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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

祝? 2020年 東京オリンピック院長コラム

2013/10/01 

 2020年の夏のオリンピック開催地が東京に決まりました。東京は2016年の開催地誘致に失敗していましたから、念願の誘致成功に東京だけでなく、日本中が明るいニュースで包まれているように報道されています。開催決定後のマスコミ報道は、これを契機にバブル崩壊から20年に及ぶ長い、暗い不況とデフレのトンネルから日本経済が抜け出し、自信を失いかけていた日本人が再び元気を取り戻すと言う希望溢れる論調がほとんどです。そして、誘致の成功も日本経済の回復も全てが安倍首相の訴える、「アベノミクス」の成果のように書かれています。

 しかし、本当にオリンピックの東京開催は日本にとって良い事ばかりなのでしょうか?1964年の東京オリンピックの時とは、日本状況が余りに違いすぎて、オリンピックによる経済効果で日本の景気が良くなり、日本人が自信を取り戻すなんて事があるのでしょうか?1964年私は小学校1年生、オリンピックの開会式を家の白黒テレビで見たことを覚えています。また、父親が東京へ出張した時に競技を見に行ったと聞いて、大人になったら自分もオリンピックの競技を見られるようになりたいと未来に希望を抱きました。そして翌年の1965年の春休みにはあこがれの新幹線に乗って熱海に旅行に連れて行ったもらい、日本の技術力の凄さを実感し、何時かはこんな凄い物を作る技術者になれたらとも思いました。

 当時、戦後の混乱期から脱して発展途上のまっただ中の日本にとっては、オリンピックは国民に夢、希望そして自信を与え、公共投資で社会資本を整備するという一石二鳥の効果が有ったのは確かです。しかし、高度成長期を終え巡航成長いや低迷期?衰退期?に入ろうとしている日本にとってオリンピック開催の意味する物は何でしょう。社会資本も十分整備され、国民は皆、健康で文化的な暮らしをする事が出来ています。成長が鈍化したことで所得は上がらず、将来今以上に豊かな生活ができるというような明るい希望は持てていないのは事実ですが、今以上に道路や鉄道や空港が必要とは誰一人思っていません。

 それでもオリンピックの開催がメディアが訴えるように日本の未来を本当に明るいものにするなら、国民の血税を開催の準備に費やすのも良しとしましょう。しかし、それにも大きな疑問があります。オリンピック開催が景気回復の起爆剤になる理由の第一に挙げられるが、スタジアムや選手村の建設による公共事業の増加です。公共事業は小泉政権以来減少を続け、建設労働者は減少の一途をたどり、そこへ東日本大震災の復興のため未曾有の建設需要が生まれ、現場では人手不足で工事もままならない状況です。当然人件費も大幅アップで建設費用も軒並み増加しているにも関わらず、それでも工期は遅れ復興計画も予定通り進んでいないのが現状です。

 そこへ加えて、オリンピックのための建設工事が加われば、一層人手不足は深刻化し、首都圏に比べ不便な東北での建設現場で作業員を集めることは至難の業となることは明白です。結果としてオリンピックの開催が、東北の復興の足を引っ張ることになるのです。 困難を乗り越えて2020年に何とか無事にオリンピックを開催した後にも問題は続きます。一番の問題は建設した競技場などの維持費のも問題です。人口減少社会に突入した日本で新たに建設したスポーツ施設や選手村として建設した住宅を利用する人が本当にいるのか、それを維持する費用を負担する税収を得ることができるのかという問題です。

 15年前の長野オリンピックの競技施設の内の6施設がある長野市では、年感2億円の施設維持費がかかり、それに対する収入は700万円と大赤字で、何とか施設を国に移管できないかと交渉中、つまりは国と長野市の間でお荷物施設の押し付け合いをしているのが現状です。今でさえ、この状況なのに、人口が減少していく日本社会が新たな競技施設を維持管理していく余力が本当にあるのでしょうか。

 そしてもう一つの問題は、開催地が東京と言う事です。ただでさえ東京一極集中と言われ、人や物が集中する東京でこれ以上人や物を集めることが良いことなのでしょうか?交通機関の混雑は激しさを増し、地価も当然上昇し、一般庶民は暮らしにくくなるばかりでしょう。それに対して、地方では東京に人が吸い取られることで過疎化は一層加速して、地方経済は破綻、日本中に廃墟、廃村が出現することでしょう。

 東京都の猪瀬知事は、東京都は東京オリンピック開催のために4000億円を用意していると発言していました。都民の血税から蓄えた4000億円の基金の事らしいですが、オリンピックの開催に血税をつぎ込むことが本当に正しいことなのか疑問でなりません。4000億円有れば東京でも大問題になっている待機児童の問題だって、一挙に解決できるのではないでしょうか?4000億円あれば保育所は数千施設作る事が出来るでしょう。保育士の給与に補助金を出して、保育の現場から離れている保育士の現場復帰を促すこともできるでしょう。そして何より、次の日本を背負う子供を増やし、人口減少を食い止める事が出来るかも知れません。

 政治家は後世に自分の業績を残したがる物だと聞いたことがありますが、作家だった猪瀬直樹氏も東京都知事という政治家となって、歴史に自分の名を刻むためにオリンピックを招致したのではないかと心配になってします。

 開催が決定した今となっては、できるだけ簡素に無駄な施設を建設せず、後世に負担を残すことのないようなオリンピックになることを願うばかりです。

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