健康ゴールド免許院長コラム
2016/11/01 社会問題
小泉進次郎衆議院議員らを中心とする自由民主党若手議員20人のグループが、雇用や社会保障に関する大胆な政策提言を行ったとの報道を目にしました。その中で私が気になったのは当然に医療に関する事で「健康ゴールド免許」という言葉です。運転免許証のゴールド免許のように、健診履歴等を把握し、健康管理に取り組んできた人への「健康ゴールド免許」付与して医療機関での自己負担割合を少なくするメリットを与える言うものです。「健康ゴールド免許」の導入で健康な人が増えて医療費を抑制に繋がるはずだと若手政治家が考えた訳です。
単純に考えて医療費の抑制には医療機関を受診する必要のない健康な人を増やすのが早道ですから、「病気になってから治療する」だけでなく、「病気にならないようにする」自助努力を支援していく事が重要でだと思われます。しかし、今の制度では、健康管理をしっかりやってきた人も、そうではなく生活習慣病になってしまった人も、同じ自己負担で治療が受けらます。だから、努力が報いられない、そこで健康管理の努力に報いるのが「健康ゴールド免許」と言う事です。
従来は健康管理の努力をしてきたどうかを判定するのは難しかったのですが、IT技術の発達で個人ごとに検診履歴等を把握する事が可能となり努力の程度を分別できるというのです。そして、自助努力する人に優遇策を与えて、より多くの人に健康管理の自助努力を促すのです。
健康管理については、2008年からは、生活習慣病の予防や医療費削減を目的のひとつとして、40から75歳までの公的医療保険加入者全員を対象とした特定健診・特定保健指導(いわゆるメタボ健診)が実施されています。この特定健診(メタボ健診)について、厚生労働省による検証によって、特定保健指導を受けた被保険者の殆どの検査結果が改善しており、一人あたり医療費も、指導を受けた被保険者と指導を受けていない被保険者の間で年間7,000円程度の医療費の差が生じたことが明らかになっています。
保健指導が病気の予防に有効な事は明らかなのですが、「平成25年度特定健診・特定保健指導の実施状況」によると、受診率が47.6%、特定保健指導の対象者(受診者に占める割合16.9%)となった人の中で実際に保健指導を受けた割合が17.7%と、非常に苦戦しています。
また、保険種別による健診の受診者を見てみると組合健康保険や共済組合(大企業や公務員等)の受診率は70%を超えますが、協会けんぽ(中小企業の従業員)では受診率が42.6%に下がり、国民健康保険(個人事業主、退職者)にいたっては34.2%、特に大都市の国民健康保険では27.9%となります。つまり現在の特定健診は、健康意識の高い、相対的に豊かな層の中高齢者が、自身の健康を高めるために利用しているツールとして利用していると言えなくもありません。
さて、健診や保健指導で健康管理の自助努力をする事が病気にならない為に重要な事は明らかなようですが、果たして健康になるのが医療費抑制になるのかというとそれはちょっと疑問です。殆どの人は、生涯の医療費の大部分を終末期、つまり死ぬ間際に使うと言われていますから、その時期が先にくるか、遅くになるか、という違いであると考えることもできるわけです。また健康で長寿になれば、生きている期間中少ないと言えども医療費はかかりますから、生涯医療費という点では本当に医療費が減るのか疑問な所です。
また、健診の充実は病気発見に繋がりますから、医療機関の診者数は一時的かも知れませんが増加します。福岡市では福岡市歯科医師会と歯周病予防の観点から満35・40・50・60・70歳の市民に歯科節目健診を行っています。健診を行い歯周病を発見し、歯科医院での治療を促す事で、歯周病の重症化によって歯を失うリスクを減らすのが本来の目的ですが、その一方患者さんの掘り起こし、受診の奨励と言った一面もあるのも事実です。
こうしてみると「健康ゴールド免許」が一概に医療費の抑制に繋がると考え得るのは早合点とも思えてきます。私は「健康ゴールド免許」は良い発想だと思いますが、医療機関での自己負担割合の減額よりも、例えば健康増進のためのスポーツクラブの利用券の配布とか、より一層の健康管理の自助努力を促す方策を講じる方が良いと思います。
そしてその目的も医療費の抑制よりも健康な高齢者が増える事でいつまでも働き続けられる人が増やす事にするのが良いと思います。少子高齢化で生産人口の減少が叫ばれる中、高齢者の就業を促す訳です。「働かざる者、食うべからず」ではありませんが、年齢に関わらず健康な人は仕事をすると言う社会を目指すのです。こんな事を言うと高齢者に厳しいと叱られるかも知れませんが、高齢者を支える若者が減っている以上、高齢者にも自助努力をお願いするしかないないと思うのです。
