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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

日本の農業の未来のためにTPP参加に賛成!院長コラム

2011/11/1 

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の交渉参加期限が迫り、政界では、与党、野党を問わず意見が二分して、大騒ぎです。野田総理は交渉参加を示唆していますが、与党民主党内でも地方の農業従事者を地盤とした議員は参加に大反対で、民主党内だけでなく野党議員とも連携して反対集会を開こうとしている有様です。

 輸出で栄える産業界はTPPに賛成、国内消費が主体の農業従事者は反対、対決の構図は単純です。TPP参加反対派の根拠は、TPPで関税が撤廃され低価格の農産物が日本に輸入されれば、高コストで価格が高い日本の農産物は生き残れないと言うことです。この農業の存続に関する問題については、賛成派の認識も大きく異なることはなく、農業保護のために補助金等で日本の農業の存続を支えるとしています。結局、日本の農業は、アメリカなどのTPP参加国の農業には太刀打ちできないと全ての政治家が考えている訳です。

 しかし、本当に日本の農業はそんなにダメなのでしょうか?美味しいお米、美味しい果物、世界中のどこにも負けない高品質の農産物が、そんなに簡単に海外の農産物に負けてしまうとは思えません。このまま、高い関税で海外からの農産物の流入を防いで農業を保護していても、人口が減少していく日本のマーケットだけを相手にしていては、消費が衰え農業生産高はじり貧になり日本の農業は終焉を迎えてしまいます。
 
 人口減少で日本のマーケットを頼りにできないと考える産業界が世界に出ていくのと同じように、日本の農業も世界のマーケットに出て行かない限りこれからの発展は見込めません。その第一歩がTPPへの参加です。貿易は、相互の利益の攻防ですから、自らマーケットを開かなければ、相手もマーケットを開いてくれません。日本のマーケットを開いてこそ、相手の国のマーケットも開いてもらえるのです。日本の高品質の農産物を輸出するために、外国と相互にマーケットを開こうと言うだけのことです。

 そんなことを言っても農産物と工業製品は違う、農産物は工業製品と同じようにいく訳がないと言う人が一般的でしょう。しかしそんなことはありません。農産物にも、関税自由化にもかかわらず、売上を伸ばした例があるのです。それは「サクランボ」、1977年に関税が撤廃され、当時、「そんなことをしたら、国産サクランボが壊滅する」という反対論がありましたが、現実には、国産サクランボは高級品への転換で差別化し、自由化以降に生産額は大幅拡大しました。アメリカンチェリーも沢山輸入されていますが、「サクランボ」に対する認知度が上がり、結果として国産の高級サクランボの生産額は、1977年から2009年で約1.5倍に大幅増加しているのです。サクランボの季節になると山形の高級さくらんぼ「佐藤錦」が盗難に遭った、と言うニュースを毎年、目にするようになりましたが、自由化以前にサクランボが盗難に遭う程、人気があった事なんて聞いたこともありませんでした。その上、2005年からは「佐藤錦」の輸出も行われるようになりました。

 他にも福岡のイチゴ「あまおう」はシンガポールや上海で1粒500円近い価格にも関わらず、売上を伸ばしています。お米も新潟産コシヒカリは、中国でも高級米として人気が高く、高価格で販売されています。

 高性能で高い信頼性を誇る日本車も輸出を始めた1960年代には、アメリカで高速道路を走るのが怖いと言われるくらい、性能が低い状態だったのです。それから改良を続けたことで、高い信頼性を勝ち取り日本車のブランド価値を確立し、日本の輸出産業の大黒柱になったのです。結局、産業の繁栄には製品の品質、性能が第一、それは工業製品、農産物どちらにも通じることなのです。

 時代は流れて、工業製品でもコモディティ商品は中国などの大量生産で生産コストの安い品物に席巻され、特にテレビなどの家電品では日本のメーカの苦戦が続いています。その家電メーカーの生き残り策は何かと言えば、結局、高機能、高品質の製品を開発、製造することになっています。ですから、農産物でもこれと同じ事を実現すれば良いだけのことです。

 国土が狭く、資源に乏しい日本は、工業製品、農産物の区別なく、高品質、高機能な製品を生産し、世界に供給する事で生き残るしかありません。そして、それが出来る能力、ノウハウを日本人は持っているのです。

 日本の農業に従事する方々、そしてJA(全国農業協同組合連合会)が自分たちの仕事、農産物に自信を持ち世界に日本の農産物を供給し、農業が工業製品と同様に日本の輸出産業となる位の気概を持ってもらいたいと思います。そうすれば、農業は成長産業となり、若者の就業も増加し、良い事ずくめではありませんか?

 私にはTPP参加の向こうに日本の農業の明るい未来が開けているように思えてなりません。

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