医師不足解消の切り札院長コラム
2009/04/01
年度末で各地の公立病院が経営状態の悪化や医師不足から閉院したというニュースが伝えられています。地域の拠点病院として地域医療を担ってきた公立病院の閉鎖は、地域社会の生活基盤を脅かす問題として、市長、町長などの首長のリコール運動まで巻き起こしています。最近の報道の多くは、経営状態の悪化の原因は、非効率な経営ではなく、多くの場合医師不足による診療科の閉鎖とそれに伴う患者減少と言った物で、国民の医療への不安の最大の要因は医師不足だと断じています。
しかし本当に医師は不足しているのでしょうか?確かに高齢化社会の到来と共に人口に対する必要とする医師の数は増加すると考えられますが、医師の数も着実に増加していますから単なる数の不足とは考えにくいと思います。その証拠に都会では、開業医の増加で患者さん集めに苦労する病院、医院の多さを象徴するように電柱やバス停に医院や病院の広告が溢れています。それだけ見れば、医師過剰時代の到来かと思わせる状況です。
一方では医師不足で閉鎖に追い込まれる病院が有り、その一方都会では開業医が溢れ患者さん集めに苦労する。つまりは、不足ではなく不均衡、医師の地域や診療科における偏在がすべての原因です。生活のし易い都会に医師は集まり、夜勤等で労働環境が厳しい病院勤務を避け開業医になる。診療科目も急患等が少ない眼科、皮膚科あるいは高齢化社会で需要が増えると思われる内科それに自費診療で高額所得が得られる美容外科に医師は集まり、偶発事故が心配される産科や急患が多くおまけに少子化で需要が減退すると思われる小児科を選ぶ医師は少ない。考えてみれば単純なこと。社会では、医師と言う仕事に他の職業とは比べものにならないくらいの使命感を求めているようですが、所詮医師も人の子、使命感や倫理観だけで仕事を選べと言ってもそれは無理な話です。要するに現状の日本の医療制度、医学部教育では、幾ら医学部定員を増やして医師の数を増やしたところで、開業医が増えるばかりで意味が無いのです。
この不均衡を改善するには、医学部教育や健康保険制度を抜本的に変える必要があると思います。国民の健康を守るのが政府の役割というならそれに必要な医師を養成するのが国の仕事。それには国が医師養成の費用をすべて負担する代わりに医師になってからは国民が必要とする地域で必要とする診療科で働いてもらうしか有りません。職業選択の自由とか色々批判が有るかも知れませんが、防衛大学で幹部自衛官を養成するのと同じと考えればいいのではないでしょうか?来年から国立大学の医学部は授業料免除、全員に奨学金の贈与(貸与ではなく)、その代わり6年後医師国家試験に合格した暁には、全員国家公務員に任命し20年間は、赴任地、診療科目は国が決める。もし任命を拒否するなら、授業料、奨学金すべてを返還してもらう、これで良いのではないかと思います。つまり、国立大学の医学部はすべて防衛医科大学校のようなシステムにすると言う事です。(ちなみに防衛医科大学校を卒業後自衛官への任官を拒否した場合、約5,000万円を国に返還する義務が生じます。)
これで10年、15年後には医師の偏在は解消されるともいますが、即効性を望むならラジカルな健康保険制度の改革しか有りません。これは、至極簡単です。医師が不足している診療科目の診療報酬を2倍、3倍に上げればすぐに解決します。小児科医が不足なら小児の初診料、再診料その他のすべての診療報酬を2倍とし、且つ20年間それを維持すると国が医師に約束する訳です。ここで肝心なのは、20年間と期間を決めることです。最初は美味しいことを言い、多くの医療機関が算入したところで規制し、診療報酬を下げるのが、厚生労働省の保険行政の常套手段ですから、長期に渡る制度の保証が無いことには、それを選択する医師はいないでしょう。
こうした抜本的な改革には、多くの費用も必要です。しかし、国民が本当にそれを必要としているなら、躊躇無く迅速に実行するのが政治家の仕事と思います。さて、今の日本に本当の政治家は居るのでしょうか?
しかし本当に医師は不足しているのでしょうか?確かに高齢化社会の到来と共に人口に対する必要とする医師の数は増加すると考えられますが、医師の数も着実に増加していますから単なる数の不足とは考えにくいと思います。その証拠に都会では、開業医の増加で患者さん集めに苦労する病院、医院の多さを象徴するように電柱やバス停に医院や病院の広告が溢れています。それだけ見れば、医師過剰時代の到来かと思わせる状況です。
一方では医師不足で閉鎖に追い込まれる病院が有り、その一方都会では開業医が溢れ患者さん集めに苦労する。つまりは、不足ではなく不均衡、医師の地域や診療科における偏在がすべての原因です。生活のし易い都会に医師は集まり、夜勤等で労働環境が厳しい病院勤務を避け開業医になる。診療科目も急患等が少ない眼科、皮膚科あるいは高齢化社会で需要が増えると思われる内科それに自費診療で高額所得が得られる美容外科に医師は集まり、偶発事故が心配される産科や急患が多くおまけに少子化で需要が減退すると思われる小児科を選ぶ医師は少ない。考えてみれば単純なこと。社会では、医師と言う仕事に他の職業とは比べものにならないくらいの使命感を求めているようですが、所詮医師も人の子、使命感や倫理観だけで仕事を選べと言ってもそれは無理な話です。要するに現状の日本の医療制度、医学部教育では、幾ら医学部定員を増やして医師の数を増やしたところで、開業医が増えるばかりで意味が無いのです。
この不均衡を改善するには、医学部教育や健康保険制度を抜本的に変える必要があると思います。国民の健康を守るのが政府の役割というならそれに必要な医師を養成するのが国の仕事。それには国が医師養成の費用をすべて負担する代わりに医師になってからは国民が必要とする地域で必要とする診療科で働いてもらうしか有りません。職業選択の自由とか色々批判が有るかも知れませんが、防衛大学で幹部自衛官を養成するのと同じと考えればいいのではないでしょうか?来年から国立大学の医学部は授業料免除、全員に奨学金の贈与(貸与ではなく)、その代わり6年後医師国家試験に合格した暁には、全員国家公務員に任命し20年間は、赴任地、診療科目は国が決める。もし任命を拒否するなら、授業料、奨学金すべてを返還してもらう、これで良いのではないかと思います。つまり、国立大学の医学部はすべて防衛医科大学校のようなシステムにすると言う事です。(ちなみに防衛医科大学校を卒業後自衛官への任官を拒否した場合、約5,000万円を国に返還する義務が生じます。)
これで10年、15年後には医師の偏在は解消されるともいますが、即効性を望むならラジカルな健康保険制度の改革しか有りません。これは、至極簡単です。医師が不足している診療科目の診療報酬を2倍、3倍に上げればすぐに解決します。小児科医が不足なら小児の初診料、再診料その他のすべての診療報酬を2倍とし、且つ20年間それを維持すると国が医師に約束する訳です。ここで肝心なのは、20年間と期間を決めることです。最初は美味しいことを言い、多くの医療機関が算入したところで規制し、診療報酬を下げるのが、厚生労働省の保険行政の常套手段ですから、長期に渡る制度の保証が無いことには、それを選択する医師はいないでしょう。
こうした抜本的な改革には、多くの費用も必要です。しかし、国民が本当にそれを必要としているなら、躊躇無く迅速に実行するのが政治家の仕事と思います。さて、今の日本に本当の政治家は居るのでしょうか?