矯正治療も健康に対して意識の高い人が、費用を自己負担し受ける言わば健康の維持増進のための予防的医療と言えると思います。矯正歯科治療で正常な歯並び咬み合わせを作ることで、歯の寿命を延ばし、いつまでも自分の歯で噛んで食べる事で、全身の健康に役立ちます。私は、矯正治療を受けた患者さんにも「健康ゴールド免許」を授与するべきと思います。
医療費抑制も大切ですが、それよりも健康に生きる、生涯現役ための「健康ゴールド免許」が理想だと思います。
単純に考えて医療費の抑制には医療機関を受診する必要のない健康な人を増やすのが早道ですから、「病気になってから治療する」だけでなく、「病気にならないようにする」自助努力を支援していく事が重要でだと思われます。しかし、今の制度では、健康管理をしっかりやってきた人も、そうではなく生活習慣病になってしまった人も、同じ自己負担で治療が受けらます。だから、努力が報いられない、そこで健康管理の努力に報いるのが「健康ゴールド免許」と言う事です。
従来は健康管理の努力をしてきたどうかを判定するのは難しかったのですが、IT技術の発達で個人ごとに検診履歴等を把握する事が可能となり努力の程度を分別できるというのです。そして、自助努力する人に優遇策を与えて、より多くの人に健康管理の自助努力を促すのです。
健康管理については、2008年からは、生活習慣病の予防や医療費削減を目的のひとつとして、40から75歳までの公的医療保険加入者全員を対象とした特定健診・特定保健指導(いわゆるメタボ健診)が実施されています。この特定健診(メタボ健診)について、厚生労働省による検証によって、特定保健指導を受けた被保険者の殆どの検査結果が改善しており、一人あたり医療費も、指導を受けた被保険者と指導を受けていない被保険者の間で年間7,000円程度の医療費の差が生じたことが明らかになっています。
保健指導が病気の予防に有効な事は明らかなのですが、「平成25年度特定健診・特定保健指導の実施状況」によると、受診率が47.6%、特定保健指導の対象者(受診者に占める割合16.9%)となった人の中で実際に保健指導を受けた割合が17.7%と、非常に苦戦しています。
また、保険種別による健診の受診者を見てみると組合健康保険や共済組合(大企業や公務員等)の受診率は70%を超えますが、協会けんぽ(中小企業の従業員)では受診率が42.6%に下がり、国民健康保険(個人事業主、退職者)にいたっては34.2%、特に大都市の国民健康保険では27.9%となります。つまり現在の特定健診は、健康意識の高い、相対的に豊かな層の中高齢者が、自身の健康を高めるために利用しているツールとして利用していると言えなくもありません。
さて、健診や保健指導で健康管理の自助努力をする事が病気にならない為に重要な事は明らかなようですが、果たして健康になるのが医療費抑制になるのかというとそれはちょっと疑問です。殆どの人は、生涯の医療費の大部分を終末期、つまり死ぬ間際に使うと言われていますから、その時期が先にくるか、遅くになるか、という違いであると考えることもできるわけです。また健康で長寿になれば、生きている期間中少ないと言えども医療費はかかりますから、生涯医療費という点では本当に医療費が減るのか疑問な所です。
また、健診の充実は病気発見に繋がりますから、医療機関の診者数は一時的かも知れませんが増加します。福岡市では福岡市歯科医師会と歯周病予防の観点から満35・40・50・60・70歳の市民に歯科節目健診を行っています。健診を行い歯周病を発見し、歯科医院での治療を促す事で、歯周病の重症化によって歯を失うリスクを減らすのが本来の目的ですが、その一方患者さんの掘り起こし、受診の奨励と言った一面もあるのも事実です。
こうしてみると「健康ゴールド免許」が一概に医療費の抑制に繋がると考え得るのは早合点とも思えてきます。私は「健康ゴールド免許」は良い発想だと思いますが、医療機関での自己負担割合の減額よりも、例えば健康増進のためのスポーツクラブの利用券の配布とか、より一層の健康管理の自助努力を促す方策を講じる方が良いと思います。
そしてその目的も医療費の抑制よりも健康な高齢者が増える事でいつまでも働き続けられる人が増やす事にするのが良いと思います。少子高齢化で生産人口の減少が叫ばれる中、高齢者の就業を促す訳です。「働かざる者、食うべからず」ではありませんが、年齢に関わらず健康な人は仕事をすると言う社会を目指すのです。こんな事を言うと高齢者に厳しいと叱られるかも知れませんが、高齢者を支える若者が減っている以上、高齢者にも自助努力をお願いするしかないないと思うのです。
矯正治療も健康に対して意識の高い人が、費用を自己負担し受ける言わば健康の維持増進のための予防的医療と言えると思います。矯正歯科治療で正常な歯並び咬み合わせを作ることで、歯の寿命を延ばし、いつまでも自分の歯で噛んで食べる事で、全身の健康に役立ちます。私は、矯正治療を受けた患者さんにも「健康ゴールド免許」を授与するべきと思います。
医療費抑制も大切ですが、それよりも健康に生きる、生涯現役ための「健康ゴールド免許」が理想だと思います。