医食同源院長コラム
2011/10/01
夏の初めから私の故郷名古屋に兄家族と暮らしている86歳になる母が体調を崩し、福岡の病院に通院することになり2ヶ月半に渡り私の家で過ごしました。私が名古屋に母を迎えに行った時、母は、目に見えて衰えていました。大きな病気を患うこともなくずっと元気だった母が、ちょっとした病気を切っ掛けに、次々と病気になり、こんなに衰えてしまった母を何とか元気にしてやりたい、その一心で私と妻の看病?介護?が始まりました。
当初は本当に食欲が無く、ほんの少し食べると吐き気がすると言って中々食事が進まず、それでも少しずつ時間をかけて、それこそ一食に二時間も時間をかけ何とか少し食べるような状態でした。幸運にも妻は料理が好きで得意でしたから、少しでも母が食べる気を起こすようにと沢山の種類のおかずを作り、一口ずつでも良いから食べるようにと本当に心を尽くして食事の準備をしてくれていました。その甲斐あって、一口が二口、三口と、少しづつ母の食事の量は増えていきました。そして偶然胃潰瘍があることが分かり、それを処置してからは、食事の量は一段と増え体力も徐々に回復していきました。
それと同時に母の体に驚くべき変化が起こってきました。かなり前から、母は高血圧と高脂血症と言われ、治療薬をずっと飲み続けていました。それなのに妻が作る食事を食べていく内に血圧も正常値になり、血液検査での中性脂肪の値も正常値になってしまっていたのです。兄家族と食事をしていた母は、若い人の好む食事つまり高カロリーの脂っこい食事を知らず知らずの内に食べていたのです。それが妻が母のために作る日本食つまり魚や野菜を中心とした低カロリー、高蛋白の食事を摂ることにより、高血圧も高コレステロール血症も改善していってしまったのです。鰹や昆布から出汁を取って、そのうまみで塩や調味料を減らした健康的な日本食、作るのは大変でしょうがこれが健康に非常に良いのでしょう。
この妻の活躍と病院での治療で、母は体調を回復し、無事名古屋に帰ることができました。私も母の面倒をみてくれた妻の手伝いをしようと思っていましたが、私ができることは僅かで、妻に感謝するばかりでした。
そんな母の面倒を見ている最中、今度は妻の父が緊急入院しました。原因不明の浮腫で胸水が貯まり血中の酸素飽和度が低下していました。数年前にも同じ症状で入院しましたが、色々検査をしても原因が分からないまま症状が改善し退院したのです。今回も色々検査したのですが、はっきりした原因は分からない、血液検査でアルブミンの値が微妙に低いくらいとのことでした。
偶然このアルブミンの値のことを知り合いの内科の先生に話したところ、浮腫があるならアルブミン製剤を投与する方法もあると教えて頂きました。しかし担当医に唐突にアルブミンを投与してほしいとも言う訳にも行かず、私なりにアルブミンと浮腫との関係を少し勉強してみることにしました。その結果、実は義父はタンパク質不足で血中のアルブミンが不足しているのでは、それによって浮腫が起こっているのではないかと思えてきました。
メタボと糖尿を気にしている義父は低カロリーな食事を意識しすぎるあまり、結局低カロリー、低蛋白の食事を摂り続け、言わば栄養失調の状態になり浮腫が起こっていたに違いない、だから入院して病院の食事を摂り、栄養状態が改善すると浮腫も改善していったと考えた訳です。この仮説を妻が義父に話したところ、本人も思い当たる節があったようでした。そうこうしている内に、今回も何の治療をすることもなく浮腫は改善し、10日足らずで退院する事が出来、私は自分の仮説が正しかったと確信しました。
この夏の私たち夫婦の年老いた親の病気、看病、介護の経験から、私は「医食同源」と言う言葉の意味をようやく理解する事が出来たような気がします。病気や症状を改善するのには医療や薬が必要ですが、医療や薬だけでは人は健康にはなりません。血圧が高い、コレステロール値が高い、血糖値が高いと症状を訴えて病院に行けば、その症状を改善する薬を処方してくれます。しかし、いくら薬を飲んでも症状が抑えられるだけで薬を飲むのを止めれば何の改善もありません。その上、薬はだんだん効かなくなりますから徐々に量が増え結局肝臓や腎臓に負担がきて、今度は他の所が悪くなっていってしまいます。そして次々と飲む薬が増え、体力が衰え薬の力で生きてはいるが寝てるだけになってしまうのではないでしょうか?
