医療の限界院長コラム
2014/11/19
昨年、医局の先輩から慶応大学医学部放射線科講師の近藤誠先生の”「余命3カ月」のウソ”を読みました。本の内容を一言で言えば「現在の医療水準ではガンを治すことはできないので、長生きしたいならガンは放置するのが一番」と言う事です。手術をして抗がん剤の投与という標準治療を受けても、多くの人が命を落としていく現実を目の当たりにしてガンの治療に少なからず疑問を感じていましたから、近藤先生の主張に大いに共感しました。
しかし、近藤先生のガンを放置療法は、医学界の常識と対峙するものですから、ガン治療の最前線で活躍している医師から大いに批判されているのも事実です。私自身も近藤先生の主張に共感しつつも、現実に行われているガン治療を全て否定する事に一抹の不安がありました。そんな時偶然、近藤先生への反論と題した日本医科大学腫瘍内科教授の勝俣範之先生の”「抗がん剤は効かない」の罪”という本を見つけました。
片方だけの主張を聞いていては、客観的に自分自身で判断する事は出来ないと思い、早速、勝俣先生の本も読んでみました。勝俣先生の本を読めば、ガンの標準治療を受けることのメリットをより多く知ることができ、当然、現在のガンの標準治療に対して今まで以上に信頼感が深まると思っていました。
ところが思いがけないことに、勝俣先生の本を読んだ後、私は近藤先生のガン放置療法の方が正しいのではないかとの思いが一層強くなってしまいました。皮肉なことに抗がん剤の治療効果を主張する勝俣先生の本を読んだアタの方が、抗がん剤の治療効果を信じられなくなってしまったのです。
勝俣先生は、多くの乱文から集めたデータを示し近藤先生の主張を間違いだと論じていますが、勝俣先生の示したデータを信じてもなお、抗がん剤でガンが治るとは思えませんでした。
例えば本の中で最初に出てくる乳がん切除後の抗がん剤治療(CMF)の効果について、治療しなかった群では生存率が27%、治療した群では36%だから、治療効果があったと勝俣先生は述べていますが、その差はたった9%、おまけに36%しか生存できないのに辛い抗がん剤の副作用に耐え治療受ける意味があるのかと言う事です。
また再発進行大腸ガンに用いる抗がん剤「レゴラフェニブ」の延命効果については、投与を受けた人の生存期間が6.7ヶ月で、投与しなかった人の生存期間が5ヶ月、つまり1.7ヶ月の延命効果があったしています。病院のベット上で痛みに耐え1.7ヶ月長生きすることとに意味を見いだせますか。人生の最後をできるだけ体力を温存して家で家族で暮らす5ヶ月と、病院のベットで過ごす6.7ヶ月、どちらに価値を見いだすか、それは患者さんそれぞれ、どちらが一方的に良いとは決められないはずです。
結局、勝俣先生の本を読んで分かったことは、ある程度進行したガンの場合には抗がん剤の治療を受けてもガンの生存率は30%そこそこだと言う事、そして初期のガンの場合でも抗がん剤で生存率が改善するのは10%程度だと言う事でした。
不勉強だったのかも知れませんが勝俣先生の本を読むまで、実は私はもっと抗がん剤の治療効果が高いと思っていました。ガンは治る病気になったと、マスコミは盛んに報道するのでガンの治療効果を実際よりも高く思い込んでいたのです。
それから勝俣先生は近藤先生の主張を科学的根拠がして、科学的根拠を示した反論すると言っているにも関わらず、自身の本の後半では近藤先生のガン放置療法で酷くなった患者さんを自身が抗がん剤治療を行い延命した等々の症例を示し、抗がん剤が効果があると主張していました。これでは科学的根拠に基づいて反論しているとは言えず、近藤先生と何ら変わらないではありませんか。
ガン治療に関する対局の2冊を読んで、結局の所、ガンはまだまあなる病気とは言えない、未知の病気なのだと思いました。何故かというとガンの原因が分かっていない、細胞が無秩序に増殖する原因が分かっていないのです。原因分かって初めて治療方法や薬ができるのが当たり前です。結局、現在の治療方法は対症療法似すぎないのでは。頭が痛いから、痛み止めを飲む、頭が痛い原因が脳の血管にあるのか、あるいは単なる頭の筋肉痛なのか、よく分からないけど痛み止めで痛みを止めたら、運良く治ったと言うのと変わりがない気がします。
私も歯科医ですから、現代の医学がそんないい加減なハズはないと思いたいところですが、考えれば考えるほど医療の限界を感じてしまうのです。私が好きな韓流ドラマ「チャングムの誓い」で医女となったチャングムが脈診をして煎じ薬を処方していましたが、現代の医師からすれば原因が分からないのに煎じ薬を処方しても治療できるはずがないと思うのと同じように、未来の医師が現在のガン治療を見ると原因が分かってもいないのに治療できないだろう言うのではないでしょうか。
しかしそんな未熟な現在のガン治療かも知れませんが、ガンになれば否応なく治療をどうするのか決めなくてはいけません。その時大切なのは、本当に正しい治療、本当に良い治療はどれなのかは、神のみぞ知るのみで、医師は自分の経験や知識から自分の信じる事を言うだけ、決して正しいことを言っている訳ではありません。ですから、ガンの治療に対しても正反対の意見があるのです。
私自身も患者さん治療方針を説明する時にいつも「これは私の考えです。私の方針が正しいとは限りません。違った治療方針を勧める先生も沢山いると思います。色々な先生の意見を聞いた上で、自分自身で治療方針を選択して下さい。」と話しています。
