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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

銀行の矜持院長コラム

2015/12/01 現代社会

最近、テレビを見ていてとても気分が悪くなるCMがあります。それは、銀行のカードローンのCM、直ぐに思い浮かばないかも知れませんが、三井住友銀行のモビットにプロミス、東京三菱UFJならアコム、新生銀行ならレイクなどと言われれば、誰もがしっているCMの事です。金余りで企業の資金需要がなく、買い出し先が見つからないのか、最近では、大手都市銀行だけでなく、地銀も個人向けのカードローンに力を入れており、福岡でも福銀や西銀が盛んにCMを打っていますので、特に目に付くようになったのかも知れません。

そのCMを見て、何が気分が悪くなるかと言えば、かつて社会問題になった借金地獄、サラ金地獄が再び社会に蔓延する気がしてならないからです。CMでは来店不要で手軽にATMでお金が借りられることを盛ん強調していますが、その金利については詳しい説明をしていません。言い訳のように、CMの終わりに「無理な借り入れは注意しましょう。」なんてテロップが入るのが関の山です。

 カードローンの金利をちょっと調べてみると、銀行系のローン会社は14%くらいがほとんどです。現在の利息制限法では元本が100,000円以上1,000,000円未満の場合 年18%が限度となっていますから、それよりは低いですが、ちょっと金融の知識があれば14%の利息を支払ってローンを完済するのがどれだけ至難の業か分かるはずです。

 公定歩合が0.3%、銀行の定期預金金利も0.2%、住宅ローン金利も変動なら1%以下の時代に14%もの金利を支払って、返済ができるはずがないのは自明の理です。そんな高金利を支払うことができるなら人なら、せいぜい数十万円のお金を借りる必要はないはず。その数十万円のお金がないから借りる人が、
14%の金利を支払えるとはとても思えません。

 サラ金地獄が大きな社会問題になった昭和58年当時は、サラ金の金利は20%越えでしたが、当時の公定歩合は5%を超えていましたから、サラ金金利は公定歩合の5倍くらいでした。それが今では、カードローンの金利は公定歩合の70倍、これが許されるとは驚きとしかいいようがありません。「暴利をむさぼる」とはこの事でしょう。

 そして、今そのカードローンを借りている人の多くは、不安定な非正規雇用ではたく若者です。学校教育で生活していく上で必要とする十分な金融の知識も教えられることなく社会に出てしまった若者、人を疑うことを知らないのどかな地方から都会に出てきた若者達がカードローンやクレジットカードのリポ払いの罠に嵌まり、ただでさえ低所得に苦しんでいるのにそれをまたかすめ取る、大手金融機関。

 知識がある者が、知識がないものを搾取するこの構図、これがどうしてもカードローンのCMを見ていると頭に浮かび、気分が悪くなってしまうのです。
 銀行を始とする金融機関は、お金を儲ければそれで良いのでしょうか?莫大な利益を上げ、人並み外れた給与を社員が取ることが良い金融機関、良き企業なのでしょうか?銀行の存在意義は何なんでしょう?利益を上げることだけですか?

 ちょうど今、明治の女性実業家、広岡浅子をモデルにしたNHKの朝ドラ「あさが来た」が人気を集めています。広岡浅子は銀行を設立し、その後大同生命を創業した近代日本の金融企業の創始者とですが、銀行の設立の目的は日本の社会の発展のために必要なところにお金を供給することでした。本来、銀行の役割は、社会の血液とも言えるお金を社会の発展の為に必要とする企業や個人に絶え間なく供給する社会資本の一つだったはずです。

 しかしながら、今の銀行経営者や銀行員に銀行の社会的な責任や企業倫理を重要と考えているのか大いに疑問です。例えば、銀行の経営者や銀行員の子供が買いたい物があるから、旅行に行きたいからカードローンを借りると言ったら、何と言うでしょう? 「頑張って働いて、返済しなさい。」と言うと思いますか?「そんな金利でお金を借りて消せると思ってるのか!もうちょっとよく考えろ!」 、「買いたい物があったら、お金を貯め買え!」と言うのがオチでしょう。

 自分の家族のも勧められないような代物を知識がないことを良いことに売りつける(貸し付ける)。詐欺まがいの商売は今の銀行の仕事、情けない。きっと広丘浅子は草葉の陰で泣いています。

銀行が本来果たすべき役割は、低所得で苦労する人がカードローンを借りに来たら、お金を貸すのではなく、無駄な出費を抑え、お金がなくても幸せに暮らせ、努力して将来豊になる心構えや方法をアドバイスして、その上で事業を始めるのに必要であったり、知識や技術を身につけるのに必要なお金を貸し付ける事でしょう。

 社会的責任を忘れ、暴利をむさぼる銀行に未来はありません。大手サラ金が利息制限法の厳格適応で軒並み潰れ、銀行の子会社になったように、また返済能力がない人に住宅ローンを貸し付けるサブプライムローンで暴利をむさぼったリーマンブラザーズが倒産したように、銀行にもきっと天誅が下る時が来る気がしてなりません。

 銀行が潰れて、悲惨な目に遭うのが高給を得ていた銀行の経営者や銀行員だけなら「自業自得」と言って終わりですが、リーマンショックでも明らかなように金融業が揺らぐと不景気になり、その影響は社会全体、そして特に弱者に大きな影響を与えてます。ですから、そんなことになる前に銀行の経営者や銀行員に銀行という企業、仕事の原点をもう一度思い出してもらいたいと思うばかりです。

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