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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

新型コロナウィルス対策に一番必要なもの院長コラム

2020/06/05 社会問題

新型コロナウィルスの感染拡大も収まり非常事態宣言も解除され、少しずつ以前の日常が戻りつつあります。しかし、新型コロナウィルスが地球上からなくなった訳でも、画期的ワクチンが開発された訳でもありませんから、実は状況は何も変わっていません。

 新しい生活様式を実践して少しでも感染拡大を防ぐという消極的で頼りない方法しか今のところ新型コロナウィルスと戦う術を人類は持っていないという事です。科学が医学が発達して、あらゆる事が解明され、様々のことが人の思いのままになる時代がやって来たと多くの人は感じていましたが、それは大きな誤解だったことが新型コロナウィルスによって明らかにされてしました。

 2月以降世界中で行われてきた様々な新型コロナウィルスの感染防止対策は、100年前に流行したスペイン風邪の感染防止策と大きな違いはなかった事に驚かされた人も多かったと思います。100年間の科学、医学の発達は目を見張る物と誰もが疑いもしませんでしたが、実のところ未知のウィルスに対してはまだまだ無力だったのです。科学や医学の発達で地球上のあらゆる物をコントロール出来ると過信していた人類に対する警告のために自然が、神様が送り込んだ使者が新型コロナウィルなのかも知れません。

 新型コロナウィルスは未知のウィルスですから、感染が世界中に広がった現在でもその正体を正確に把握することが出来ていません。その為対策も、様々。発生源の中国武官では、政府による強力な都市封鎖で人の移動を遮断しウィルスの拡大を一応抑え込みました。その後の世界の国々はこれに習ってかどうかは分かりませんが、イギリス、フランス、ドイツそしてアメリカさえも中国と同じように罰則を伴う外出制限で都市封鎖を行いました。

 新型コロナウィルス対策の最大の成功国として胸を張る韓国は、PCR検査を無症状の人にまで受けさせてウィルス感染者をいち早く見つけ出し次々と感染者を隔離して感染拡大を防ぎました。しかし、それでも未だ少数ながら毎日感染者が発見されています。

 これに対して日本はいわゆるクラスター作戦で症状がある感染者がどこで、誰から感染したかを突き止め、感染源となった人の濃厚接触者を検査して感染者を探し出し隔離する事でPCR検査数を最小限にして感染拡大を防ごうとしました。また、外出制限に関しても日本国憲法に自由を保障する権利を侵すことになる罰則を伴うような強力な外出制限を行う事もありませんでした。

 海外のメディアや専門家から日本の感染防止策は「緩すぎる」「甘い」と揶揄もされたし脅しもされましたが、少しずつ収束を迎え、手の平返しに「ジャパンミラクル」だとか、少し皮肉を込めて「ジャパンミステリー」と言われるようになりました。ミラクル、ミステリーの原因は日本人の潔癖さ、日頃からのマスク使用率高さ、そして強制力を伴わないのに自粛を守る民度の高さ等々色々と言われていますが、結局、国や政治家での力ではなく、国民自身の力で感染拡大を防いだと言う事です。

 日本も含めて世界中のほとんどの国は方法は違えど、新型コロナ対策に基本は感染防止ですが、唯一感染防止を行わない方針を採ったのが北欧のスウェーデン。スウェーデンは新型コロナの病態が重症化する確率が少ないことから、外出制限を全く行わず多くの人が感染する事で免疫を獲得してウィルスの感染拡大を防ぐ、自然免疫作戦をとりました。当初は多数の死者が出ていると伝えられ、世界から「集団免疫策は人殺し政策だ」「人命を尊重していず倫理的に問題だ」という批判を受け続けているていましたが、それでもスウェーデン政府は自然免疫作戦を遂行し、国民も政府を支持して現在に至っています。そして5月も終わりに近づいた頃届いたニュースではスウェーデンの 人口100万人あたりのコロナ死者数は314で、ロックダウンを行ったベルギー751、スペイン566、イタリア502、英国475、フランス392よりも少ないと言う、世界が驚く結果となっています。おまけに死亡者の87%が70代以上で、ほとんどは高齢者施設でクラスターが発生して亡くなっていたのです。そして6月中旬にはスウェーデンの人口の40%が免疫を獲得し感染は止まるとストックホルム大学のトム・ブリトン教授が発表しました。

