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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

低賃金の元凶は労働組合院長コラム

2023/12/01 政治・経済

約10年前の2012年が第二次安倍内閣においてアベノミクスと称して物価上昇率2%を目標に財政出動を柱とする経済政策が行われてきましたが、財政赤字が膨らむばかりで効果は無く、デフレ徒弟賃金が続いていました。ここに来てバブル崩壊以来30年、デフデフレと低賃金に苦しんでいた日本経済でしたが、コロナ明けの経済活動の活発化による人手不足と円安の相乗効果でようやく物価上昇率が2%超えようとしています。ところが岸田政権は、物価の上昇の経験が無い働き盛りの50歳未満の国民が物価上昇に驚き悲鳴を上げる様子に驚愕して、今度は逆に物価高に対する補助金を政府は支給しようとしているありさまです。物価が上がらないことが良いのか?物価が上がった方が良いのか?、政府はどちらを向いているのか国民には岸田内閣の政策の方向性が全く伝わってきません。

 そんな中、岸田改革が盛んに訴えているのが賃金の上昇を伴った物価上昇です。これは政府に言われるまでもなく、賃金が上昇すれば生産コストも上昇しますから物価も上昇するのが当たり前です。しかし、バブル崩壊後の30年、賃金が低下したために物価も上昇することが無かったのです。輸入の原材料やエネルギー価格が上昇する分だけ、賃金が下がることで生産コストの上昇が抑えられ、結果として物価が上昇するどころかデフレの状態が続いてきたのです。

 政府や経済評論家は景気が悪い為に消費が盛り上がらず、需要よりも供給が多くなり需給バランスが崩れ製品価格が下がり、その結果企業業績が悪化して賃金が下がると言ってきました。しかし実は原因と結果が逆で賃金を抑制するから国民の購買力が低下して物余りとなり、企業業績が低下していたのかも知れません。

 アメリカではこの30年間に物価も賃金も2倍以上に上昇しているのに日本だけが低賃金でデフレ、摩訶不思議な状態です。特にコロナウイルス感染収束後の経済活動の活性化でアメリカを初めとした諸外国では人手不足が顕在化して賃金、物価共に驚くほど高い状態が続いています。

 景気の過熱を押させるため金利を大幅に上げたアメリカに対して相変わらずのゼロ金利政策をとっている日本との金利格差の拡大で大幅な円安が進み、輸入物価は驚くほど高くなりました。その影響で日本でも輸入原材料の価格上昇に伴い物価はインフレ傾向となってきているのに対して、人出不足にも関わらず賃金上昇は僅かです。

 労働組合だけでなく政府も賃金上昇と唱えているにも関わらず、なぜ日本では賃金上昇が起こりにくいのでしょうか?賃金を上げるのは政府でも労働組合でもなく、企業の経営者であることを忘れてはいけません。政府は賃金を引き上げた企業に対して減税措置をちらつかせていますが、一時的な減税措置で企業がそれに食いつくとはとても思えません。企業経営者は、労働者の生活よりも企業の利益を優先するに決まっています。

 では、なぜ資本主義の国、利益至上主義の国、アメリカで 賃金上昇が起こっているのか?それは労働者自身が経営者と対峙して、賃金上昇を勝ち取っているからだと思います。 最近でも全米自動車労働組合はストライキを行い経営者サイドと戦って2028年4月までの4年半で25%の賃金引き上げを勝ち取りました。 思い出します、私が子供だった頃、日本でもストライキがしばしば行われ、鉄道が止まったり、工場が閉鎖されたりと言う労働争議がしばしばありました。しかし、バブルを経て、いつの頃からかストライキのニュースは日本から消えてしまいました。バブルに湧いた80年代後半、空前の企業収益で賃金も爆上がりして労働組合はストライキで経営サイドと戦う必要もなくなり労働組合の存在意義はなくなりました。しかし労働組合の幹部達は経営者サイドからの労使協調という甘い誘惑を出されて、組織存続のためにそれに飛びつきました。労使協調とは労働組合の幹部が経営者側と企業の運営について協議する、言わば労働組合の経営参加。経営者から雇われ使われる側だった労働組合の幹部は経営者と対等な立場となり、ある意味企業の役員になったような気にさせられて、出世という餌をぶら下げられて結局経営者のポチに成り下がってしまったのです。つまり、労使協調とは経営者の労働組合懐柔策だったのですが、まんまとそれにハマってしまったのが日本の労働組合でした。そしてストライキと言う経営者サイドとの戦う武器を捨てしまった為に賃金上昇も望めなくなりました。それは労働争議の件数と賃金上昇率の推移を見比べれば明らかです。

 その結果、労働組合は労働者から見放され組合員は減少の一途をたどり1995年に1,270万だった組合員は2022年には1,000万人を下回りました。かつて50%を超えていた組織率に至っては16%程度まで低下しています。つまりは現在の労働組合は労働者の代表とは言えない状況です。

 労働組合の総元締めとも言える連合の吉野会長は、自民党の党大会や大企業経営者の集まりである経団連の総会にも出席し、労使協調による賃金アップを訴えていますが、私から見れば強者にすり寄り、こびを売り、何とかお情けで昇級をもらおうとしている卑しい人間としか見えません。

 連合の推薦候補で国民民主党副代表だった矢田稚子元参議院議員は、2022年の参議院選挙で落選後、今年になって何と首相補佐官になりました。労働者の代表だった政治家が何と何と経営者サイドの自民党総裁である岸田首相の補佐官になるとは、驚きどころか失笑物。矢田雅子首相補佐官も、参議院議員になり「先生、先生」と呼ばれたことが忘れられず、再び「先生」と呼ばれる首相補佐官の立場を餌にぶら下げられて自民党の軍門に降った卑しい人間の一人でしょう。

 昨年も今年も過去最高を見込む企業は20%以上ですが、過去最高の賃上げを実施した企業は極々少数。過去最高の利益を上げたトヨタでさえ賃上げ率は3.7%。しかしそのトヨタもアメリカでは9%の賃上げです。もう従来の労働組合、連合は経営者にすり寄り、袖にすがり、経営者からの慰みとして僅かな昇級を得ることしかできない事は明白です。労働者は、自ら立ち上がり、労働者の権利としてストライキを打つなりして、経営者と対峙して堂々と賃金アップを勝ち取る覚悟をする時です。

 大企業も中小企業もあるいは、一人親方と呼ばれる一見個人事業主のような立場の労働者も、自身の技術、知識の正当な評価としての賃金を企業に要求するのです。そのためには、従来のような企業別、産業別の大企業中心の労働組合ではなく、働く全ての人が参加できる真の労働者の組合が必要です。それと同時にその労働者のための政党を作り、働く国民の代表を国会に送り出し、経営者の代弁者自民党と対峙して国の政策を労働者中心に変えていくのです。

 人手不足の今こそ、労働者が立ち上がる千載一遇のチャンスだと思います。そして立ち上がった労働者を頼りに、政治の場でも連合だよりを断ち切って、労働者、庶民の為の政党が政権を握るチャンスでもあります。

 人手不足が日本の未来を変えることを願っています。

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