抗がん剤を使うのも、ガンを放置するのも、どちらかも絶対に間違いとは言い切れませんし、どちらかが絶対に正しいとは言えないのです。大切なことは、色々な意見を聞き、医師と十分話し合い、自分自身が納得して信じられる先生と一緒に病気に対処することだと思います。医師に任せるのではなく、自分自身が治療に積極的に参加していく事が大切です。医療は自己責任。それこそが、最善の治療方法だと思います。
しかし、近藤先生のガンを放置療法は、医学界の常識と対峙するものですから、ガン治療の最前線で活躍している医師から大いに批判されているのも事実です。私自身も近藤先生の主張に共感しつつも、現実に行われているガン治療を全て否定する事に一抹の不安がありました。そんな時偶然、近藤先生への反論と題した日本医科大学腫瘍内科教授の勝俣範之先生の”「抗がん剤は効かない」の罪”という本を見つけました。
片方だけの主張を聞いていては、客観的に自分自身で判断する事は出来ないと思い、早速、勝俣先生の本も読んでみました。勝俣先生の本を読めば、ガンの標準治療を受けることのメリットをより多く知ることができ、当然、現在のガンの標準治療に対して今まで以上に信頼感が深まると思っていました。
ところが思いがけないことに、勝俣先生の本を読んだ後、私は近藤先生のガン放置療法の方が正しいのではないかとの思いが一層強くなってしまいました。皮肉なことに抗がん剤の治療効果を主張する勝俣先生の本を読んだアタの方が、抗がん剤の治療効果を信じられなくなってしまったのです。
勝俣先生は、多くの乱文から集めたデータを示し近藤先生の主張を間違いだと論じていますが、勝俣先生の示したデータを信じてもなお、抗がん剤でガンが治るとは思えませんでした。
例えば本の中で最初に出てくる乳がん切除後の抗がん剤治療(CMF)の効果について、治療しなかった群では生存率が27%、治療した群では36%だから、治療効果があったと勝俣先生は述べていますが、その差はたった9%、おまけに36%しか生存できないのに辛い抗がん剤の副作用に耐え治療受ける意味があるのかと言う事です。
また再発進行大腸ガンに用いる抗がん剤「レゴラフェニブ」の延命効果については、投与を受けた人の生存期間が6.7ヶ月で、投与しなかった人の生存期間が5ヶ月、つまり1.7ヶ月の延命効果があったしています。病院のベット上で痛みに耐え1.7ヶ月長生きすることとに意味を見いだせますか。人生の最後をできるだけ体力を温存して家で家族で暮らす5ヶ月と、病院のベットで過ごす6.7ヶ月、どちらに価値を見いだすか、それは患者さんそれぞれ、どちらが一方的に良いとは決められないはずです。
結局、勝俣先生の本を読んで分かったことは、ある程度進行したガンの場合には抗がん剤の治療を受けてもガンの生存率は30%そこそこだと言う事、そして初期のガンの場合でも抗がん剤で生存率が改善するのは10%程度だと言う事でした。
不勉強だったのかも知れませんが勝俣先生の本を読むまで、実は私はもっと抗がん剤の治療効果が高いと思っていました。ガンは治る病気になったと、マスコミは盛んに報道するのでガンの治療効果を実際よりも高く思い込んでいたのです。
それから勝俣先生は近藤先生の主張を科学的根拠がして、科学的根拠を示した反論すると言っているにも関わらず、自身の本の後半では近藤先生のガン放置療法で酷くなった患者さんを自身が抗がん剤治療を行い延命した等々の症例を示し、抗がん剤が効果があると主張していました。これでは科学的根拠に基づいて反論しているとは言えず、近藤先生と何ら変わらないではありませんか。
ガン治療に関する対局の2冊を読んで、結局の所、ガンはまだまあなる病気とは言えない、未知の病気なのだと思いました。何故かというとガンの原因が分かっていない、細胞が無秩序に増殖する原因が分かっていないのです。原因分かって初めて治療方法や薬ができるのが当たり前です。結局、現在の治療方法は対症療法似すぎないのでは。頭が痛いから、痛み止めを飲む、頭が痛い原因が脳の血管にあるのか、あるいは単なる頭の筋肉痛なのか、よく分からないけど痛み止めで痛みを止めたら、運良く治ったと言うのと変わりがない気がします。
私も歯科医ですから、現代の医学がそんないい加減なハズはないと思いたいところですが、考えれば考えるほど医療の限界を感じてしまうのです。私が好きな韓流ドラマ「チャングムの誓い」で医女となったチャングムが脈診をして煎じ薬を処方していましたが、現代の医師からすれば原因が分からないのに煎じ薬を処方しても治療できるはずがないと思うのと同じように、未来の医師が現在のガン治療を見ると原因が分かってもいないのに治療できないだろう言うのではないでしょうか。
しかしそんな未熟な現在のガン治療かも知れませんが、ガンになれば否応なく治療をどうするのか決めなくてはいけません。その時大切なのは、本当に正しい治療、本当に良い治療はどれなのかは、神のみぞ知るのみで、医師は自分の経験や知識から自分の信じる事を言うだけ、決して正しいことを言っている訳ではありません。ですから、ガンの治療に対しても正反対の意見があるのです。
私自身も患者さん治療方針を説明する時にいつも「これは私の考えです。私の方針が正しいとは限りません。違った治療方針を勧める先生も沢山いると思います。色々な先生の意見を聞いた上で、自分自身で治療方針を選択して下さい。」と話しています。
抗がん剤を使うのも、ガンを放置するのも、どちらかも絶対に間違いとは言い切れませんし、どちらかが絶対に正しいとは言えないのです。大切なことは、色々な意見を聞き、医師と十分話し合い、自分自身が納得して信じられる先生と一緒に病気に対処することだと思います。医師に任せるのではなく、自分自身が治療に積極的に参加していく事が大切です。医療は自己責任。それこそが、最善の治療方法だと思います。