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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

税の矛盾院長コラム

2011/12/1 

 年末が近づき、来年度の予算編成のニュースが流れています。例年は、公共事業や新幹線建設などの税金の使い道に関する報道が多いような気がしていますが、今年は消費税の導入の是非に加えて、自動車取得税(地方税)と自動車重量税(国税)の廃止など、徴収に関して注目が集まっています。

 税金の使い道に関しては、どこに予算が付くつかないと大騒ぎしたあげく、結局、政治家や官僚の利権が幅をきかせると言うのが暗黙の了解です。最近の報道を見ていると、税の徴収についてもやはり同じように官僚や政治家の都合、利権で制度が変更されていくように思えます。先程、書いた自動車関連の税金の廃止が、なぜか今年、突然検討されているかと言えば、東日本大震災、極度の円高、そして大洪水で自動車産業が打撃を受けたので、少しでも自動車の販売を増やすため減税しようと言う事です。消費税の導入時に物品税が廃止になり同時に廃止になるべきだった自動車取得税、長く二重課税と批判されてもずっと放ったらかしだったのに、何を今更。結局、消費者のことよりも企業優先なのが明白です。

 消費税の税率アップは、国民の反対も多いでしょうが野田総理の決意は固く、法案提出は避けられそうにありません。消費税率アップ反対を叫ぶ政治家も沢山いますが、その心中は選挙で負けるのが怖いだけでしょう。消費税は低所得層にとって負担の大きい逆累進的な税金と言うのが一般的な認識であるように思いますが、これは本当に正しいと言えるでしょうか?
 
 高額所得者は、高額な出費をするので当然消費税も沢山支払います。総務省による2000年~2009年の集計データでは、年収約400万円の世帯では消費の割合は80%台、年収約1000万円の世帯では60%台となっていますから、単純に消費税率5%が全ての出費で徴収されているとすれば、それぞれの負担する消費税額は16万円と30万円でその差は14万円。これが2倍の10%になればその差も2倍の28万円、消費税が上がれば上がるほど低所得者と高額所得者の負担する消費税額の差は広がります。累進課税の所得税で沢山所得税を払った高額所得者が、消費税も沢山払ってくれる、実は消費税は低所得者にとって有利な税金かも知れません。その上、消費税で徴収された税収は介護保険等の社会保障費に充てられるはず?なので、当然低所得者への分配が多くなるはずです。

 そして、もう一つ消費税には良い面があります。それは、所得税は日本で所得を上げる人からしか徴収することができませんが、消費税は日本にいる人全てから税を徴収できるところです。仕事や観光で日本にやってくる外国人も日本人のために税金を納めてくれるのです。天神地下街を団体で闊歩している中国人観光客も消費税を支払ってくれるのです。お土産は免税品でも、食事や観光、宿泊費など全て消費税の対象です。日本も観光を一大産業と考えるなら、消費税の税率が高いに超したことはありません。

 さて最後にもう一つ、私の仕事にも関係する医療費控除に関する疑問?矛盾?です。医療費控除は、原則として1年間に支払った医療費の総額の10万円を越える部分を所得から控除できるという制度です。所得の控除ですから、控除される額に対する所得税が減額されると言うことですから、所得税率が高いほど、言い換えれば所得が高いほど減額される所得税が多いことになります。例えば矯正治療費を60万円を支払い、医療費控除の額を50万円とします。国税に限って言えば課税所得が330万円未満の所得税率10%の人が申告すると還付される税額は5万円、これに対して課税所得が1,800万円超、所得税率40%の人では20万円が還付されることになります。最初に支払っている所得税が多いと言えばそれまでですが、実質的な矯正治療費の負担は、55万円と40万円となってしまい、高額所得者の方が安く治療が受けられると言えなくもありません。

 中学校の社会科の教科書に書いてあった税金の目的の一つに所得の再分配つまり、高額所得者が多くの税金を負担し、低所得者はその税金を元に多くの社会保障を得ると言うのを覚えています。この考えに基づいて所得税は累進課税となっているのでしょうが、医療費控除はこの逆を行く制度となっているような気がします。どうせなら例えば医療費の10%を税額控除(税金からその金額を引く)とすれば、誰にも公平な制度になっていた気がしないでもありません。まあ、この医療費控除という制度自体、たぶん官僚や政治家が健康保険の自己負担分が高額だとの批判をかわす為にために導入した制度なんでしょうから、真に国民の為にはなっていないのは当然かも知れません。

 色々書きましたが、自分が支払う税金が多いとか、少ないとか、これをすれば税金が還付されるとか、税金のこととなると、とにかく税金を払いたくない、その目の前の損得ばかりに目が行きがちです。しかし、官僚や政治家はその国民の心の隙を突いて、自分たちに都合の良い制度、税制を導入しようと躍起です。損得に惑わされること無く、冷静に判断し、少しでも税金の矛盾を無くしていけるように賢い国民になりたいものです。

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