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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

虫歯は治らない院長コラム

2004/06/15 

 虫歯になった時、歯科医院に行って治療をしてもらいます。「はい、これで大丈夫ですよ。」と歯科医から言われれば、皆さんは虫歯が治ったと一安心しますね。しかしこの「治った」がくせ者なのです。風邪をひいた時には、内科にかかり、薬を飲んで先生から「もう大丈夫」と言われれば、体は風邪をひく前と同じ状態になっています。しかし、虫歯の場合は虫歯になる依然と同じ状態になった訳では決してありません。歯科医は、細菌で感染した部分の歯を削り、失われた歯の一部を、プラスチックや金属で補っただけなのです。歯を失った時にするブリッジや入れ歯も失った歯を補うだけのことです。風邪をひいて治った人が、その1ヶ月後にどんな高名な先生に診察してもらっても「あなたは風邪をひきましたね。」と言われることはありませんが、一度虫歯になってしまえばあなたの命がある限り虫歯になった事が誰にでも分かるのです。病気が「治る」の意味が「元通りになる」と言うことと考えるなら、虫歯は治らないのです。虫歯の治療は、視力が衰えた時にメガネをかけたり、コンタクトを入れたりして、視力を補うのと同様に、咀嚼能力を補うだけの事なのです。
 そして、虫歯の治療が抱えるもう一つの大きな問題点があります。虫歯の治療は、先ほどお話ししましたように歯を削って人工的な物で埋めるという治療です。つまり歯に人工的な物が接着剤で付けてある訳です。治療したばかりの時は、歯と詰め物が接着剤で完全に着いていたとしても、時間と共に接着が不十分になりほんのわずかな隙間が開く可能性が大いにあります。そして、わずかな隙間であるが故、歯磨きで汚れを落とすことが出来ず歯垢がたまり、そこから知らず知らずのうちに再び虫歯になっていってしまうのです。結局、一度虫歯になって治療してしまうと、以前にも増して虫歯にかかる危険性が高くなるのです。一度虫歯になると、小さな詰め物が大きな金属の詰め物になり、神経を取り、金属の歯を入れ、そして歯を失い、ブリッジ(失った歯の両側の歯を支えにして歯を作る処置)になり、入れ歯になっていく、と言う一連の流れに乗ってしまうことになります。流れのスピードは人により違いますが、着実に進んでいってしまうのです。私は、いつもこれを患者さんに説明する時スキーを例にしています。平らなところにいる時は、動くことはありませんが、斜面に踏み出した時からどんな緩い斜面でも徐々に滑っていってしまう、止めようとしても止まらない。滑りたくないなら、斜面に行かないようにするしかありません。虫歯になって治療すると言う事は、この斜面に踏み出す事と同じなのです。先ほどの視力の問題をまた例にしますと、視力が落ちてメガネやコンタクトを使い出すと視力を失ってしまう危険性が増すなんて事はありせん。だから虫歯は、非常にやっかいなのです。
  皆さん、歯を失う谷底に続く斜面に踏み出さないように、毎日の歯磨きや食事に注意し、虫歯予防に努めてください。

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