 結局、新型コロナウィルスの感染を克服する方法は何が正しいのかは分からないと言う事です。最も少ない死者で感染を封じ込めコロナ対策の最大の勝者と胸を張る韓国は、スウェーデンの方法から見れば、最も免疫を持った人が少ないですから、秋になり、もしも第二波が襲ったなら最も死者が多い国にならないとも限りません。100年前のスペイン風邪の時日本では第二波の方が死者が多かったのですから。数年後に振り返ってみたら、いずれの感染防止対策も一気に沢山死者が出るか、ゆっくりジワジワ死者が増えるかと言う違いだけで結局死者数は変わらなかった。そして外出制限で経済的ダメージが大きかった国の方がその後の国力の回復が遅かったなんて事もあり得ます。

 さて、こんなに手強い未知のウィルスに立ち向かうのに必要なものは何なのでしょうか?一番必要なのは、ワクチン、そして治療薬なのですが、未知のウィルスですから、これを望んでも直ぐに叶えられる訳はありません。そうなるとマスクや消毒薬、防護衣に人工呼吸器などの医療用品、医療器具と言う事になります。

 しかし、いくら医療用品、器具があってもそれをどう使っていくのか、どの様な方針で新型コロナウィルスと戦っていくのかを決め、実行するリーダーがいないことには、宝の持ち腐れになってしまいます。世界中から馬鹿にされた自然免疫作戦を行ったステファン・ロベーン首相は死者が数千人を数えることもあるかも知れないが、必要は医療体制を整えていると訴えました。そして国民も首相を信じ、支持していたから、自然免疫作戦を断行することが出来たのです。 韓国についても70%近くの支持率を集めていたムン・ジェイン(文在寅)大統領のリーダーシップがあったらPCR検査による大規模な感染者隔離が可能だったのです。 善し悪しは別として中国も強権的な習近平国家主席リーダーシップがなかったら、武漢だけで感染が止まることはなく、中国全土に感染は拡大していたことでしょう。アメリカの最大の感染地域ニューヨークでもクオモNY州知事がPCR検査の拡大、抗体検査の実施、仮設病院の設置など素早い対応でリーダーシップを発揮していました。

 それに引き換え安倍首相のリーダーシップのなさには、ほとんどの国民は呆れ果てています。何せ新型コロナ対策の目玉はアベノマスクですから。世界一の対策予算と胸張り威勢は良いですが、口ばかりで支援金はおろか、発表から2ヶ月経ってもマスクの配布も終わっていません。外出自粛を国民にお願いしている最中に婦人が沖縄旅行、大分旅行そして芸能人とお花見パーティ、その上それが発覚しても本人も首相も国民に対して謝罪することもなく、国会で野党に追及されると言い訳ばかり。これでは国民の信頼を集めることも出来ませんし、リーダーシップを発揮することなんて出来るはずもありません。

 幸いにもリーダーシップ欠如の安倍首相の下でも国民自身が民度が高く、賢く理性に基づいて行動した事で新型コロナ感染の第一波は何とか凌げそうですが、第二波も同じように凌げるとは思えません。それは、これから先何度も外出自粛をくり返すことは経済的なダメージから不可能だと思うからです。ワクチンが出来れば別ですが、結局の所遅かれ早かれ、日本もスウェーデンと同じように自然免疫作戦に移行するしか道はないように思えるのです。その時、医療体制を整え医療崩壊することなく最小限の死者で集団免疫を獲得する事を目指し、新型コロナウィルスと国民が一丸となって戦える体勢を作れるリーダーの登場が必要です。 アベノマスクと安部夫人そして黒川前検事長の賭け麻雀と仏の顔も三度までで、もう安倍首相には早々に退場してもらうしかありません。

 感染者が多かった地域の首長、吉村 洋文大阪府知事や小池百合子都知事、そして鈴木直道北海道知事などは、矢継ぎ早に対策を打ち出し、地域住民もリーダーを信じて行動し、感染者数を大きく減らして、なんとか感染が収束しようとしています。市民の信頼を集めるトップでなければリーダーシップを発揮することは出来ない事も新型コロナが明らかにしてくれました。

  そして得体の知れない未知の敵コロナウィルスにと戦う時に一番必要なものは、国民の信頼されるリーダーだと悟りました

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