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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

歯科医師会と政治資金院長コラム

2015/10/02 

 歯科医師会が作っている政治団体「日本歯科医師連盟(日歯連)」のトップ経験者ら3人が政治資金規正法違反容疑でまた逮捕されました。「また」と言うのは、2004年にも自民党へのヤミ献金や官僚への贈賄で日歯連幹部6人、中医協委員2人、自民党国会議員2人、自民党派閥会計責任者、地方議員5人ら計16人が起訴される大事件を起こしていたからです。

 それから10年、政治資金規正法が厳しくなり、それと同時に政党給付金は、大幅に増えているにも関わらず、またも政治資金に関する事件を起こすとは、なんとも懲りない人達です。根底にあるのは、歯科医師の増加と医療費の抑制により歯科医医の経営が厳しさを増している事です。いかに歯科医院の経営が厳しくなっているかは、事件発覚前の9月19日の日経新聞の特集記事「医出づる国」で”「削りしろ」探せ(3)歯医者は何故長引く」が端的に示しています。 記事も書かれていることですが、歯科医の数は全国で約10万人。人口10万人当たりの歯科医数は1978年の40.7人から2012年には80.4人と約2倍に増え、おまけに医師より開業する割合が高く、定年もありません。この結果診療所は6万8701カ所(2013年)と、コンビニエンスストア(約5万2000店、15年)を上回る状態です。その一方、フッ素うがいの普及などで子供の虫歯は減少しています。12歳の平均虫歯数はこの20年で4分の1になっていますから、歯科医師の仕事の中核が虫歯の治療需要とすれば、供給が反比例するいびつな市場であり、経営が厳しくなるのは至極当然です。

 歯科医院はこの厳しい経営環境下での生き残りのためにインプラントや矯正治療を始とする自費診療を積極的に導入し経営努力をしていますが、それでも収入の主体は健康保険診療です。ですから、診療報酬を引き上げる事が最も効果的な経営努力とだと歯科医師会は考え、その為には政治に力を発揮できる事を目標に活動していたのが日歯連です。

 日歯連の組織内議員は着実に増え、8名もの議員が日歯連のホームページに載っていました。今回の事件で日歯連は石井みどり参議院議員の比例代表選挙での当選のために資金が1億円必要だとしていたことが明らかになったことから、単純に8名を当選させるには8億円の選挙運動資金が日歯連から支出された事が分かります。

 その資金は、日歯連の会員つまり歯科医師が支払った会費が原資であり、新聞、テレビの報道機関の言い分では歯科医師の支払った会費の原資は診療報酬ですから、結局国民の税金や健康保険料が不正な政治資金として使われたとして、一層歯科医師のイメージを圧下させています。それに加えて、歯科医師会の会員は全て日歯連の会員のように報道されていますが、以前は歯科医師会の会員になると自動的に日歯連のなるシステムでしたが、現在は個別の組織として入会の申請が必要となり、歯科医師会会員の約2割は日歯連に入っていないと言われています。

 私も歯科医師会と日歯連が別々に入会できるようになって直ぐに、日歯連を脱退しました。その理由は、不正献金や贈賄の問題よりも一般の会員が意見を述べる場所がないと言う組織運営の問題からです。歯科医師会や日歯連は代議員性を取っていますから、一般課員が参加できる総会がありませんから、一般会員は代議員を選ぶ選挙で投票ができるだけです。私が脱退当時は日歯連は与党である自民党にべったりでしたから、それに疑問を感じて、自分の支払った会費が自民討議委員への建機になるのが許せず、私は脱退しました。

 私も歯科医師会や日歯連が政治への関与したいと思う気持ちは分からないではありません。企業献金、日経連の献金、連合の献金これら全ては、企業や労働者の違いはありますが、自己利益増加のため政治を動かそうと言う利益誘導を目的とした献金です。これが、認められているのなら、歯科医歯科医師会だって利益誘導のために献金を行ったって良いじゃないかと考えているのです。大手企業や経団連、連合党は構成員が歯科医師会に比べて莫大ですから、政治資金規正法に引っかかるような危ない橋を渡らなくても、当選に必要な十分な献金を確保できますが、日歯連は会員が少なくて自身に頼っていては間に合わない。これが、逮捕された日歯連の幹部の心内だと思います。失敗したとは思っても、悪い事をしたなんて思っていません。だからくり返すのです。

 2004年の贈収賄事件では大物政治家も起訴されましたから、献金等の政治資金が社会問題となり政治資金規正法が改正され、政党交付金を大幅に増額する代わりに企業や組織を禁止することが検討されましたが、結局の上限が下げられただけでした。経団連も一時は政治献金をやめていましたが、自民党からの強い要請で献金を復活しました。今まで政治資金に関する様々な事件がありましたが、結局何も変わっていないのは、献金する側もされる側もメリットがありますから、そのメリットは何かと言えば国民の支払った税金を自分の都合の良いように配分することです。それは公共事業であり、診療報酬であり、政府の財政支出全てに、利権がついて回っているのです。

 つまり、利益誘導に左右されない政治を実現するためには企業、団体献金を禁止し、国民の個人献金と政党交付金で政治資金を賄うようにするしかありません。寄付や献金になれていない日本国民に個人献金はなじまないと言われそうですが、そんな心配はありません。寄付になれていない日本人ですが、ふるさと納税は活況を呈しています。個人献金したら、その文の何%がギフト券で返ってくるとすれば、大盛況間違いなしです。政党交付金についても個人が簡単に献金先の政党を選ぶ制度をつることが重要です。これには今話題のマイナーバーがバッチリでしょう。政党助成金の総額から国民一人当たりの献金額算出し、マイナンバーを使って自分の支持する政党に献金してもらうのです。

 この個人での献金には、多分良い副作用がもれなく付いてくるはずです。それは投票率の向上です。自分が献金した政治家や政党、誰だって応援したくなるハズです。これで投票率も向上し、国民の政治への関心も高まり言う事なしです。
しかし、これはきっと実現しないのが今の日本でしょう。なぜなら、政治家や官僚にとっては、自分達が思い通りに国を、国家予算を動かせなくなる制度だから。

 結局、国民が賢くならないことには国も政治も良くなりません。

 私は、診療報酬に一喜一憂する事なく、日々患者さんを家族と思い、自分の信じる正しい治療をすることで患者さんに支えられ、末永く樋口矯正歯科クリニックが存続できるように努力していくだけです。

 それにしても、日歯連やめていて良かった!  

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