高齢者医療制度院長コラム
2008/06/01
最近、親族の体調不良をきっかけに高齢者を取り巻く厳しい医療状況をかいま見てしまいました。新聞、テレビのニュースでは後期高齢者医療制度の施行に伴い高齢者の保険料負担が増えたとか減ったとかの問題点を大きく取り上げていますが、そんな費用のことよりも今の医療制度で高齢者の健康を守れるのか、大変疑問です。
高齢になれば体のそこかしこに調子が良くないところがあるものですが、病状の軽い初期の状態の時に適正な医療や介護を受ければ、症状が悪化し高度な医療を受ける必要がない場合も多いと思います。しかし、症状がひどくなってからの事に重点を置いているのが今の医療制度です。一人暮らしの老人が軽い風邪でも引いて体調を崩したとき、誰か食事の世話をしてくれますか?内科を受診し薬を処方してもらったものの、自分で食事の準備もできず、ついつい食べるのが面倒になる。そうしている間に体力は落ち、病状は悪化する。そして結局入院治療。これが現実です。介護保険を利用したらよいと思われるかも知れませんが役所に介護保険の給付を申請し、ケアマネージャーが介護度を審査し、と手続きは多義に渡り、すぐに間に合う訳はありません。それなら内科で入院させればと思いますが、療養型病床を減らしている現状ではどこの病院も病床に余裕がなく症状が軽い高齢者をすぐに入院させてくれる病院はありません。体調を崩した時、その日の食事からが困るのに、結局、頼る人がいない高齢者を救う制度になっていないのが現状です。
それでは、どうしたら高齢者が安心して暮らせる制度になるのでしょうか?それには、2世代、3世代が同居していた時代に家族がふだんから体調がよい悪いにかかわらず高齢者の体調に気を配っていたように,核家族化が進み、独居高齢者が増えた現代の社会ではふだんから健康な状態であっても高齢者の暮らしを見守る制度が必要だと思います。名付け『シニアライフサポーター制度』はどうでしょう。ケアマネージャーや医師の助けを必要になる前から、高齢者の生活を見守り、もしも体調を崩したときには、即時に医療や食事等の生活の助けを手配する世話役、これがシニアライフサポーターです。一人の人間である高齢者を、健康な状態、介護が必要な状態、医療が必要な状態と区別するのが今の制度です。しかし、一人の人間をそうして区別するとその境目で、どうしてもトラブルが起こります。連続した人の生活にかかわる医療や介護を分断すること自体に無理があるのです。今の制度は、医療や介護を受ける高齢者の立場で運営されているのではなく、医療や介護を施す側の立場で作られているとしか思えません。介護はここまで、医療はここまでと線を引き、それ以外は知りませんよと言う訳です。しかし、高齢者の抱える問題は一人一人違い必要とする医療や介護も違います。それをシニアライフサポーターが一体として管理し、高齢者の健康を守るのです。一人の医師が高齢者の医療全体を管理する制度として、厚生労働省は後期高齢者医療制度の中に「かかりつけ主治医(高齢者担当医制度)制度」を創設しましたが、それは医療の窓口を一元化し、重複診療の無駄をなくそうとしているに過ぎずそれでは高齢者の健康を守ることができるとは思えません。
医療費の抑制には、高齢者に少しでも健康に暮らしてもらうことが一番。そのためには日々の暮らしを見守り初期症状で食い止めることが大切なはずです。高齢者医療に費用がかかると盛んに言われていますが、本当にそうでしょうか?本来、体力がない高齢者に大変な手術を行うことなどは不可能で、高額な医療費が必要だとは思えません。それなのに高齢者医療に莫大な医療費が必要なのは、高齢者の健康な暮らしを助けるという発想がないことが原因ではないのでしょうか?
