTweed先生が抜歯して歯槽骨の大きさと歯の大きさを調和させることで、横顔のバランスと歯並びの安定性を確保する治療方法を確立しました。
しかし、やはり健康な歯を抜歯する事に心理的な抵抗があるのも事実ですから、患者さんも歯科医師も歯を抜かない矯正治療への誘惑に惑わされそうになるのも仕方が有りません。樋口矯正歯科クリニックでも1980年代後半から90年代前半に非抜歯による矯正治療を追究するあまり、その後の安定性が得られず多数の再治療を余儀なくされ、多くの患者さんにご迷惑をお掛けした事もありました。
そんな歴史的な流れやクリニックでの実際の経験から、非抜歯矯正には限界がある事を知っている私から見れば、非抜歯矯正をアピールする矯正歯科医は無知から来る「禁じられた遊び」か、あるいは目先の利益のとらわれた利益至上主義の確信犯のどちらかとしか思えません。出来る限り歯を抜かない様に努力するのは当然ですが、全ての患者さんの歯を抜かないで矯正治療ができるかのごとく訴える非抜歯矯正は「動物実験NO!」と訴えるのと同じように、極端をアピールする商法だと思っています。
情報が氾濫する現代社会では強い印象を残そうとするあまり、極端な主張を掲げて人々を誘導して利益を得ようとする組織、企業がはびこります。そして極論はそれが否定された時、振り子の様に対極に大きく振れてしまい、いずれにしても良い結果は得られません。何事も極論はには注意が必要です。医療も社会の仕組みも「ほどほど」が大切な事を肝に銘じて、情報が氾濫する現代社会を生き抜いていきたいものです。
動物実験反対と声高に叫ばれる事には、私だけでなく医療従事者や医療関連の研究者なら誰でも大いに疑問を感じる事だと思います。「LUSH」は化学合成成分を含まないオーガニックを製品の特徴としてそれをセールスポイントにしていますから、自然や動物を大切にするというイメージを高めるための戦略として「NO! 動物実験」をアピールしているのでしょう。
しかし現実問題として、動物実験を一切行わないで現在の様な医学の発展ができたでしょうか?そして今後も動物実験を行う事なく医学の発展や新薬の開発が可能でしょうか?医学の進歩と共に新薬の開発は細胞レベル、遺伝子レベルの研究が主流となって来ていて動物実験を必要性は少なくなっているのでしょうが、それでも最終的には動物実験や実際の患者さんによる治験を行う必要があります。過去においても未来においても動物実験なくしては、医学の発展は得ません。
この現実に目を背けて、ことさらに動物事件反対を叫ぶ「LUSU]と言う起業は無責任極まりのもでしょう。動物実験反対を叫ぶ「LUSH」の創業者や経営者達も病気になれば、動物実験で得た利益つまり現代の医療や薬品を利用する訳ですから身勝手な物です。ついでに言えば化学合成物質を否定するオーガニックについても、人口が70億人を越えた現代で化学肥料や農薬を一切使わないで食料を確保する事は不可能です。そしてオーガニックを信奉する消費者も病気になれば化学的に合成された薬の恩恵に浴するのですから程度の差こそあれご都合主義と思えます。
それでは逆に医学の発展に必要だから無制限に動物実験を行っても良いかと言えばそんな事はありません。生物を使わない研究を優先し、動物実験を最小限にする努力をする必要があるのは当然です。オーガニックについても、化学肥料や農薬の使用を最小限にする努力が必要なのは当然です。
要するに物事極論ではなく、「ほどほど」が重要だと言う事です。しかし油断していると、ついついやり過ぎてしまうのも人の性なのかも知れません。その良い例が抗生物質の乱用の問題です。抗菌薬の乱用で耐性菌が増加し、耐性菌による死亡者は2013年現在、世界全体で年間70万人。対策を講じなければ50年に1000万人に増えると推計されている位です。そこで昨年厚労省は、抗生物質の使用指針「抗微生物薬適正使用の手引き」を作り、薬が不要な場合と有効な場合を示しましたが、その中で風邪の原因の9割は、細菌よりはるかに小さいウイルスで、抗生物質は効かないことを強調しています。風邪の原因が「細菌」か「ウイルス」かを区別しないまま、「念のため」と処方する医師が少なくないし、患者さんも風邪がひどくならない為にと抗生物質を気軽に服用してしまいます。命に関わる薬ですら、ついつい安易に服用してしまいがちですから、化学肥料や農薬となれば…。
そこで登場するのが「LUSH]やオーガニックの様な極端な否定てきな主張を売り物にする商売です。極端な主張はアピールしやすですから様々な業種で見る事ができ、矯正歯科の「非抜歯矯正」も極端なアピールをしている良い例だと思います。1900年代前半に正治療の始まりは歯を抜かないで歯を並べる治療から出発しましたが、治療後の安定性が得られない、治療後の口元が飛び出してしまうなどの不都合が問題となっていました。その後1940年代になり私が行っている矯正治療の方法を考案したTweed先生が抜歯して歯槽骨の大きさと歯の大きさを調和させることで、横顔のバランスと歯並びの安定性を確保する治療方法を確立しました。
しかし、やはり健康な歯を抜歯する事に心理的な抵抗があるのも事実ですから、患者さんも歯科医師も歯を抜かない矯正治療への誘惑に惑わされそうになるのも仕方が有りません。樋口矯正歯科クリニックでも1980年代後半から90年代前半に非抜歯による矯正治療を追究するあまり、その後の安定性が得られず多数の再治療を余儀なくされ、多くの患者さんにご迷惑をお掛けした事もありました。
そんな歴史的な流れやクリニックでの実際の経験から、非抜歯矯正には限界がある事を知っている私から見れば、非抜歯矯正をアピールする矯正歯科医は無知から来る「禁じられた遊び」か、あるいは目先の利益のとらわれた利益至上主義の確信犯のどちらかとしか思えません。出来る限り歯を抜かない様に努力するのは当然ですが、全ての患者さんの歯を抜かないで矯正治療ができるかのごとく訴える非抜歯矯正は「動物実験NO!」と訴えるのと同じように、極端をアピールする商法だと思っています。
情報が氾濫する現代社会では強い印象を残そうとするあまり、極端な主張を掲げて人々を誘導して利益を得ようとする組織、企業がはびこります。そして極論はそれが否定された時、振り子の様に対極に大きく振れてしまい、いずれにしても良い結果は得られません。何事も極論はには注意が必要です。医療も社会の仕組みも「ほどほど」が大切な事を肝に銘じて、情報が氾濫する現代社会を生き抜いていきたいものです。