体力が衰え何事にも無理が効かなくなった高齢者には、健康的な食事これこそが一番大切なのです。若くて消化器その他の内臓も強い時代には高カロリーも高塩分も消化し、排泄できて問題ないのでしょうが、内臓が弱くなってきている高齢者には体に優しい低カロリー、高蛋白、そして偏りを減らす少量他品種の食事が必要です。高齢者が健康に暮らすには、「医食同源」これしかありません。
健康的な食事と適度な運動で過度に医療に頼ることなく暮らす、それこそが幸せに人生を全うする秘訣ではないでしょうか?以前から私は老人ホームを作りたいと思っていましたが、これでその目指すキーワードを「医食同源」とする事に決めました。「医食同源」で「ピンピンころり」、そんな老人ホーム、何時か実現させてみます。
当初は本当に食欲が無く、ほんの少し食べると吐き気がすると言って中々食事が進まず、それでも少しずつ時間をかけて、それこそ一食に二時間も時間をかけ何とか少し食べるような状態でした。幸運にも妻は料理が好きで得意でしたから、少しでも母が食べる気を起こすようにと沢山の種類のおかずを作り、一口ずつでも良いから食べるようにと本当に心を尽くして食事の準備をしてくれていました。その甲斐あって、一口が二口、三口と、少しづつ母の食事の量は増えていきました。そして偶然胃潰瘍があることが分かり、それを処置してからは、食事の量は一段と増え体力も徐々に回復していきました。
それと同時に母の体に驚くべき変化が起こってきました。かなり前から、母は高血圧と高脂血症と言われ、治療薬をずっと飲み続けていました。それなのに妻が作る食事を食べていく内に血圧も正常値になり、血液検査での中性脂肪の値も正常値になってしまっていたのです。兄家族と食事をしていた母は、若い人の好む食事つまり高カロリーの脂っこい食事を知らず知らずの内に食べていたのです。それが妻が母のために作る日本食つまり魚や野菜を中心とした低カロリー、高蛋白の食事を摂ることにより、高血圧も高コレステロール血症も改善していってしまったのです。鰹や昆布から出汁を取って、そのうまみで塩や調味料を減らした健康的な日本食、作るのは大変でしょうがこれが健康に非常に良いのでしょう。
この妻の活躍と病院での治療で、母は体調を回復し、無事名古屋に帰ることができました。私も母の面倒をみてくれた妻の手伝いをしようと思っていましたが、私ができることは僅かで、妻に感謝するばかりでした。
そんな母の面倒を見ている最中、今度は妻の父が緊急入院しました。原因不明の浮腫で胸水が貯まり血中の酸素飽和度が低下していました。数年前にも同じ症状で入院しましたが、色々検査をしても原因が分からないまま症状が改善し退院したのです。今回も色々検査したのですが、はっきりした原因は分からない、血液検査でアルブミンの値が微妙に低いくらいとのことでした。
偶然このアルブミンの値のことを知り合いの内科の先生に話したところ、浮腫があるならアルブミン製剤を投与する方法もあると教えて頂きました。しかし担当医に唐突にアルブミンを投与してほしいとも言う訳にも行かず、私なりにアルブミンと浮腫との関係を少し勉強してみることにしました。その結果、実は義父はタンパク質不足で血中のアルブミンが不足しているのでは、それによって浮腫が起こっているのではないかと思えてきました。
メタボと糖尿を気にしている義父は低カロリーな食事を意識しすぎるあまり、結局低カロリー、低蛋白の食事を摂り続け、言わば栄養失調の状態になり浮腫が起こっていたに違いない、だから入院して病院の食事を摂り、栄養状態が改善すると浮腫も改善していったと考えた訳です。この仮説を妻が義父に話したところ、本人も思い当たる節があったようでした。そうこうしている内に、今回も何の治療をすることもなく浮腫は改善し、10日足らずで退院する事が出来、私は自分の仮説が正しかったと確信しました。
この夏の私たち夫婦の年老いた親の病気、看病、介護の経験から、私は「医食同源」と言う言葉の意味をようやく理解する事が出来たような気がします。病気や症状を改善するのには医療や薬が必要ですが、医療や薬だけでは人は健康にはなりません。血圧が高い、コレステロール値が高い、血糖値が高いと症状を訴えて病院に行けば、その症状を改善する薬を処方してくれます。しかし、いくら薬を飲んでも症状が抑えられるだけで薬を飲むのを止めれば何の改善もありません。その上、薬はだんだん効かなくなりますから徐々に量が増え結局肝臓や腎臓に負担がきて、今度は他の所が悪くなっていってしまいます。そして次々と飲む薬が増え、体力が衰え薬の力で生きてはいるが寝てるだけになってしまうのではないでしょうか?
体力が衰え何事にも無理が効かなくなった高齢者には、健康的な食事これこそが一番大切なのです。若くて消化器その他の内臓も強い時代には高カロリーも高塩分も消化し、排泄できて問題ないのでしょうが、内臓が弱くなってきている高齢者には体に優しい低カロリー、高蛋白、そして偏りを減らす少量他品種の食事が必要です。高齢者が健康に暮らすには、「医食同源」これしかありません。
健康的な食事と適度な運動で過度に医療に頼ることなく暮らす、それこそが幸せに人生を全うする秘訣ではないでしょうか?以前から私は老人ホームを作りたいと思っていましたが、これでその目指すキーワードを「医食同源」とする事に決めました。「医食同源」で「ピンピンころり」、そんな老人ホーム、何時か実現させてみます。