健康保険制度の中に政府管掌保険、共済組合、健康保険組合、国民健康保険等があり、その上高齢者医療制度、介護保険と、官僚や政治家は制度を分断し組織を増やすことで自分たちの天下り先や縄張りを増やすことにばかり熱心で、本当に高齢者の事を考えているとはとても思えません。こんなお粗末な日本の医療福祉制度のお世話にならなければいけないと思うと、日々高齢者に近づいている自分としても将来がとても心配です。
高齢になれば体のそこかしこに調子が良くないところがあるものですが、病状の軽い初期の状態の時に適正な医療や介護を受ければ、症状が悪化し高度な医療を受ける必要がない場合も多いと思います。しかし、症状がひどくなってからの事に重点を置いているのが今の医療制度です。一人暮らしの老人が軽い風邪でも引いて体調を崩したとき、誰か食事の世話をしてくれますか?内科を受診し薬を処方してもらったものの、自分で食事の準備もできず、ついつい食べるのが面倒になる。そうしている間に体力は落ち、病状は悪化する。そして結局入院治療。これが現実です。介護保険を利用したらよいと思われるかも知れませんが役所に介護保険の給付を申請し、ケアマネージャーが介護度を審査し、と手続きは多義に渡り、すぐに間に合う訳はありません。それなら内科で入院させればと思いますが、療養型病床を減らしている現状ではどこの病院も病床に余裕がなく症状が軽い高齢者をすぐに入院させてくれる病院はありません。体調を崩した時、その日の食事からが困るのに、結局、頼る人がいない高齢者を救う制度になっていないのが現状です。
それでは、どうしたら高齢者が安心して暮らせる制度になるのでしょうか?それには、2世代、3世代が同居していた時代に家族がふだんから体調がよい悪いにかかわらず高齢者の体調に気を配っていたように,核家族化が進み、独居高齢者が増えた現代の社会ではふだんから健康な状態であっても高齢者の暮らしを見守る制度が必要だと思います。名付け『シニアライフサポーター制度』はどうでしょう。ケアマネージャーや医師の助けを必要になる前から、高齢者の生活を見守り、もしも体調を崩したときには、即時に医療や食事等の生活の助けを手配する世話役、これがシニアライフサポーターです。一人の人間である高齢者を、健康な状態、介護が必要な状態、医療が必要な状態と区別するのが今の制度です。しかし、一人の人間をそうして区別するとその境目で、どうしてもトラブルが起こります。連続した人の生活にかかわる医療や介護を分断すること自体に無理があるのです。今の制度は、医療や介護を受ける高齢者の立場で運営されているのではなく、医療や介護を施す側の立場で作られているとしか思えません。介護はここまで、医療はここまでと線を引き、それ以外は知りませんよと言う訳です。しかし、高齢者の抱える問題は一人一人違い必要とする医療や介護も違います。それをシニアライフサポーターが一体として管理し、高齢者の健康を守るのです。一人の医師が高齢者の医療全体を管理する制度として、厚生労働省は後期高齢者医療制度の中に「かかりつけ主治医(高齢者担当医制度)制度」を創設しましたが、それは医療の窓口を一元化し、重複診療の無駄をなくそうとしているに過ぎずそれでは高齢者の健康を守ることができるとは思えません。
医療費の抑制には、高齢者に少しでも健康に暮らしてもらうことが一番。そのためには日々の暮らしを見守り初期症状で食い止めることが大切なはずです。高齢者医療に費用がかかると盛んに言われていますが、本当にそうでしょうか?本来、体力がない高齢者に大変な手術を行うことなどは不可能で、高額な医療費が必要だとは思えません。それなのに高齢者医療に莫大な医療費が必要なのは、高齢者の健康な暮らしを助けるという発想がないことが原因ではないのでしょうか?
健康保険制度の中に政府管掌保険、共済組合、健康保険組合、国民健康保険等があり、その上高齢者医療制度、介護保険と、官僚や政治家は制度を分断し組織を増やすことで自分たちの天下り先や縄張りを増やすことにばかり熱心で、本当に高齢者の事を考えているとはとても思えません。こんなお粗末な日本の医療福祉制度のお世話にならなければいけないと思うと、日々高齢者に近づいている自分としても将来がとても心配です。