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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

数は力?院長コラム

2012/12/01 

 近いうちに解散すると言い続けた野田首相がやっと衆議院を解散し、いよいよ3年ぶりの衆議院選挙です。前回は、長く続いた自民党政権から政権奪取を目指す民主党と何としても政権の座を守りたい自民党の2大政党の対決でした。それが今回は様変わり、政権を奪取した民主党も政権の運営に行き詰まり政党支持率は10数パーセント、対する自民党も大きく支持率を上げることはできず、2大政党は共に国民の支持を得ることができていません。

 その間隙を突いて橋下大阪市長率いる「大阪維新の会」や民主党を離党した小沢一郎の「国民の生活が第一」、渡辺喜美の「みんなの党」、河村たかしの「減税日本」等々、少数、弱小?政党が乱立し、衆議院解散直後に次期衆議院選挙に候補者を擁立するとした政党は何と戦後最多の14党。マスコミの注目度も第三極だ、第四極だ、第三極A、第三極Bなどと民主、自民よりも高くなっています。

 しかし、選挙の告示が近づくにつれ、政治は数、「数は力」だとの考えで、少数政党は連携や合併を模索して、右往左往しています。

 政策が第一と強く主張していた橋下大阪市長の「大阪維新の会」も、誰がどう考えても政策が一致しているとは思えない石原慎太郎が思いつきで作ったばかりの「太陽の党」といきなり合併して「日本維新の会」になってしまいました。維新八策の掲げた反原発もTPP参加も企業献金の廃止も「数は力」を前にして、すべてウヤムヤ、政策よりも「数は力」なんでしょう。

 呆れている内に、またビックリのニュースが流れました。突然滋賀県知事の嘉田由紀子が「未来の党」を結党し、そこへ小沢一郎や河村たかし、山田正彦、亀井静香等が率いる弱小政党が合流すると言う驚きの展開です。

 嘉田由紀子は元々農学部を卒業した大学の教授で、新幹線の南びわ湖駅の新設に反対し滋賀県知事になった環境重視の政治家で、今回も原発反対が主張の全てで経済も外交もこれと言った主張はありません。女性で環境派、国民の受けが良いだろうと悪役イメージの小沢一郎が自分の影を消すために探し求めた操り人形なんでしょう。

 そこへ民主、自民そして維新に対抗できず、埋没を懸念した弱小軍団がこぞって合流、政策も目標も眼中にありません。眼中にあるのは「数は力」それが全てです。これが政治家の本質なんでしょうか?

 3年前民主党はその数を手に入れました。それで数の力でマニフェストは実現できたのでしょうか?数を求めるあまり大風呂敷を広げて実現の可能性が低い政策を並べたために政策の実現には困難を極め、その上、何としても公約を実現すると言う覚悟もないので次々と目標を下げて、公約の旗を降ろすばかりでした。これが「数」を追った民主党の現実でした。

 その教訓を生かすことなく、民主党を政権与党に押し上げた小沢一郎が、またもや新党で同じ事をしようとしているのです。小沢一郎の行動も信じ難いですが、それにすり寄る政治家も信じられません。

 政治に必要なのは「数は力」ではなく、「理念」や「信念」でしょう。いや政治だけではありません。困難を乗り越え、目標を達成するのに必要なのは「理念」や「信念」です。「理念」や「信念」を共有することなく集まったところで、何の力にもなりません。困難に直面すれば、皆楽な方に流れて目標は達成できず、組織は空中分解です。

 「数」よりも「理念」、「信念」を大切にする組織の団結力は強く、組織は長く続きます。その良い例が私が参加している矯正歯科の治療方法ツイード法を使用する矯正歯科医の集まりでああるTweed Foundationです。ブラケットを使った矯正治療法を開発したツイード先生がその治療方法を伝授するため1940年から開いている講習会を受講した矯正歯科医の集まりがTweed Foundationであり、ツイード先生が亡くなった後もその教え子達が講習会を引き継ぎ70年以上たった現在も年に2回、講習会が開かれています。講習会は、医療が商業主義に左右されてはいけないとの信念の元、運営から、インストラクターまで全てはボランティア、手弁当で行っています。ツイード法を元にして、その後多くの治療方法が考案され、矯正歯科材料の業者が拡販のために講習会を開催し一時的に大きく広まった治療方法もありますが、ほとんど全てがいつの間にか消えていっています。泡沫候補ならぬ泡沫治療法とでも言ったところです。

 70年もの間、それもツイード先生がなくなった後もずっとTweed Foundationが続いてきたのは、数を追うのではなくツイード先生の矯正歯科治療に対する「理念」「信念」を守り続けた結果です。数を追うのであれば歯科材料業者に講習会の運営を任せ講師料をもらって世界中で講習会を行えば、あっと言う間に膨大な数の矯正歯科医が集まりツイード法が広がったことでしょう。しかし、それでは治療技術のレベルを保つことができず、ツイード法の評価が下がり直に見捨てられてしまっていたことでしょう。ツイード法を習得した高い志をもった矯正歯科医が2年に一度、Meetingで自分の治療した症例を提示し、お互いを評価し合い、治療技術のレベルの向上を図ってきたから今も尚、世界中の矯正歯科医からツイード法が矯正歯科治療の基本として認められているのです。

 「数」を追おうとすれば、必ず妥協が必要になります。妥協すれば「理念」や「信念」は揺らぎます。それでは、当初の目的を達成することができないのは当たり前のことです。 私もクリニックの理念を「誰もが一生自分の歯で物を食べ、本当に健康で長寿を全うできる社会の実現に矯正歯科治療を通して貢献していくこと」として、いたずらに患者数を求めず、自分自身で全ての患者さんを診察できる規模でクリニックを運営していきたいと思っています。

 政治家も「数は力」と考えず、「数は妥協」と思い、性急に結果を求めず着実に自身の「考え」、「理念」を伝えていくことが、自分の理想とする政治、社会を実現する早道と知るべきだと思います。

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