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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

戦後70年と安保法案院長コラム

2015/09/01 

 戦後70年の区切りの年に、何の因果か安倍首相は集団自衛権を容認する安保法案を何としても成立させようとしています。多くの国民の命を失った敗戦の反省から戦争を放棄した日本の憲法を根底から変えようとする安保法案。それも正攻法で憲法を改正しようとするならまだしも、国民の真意を問うことのない憲法の解釈の変更と言う卑怯な手段まで駆使して、強引に法案を成立させようとしているのです。

 安保法案は、日本が存立の危機に直面した時の自衛手段として自衛隊が戦闘を行うことを容認する物ですが、その中には同盟国の警護や同盟国への武器の供与等の集団的自衛を含んでします。安保法案は抽象的な文言が多く、解釈次第では自衛隊が世界中どこへでも行って戦争を行える事が出来るようにするものと言う政治家や法律学者がいるくらいです。

 例えば、日本の国の存立を脅かす事態とは、どんなことでしょうか?第一に思い浮かべるのは北朝鮮からミサイル攻撃を受ける事でしょうか?これは誰が見ても、日本の国民の命を脅かすのですから、日本の存立の危機と言えるでしょう。

 それでは、安倍首相や自民党は、中東紛争に関連してペルシャ湾のホルムズ海峡が機雷で封鎖された時、これは日本の存亡の危機だから機雷掃海のために自衛隊を派遣すると言っていますが、原油が来ないことが日本の存亡を脅かすことでしょうか?1973年の第4次中東戦争をきっかけとしたオイルショックで日本は壊滅的打撃を受け、日本人の多くの命が失われましたか?確かにGDPは戦後初のマイナス成長となりましたが、その後景気も回復しバブル言われる好景気がやって来たではありませんか。当時と比べればエネルギーの調達先も多様化し、またエネルギー自体も原油だけでなく天然ガスや自然エネルギー等、多様化していますからホルムズ海峡の機雷封鎖が日本の存亡の危機とはとても思えないのが国民の大多数だと思います。

 前提からしてこんなに抽象的で、政治家の解釈次第でどうにでも運用できそうな安保法案、とてもじゃないけど認められないと、遅まきながら国民の多くが気がついて各地でデモや集会が開かれるようになってきました。8月最後の日曜日には13万人が参加した安保法案反対の集会が国会前で開かれました。

 しかし、安倍政権は国民の反対の声を聞こうとするそぶりさえも見せません。 政治家は結局自分の都合の良いように何でも解釈してしまうのか、適当に理由を付けて自分の意見の正当性を主張する言い訳上手な人間の集まりなのかも知れません。

 橋下大阪市長はこのデモに関してツイッターで「日本の有権者数は1億人。国会前のデモはそのうちの何パーセントなんだ?こんな人数のデモで国家の意思が決定されるなら、サザンのコンサートで意思決定する方がよほど民主主義だ」などと批判しました。それなら、政府与党は国会では過半数を占めているのでしょうが、選挙での得票率はとても過半数を取っていませんし、もっと言うなら有権者総数に対する得票率を算出すれば10%台ではないでしょうか?13万人のデモが国民の意思を代表していないと言うのなら、10%そこそこの得票しか得られない自民党が国民の考えを代表しているとも言えなのも同じ事。おまけに報道機関の行っている世論調査では、いずれも安保法案への反対が50%を上回り、国民の多数意見は安保法案に反対です。

 国民の意思は、明らかなのにそれを様々な理由を付けて無視して、無知な国民の意思よりも自分達の意見が正しいと信じて突き進むのが政治家の性なのか?太平洋戦争開戦の関しても、アメリカを始とする連合国の日本に対するエネルギーの供給制限や経済的圧力で日本の存亡が脅かされた為に、仕方なく開戦したと言う保守系政治家のがいるくらいです。 抽象的な内容の法律では、政治家の暴走を止める事が出来ないのは、過去の歴史が証明しています。戦前の法律だって国民の安全と平和な国家を希求する物だったはずですが、政治家や軍部の都合の良い解釈で法の精神がねじ曲げられ戦争へと突き進んでしまったのです。

 ですから、法律はハッキリとした具体的な歯止めがあるもでないといけません。本当は、憲法九条を厳格に守り戦力補保持しないと言う事で自衛隊もなくせと言いたいところですが、それは現実的ではありません。それならば、自衛隊の活動範囲を明確に制限するのが、日本の安全を守りかつ政治家の暴走による戦争を防ぐ有効な手段だと思います。

 そして、私は自衛隊の活動範囲を排他的経済水域内(EEZ)とするのが良いと考えています。日本の領土面積は約38万km²で世界第60位に位置していますが、領海およびEEZの総面積は世界6位で広大です。自衛隊の活動範囲をEEZ内にすると明記すれば、侵略戦争の被害国の立場で日本の現状を軍国主義国家への回帰と非難する中国、韓国との摩擦も軽減する事ができるでしょう。

 いずれにしても大切な事は、国民が政治家をコントロールできる様にする事が重要です。その為には出来る限り具体的で、恣意的な解釈ができない法律を作る事が重要でではないでしょうか?法律は、国民に義務と権利を与えると同時に国や政治家の力に制限を加える物です。その制限が国や政治家の解釈次第でどうにでもなるようでは、法律の役目をはせません。

 戦後70年の節目に国民全体が戦争の悲惨な歴史をもう一度思い起こし、安倍内閣が成立を目指す安保法案に対してまずはストップをかけ、その上でハッキリとした防衛の範囲を示した防衛法案を作るべきだと思います。

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