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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

マスメディアの信頼性院長コラム

2017/02/01 現代社会

最近、週刊誌の記事に驚きました。1977年1月の朝日新聞経済らの「経済気象台」というコラムの「過剰人口の悩み」と題した記事が紹介されていました。

 コラムをには「今世の中が不況であるのは日本に人間が多すぎるからである。」「日本の国土に適正な人口は先生国水準ではせいぜい5千万人なのだから、いくら生産性が上がっても不況になるとは当然だ。しかるに、日本は人口抑制策を立てていない。人口問題研究所は50年後(2027年)には1億4千万人になると報告しているし、国土庁は21世紀(つまり2001年以降)には1億5千万人になると推計している。どうなるんだ、日本…。」と書いてあったらしいのです。

 21世紀の2017年の今、この記事を読めば、新聞記事を書く様な専門家の分析も全く当てにならいないことが誰にでも分かります。少子高齢化による人口減少が大きな社会問題となっている日本で、40年前には全く正反対の人口抑制論が朝日新聞で論じられていたと聞けば、耳を疑ってしまう程です。私自身1977年と言えば大学入学の年ですから、結構なんでも覚えているように思っていましたが、人口抑制が必要だと叫ばれていたなんて思ってもみませんでした。

 当時、人口問題があまり注目されていなかったのか、1990年代以降の出生数の減少で人口減少ばかりが目立ち、それ以前のことを忘れてしまったのかは定かではありません。朝日新聞の人口抑制必要論のコラムに対して、批判が出て形跡はないそうですから、1977年当時の世論も専門家の意見と同じだったのでしょう。しかし、現在では私と同じように日本で40年前には人口の増加が問題視されていた事を忘れてしまったか、知らない人が大多数だと思います。

 記事を読んで専門家がいい加減で無責任だと言うのはよく分かったのですが、専門家は一体何を根拠に人口抑制論を書いたのでしょうか?日本の特殊出生率の推移を調べてみたら、1977年の特殊出生率は1.80でした。医療技術や栄養状態が相対的に良好な現代先進国においても自然増と自然減との特殊出生率の境目はおよそ2.07とされていますから、当時はもう人口減少社会となっていたのです。

 ちなみに日本で最後に特殊出生率が2.07を越えていたのは1973年で、コラムが書かれた4年も前、1977年は人口減少社会への入り口だったことになります。結局、このコラムを書いた専門家は、人口の推移を詳細に検討することなく、1977当時の不況の原因を人口増加に押しつけたに過ぎないような気がします。

 新聞の記事というと週刊誌ネットの情報に比べて信頼性が高そうですが、実のところこの程度のな良いようなのだと言うことがよく分かりました。専門家と言われる人達も自分と都合の良いように事実やデーターを解釈して、自分の考える結論を導き出しているのに過ぎないのかも知れません。

 今では同じ朝日新聞が人口減少が不況の原因で、特殊出生率の低下を大きな社会問題として全く正反対の記事を日々堂々と載せていますからが、マスメディアが厚顔無恥で、いかに無責任なのか分かります。

 私が大学に入学した1977年当時は、歯科医師不足が叫ばれ毎年歯学部が新設されていました。その原動力になったのは、町の歯科医院が「3時間待ちの3分診療」、「差額診療(健康保険の診療費以外に治療費請求すること)で歯医者は大もうけ」何て言う新聞報道やテレビ報道がされたことで、世論が歯科医師不足を問題視したことがきっかけでした。しかし、40年後の現在は歯科医師過剰が叫ばれ、歯科医院の倒産、閉院は日常茶飯事となり、結果として私立大学歯学部は学生が集まらないのが現状です。

 私が1977年に歯学部入学後に知った事実は、虫歯は減少傾向で歯科医院で治療を受ける患者さんが減少していく事は明白だと言う事でした。砂糖摂取量と虫歯の数が相関があることが分かっており、先進国では砂糖摂取量の減少に伴い虫歯も減少するとは当時から知られていたのです。しかし、私が歯学部入学後も歯学部新設は続き、歯科医師過剰時代が到来しました。

 新聞やテレビなどのマスメディアは社会に大きな影響を与えますが、その根拠となる情報やその分析が正かどうかが大きな問題です。しかし、それは後世になってからしか分からないのも事実です。ですから、新しいアメリカ大統領ドナルドトランプが既存のマスメディアを嘘つき呼ばわりして対決姿勢を鮮明にしているのも、まんざら大馬鹿やろうとも言えない気がします。

 結局、私たち庶民はメディアや政治家、あるいはそれに誘導された世論に翻弄されて生きていくしかないのかも知れません。だとすれば、私たちは何を信じて、何を羅針盤として生きていけば良いのか?それはやはり自分自身の良識、良心に従って、目の前の物事を判断して行動するしかありません。一方的な情報でなく、多方面からより多くの情報を集め、世論や周りの意見に流されることなく自分自身で判断する事が幸せに生きる方法だと思います。

 私自身、歯科医師過剰時代の歯科医師として色々苦労してきましたが、歯科業界の常識やトレンドに流されることなく、自分自身の良識、信念に従い患者さんに本の等に必要と思える医療を行ってきた事で、何とか今日までやって来られたと思っています。

 週刊誌の記事から、幸せに生きるヒントをもらった気がします。

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