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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

決められない国?変われない国?日本院長コラム

2012/03/01 

 悪夢の3月11日からもうじき一年が経とうとしています。しかし、福島第一原発の事故の収束の見込みは今だ立たず、東北地方の復興も遅々として進んでいない状況です。決められない、変われない国、日本を象徴しています。

 政治の状況も一年前と全く変わっていません。変わっているのはそこに登場する役者、いや政治家の名前だけ。一年前、菅元首相は来年度予算が通らないことを理由に民主党内から、特に小沢一郎元幹事長一派から退陣に追い込まれようとしていました。今年も、消費税増税反対をお題目に小沢一派は野田首相に反旗を翻し、昨年と全く同じような状況です。

 普天間の米軍基地の問題も辺野古沖へ移転という方針に何ら変更はなく、かと言って沖縄県民がそれを受け入れられるような対策を講じたわけでもありません。菅元首相が沖縄を訪問した時と今回の野田首相の訪問と何か違いがあるのか全く分かりません。

 テレビや新聞で報じられる政治や行政に関するニュースは、そこに書かれる名前を変えればまるで一年前と何も変わらず、記者のコメントもまるで同じです。ただ、ただ1年という長い時間だけを浪費したとしか思えません。

 東日本大震災の後、心ある日本人の多くは我が身を斬る覚悟で被災者を支え、国民全てが力を合わせて、東北のそして日本の復興を誓いました。本当に沢山の人が義援金を送り、そして驚くほどの人達がボランティアとして東北へ向かいました。こうして多くの国民は、小さいながらも被災者、被災地に対して自分のできる事をしてきました。

 これに対して政治、行政のしてきたことはあまりにもお粗末でしょう。国会の場では、野党与党が党利党略に走り、お互いの足を引っ張り合い、クイズのような質問に終始して挙げ句の果てに首相を交代させただけで原発の事故処理も被災地の復興も遅々として進んでいません。この政治、行政の体たらくを目の当たりにし、震災直後には増税もやむなしとしていた世論も、風向きは変わり増税反対派が多数を占めるようになってきています。

 震災の衝撃は何処へやら、いつの間にやら国民も政治家も官僚も、自分だけが良ければ他人がどうなろうが、日本がどうなろうが知ったことじゃないと言う行き過ぎた個人主義?利己主義?に逆戻りしてしまっています。

 こんなに決められない、交われない日本、そんな中で俄然脚光を浴びるのが、橋下大阪市長です。従来の政治家が、支持団体や企業へのしがらみや官僚の慣行主義に縛られて身動きが取れないのに対して、有権者の支持をバックに回りからの批判をものともせず独断専行、ある意味やりたい放題、独裁者と批判されるくらいに全ての政治行政システムを変えようとしています。基本は全ての無駄を排除する事、無駄を廃して少ない予算で最大限の行政サービスを提供することです。

 その中でも最も象徴的に伝えられているのが大阪市の市バスの運転手の給与についてです。民間のバス会社に比べてはるかに高い給与を約40%減らし、民間並みにすると言うものです。当初給与の減額を検討するように指示された大阪市交通局は、20%の減額案を橋下市長に提示したのですが、赤字の市バスの運転手が民間より高い給与というのはあり得ないとして再度検討させた結果、40%の削減となったのです。

 しかしここまでならば、市長が一方的に職員の給与を減らし、職員ばかりに負担を強いると批判を浴びる事になりかねません。所がどっこい、この40%削減案が発表された翌日に橋下市長は、市議会に、自身の給与(月額142万円)を42%カットして同82万円とする特例条例改正案を提出すると発表したのです。

 トップはまず自身が身を削ってこそ、はじめて部下はトップを信頼し従うものです。これが分かっていてもできないのが、今の行き過ぎた利己主義です。自分の利益だけは何としても確保し、他人のことはどうなろうがお構いなし。消費税の増税にしても公務員給与の削減、議員報酬の削減、議員定数の削減等々、お題目を並べて議論するポーズはとりますが、政治家や公務員が身を切る所を未だかつて国民は見たことがありません。

 政治家や行政は、年金問題でも議員年金や公務員共済年金の特権は放置したままで、給付年齢の引き上げや給付財源確保のための増税など一般国民に負担増加を強いるばかりです。国民の範たるべき政治家や公務員がこの体たらくでは、国民が財政赤字そっちのけで高度な医療や福祉を要求するのも仕方がないことでしょう。結局、国民全てが政治家や行政を見習い、自分だけが良ければ、他人がどうなろうが国がどうなろうが知ったことじゃないと言う情けない国民に成り下がってしまったのかも知れません。

 しかし、国民全てが「親方日の丸」主義の都合の良いことが長続きするはずもありません。税収がないのに国から政治家が、公務員がそして国民が何とかお金を搾取し続け、これを賄うために国は国債という名の借金を続けるているのです。言わば国民全てが国の寄生せいているような状態ですから、国家財政はいずれ返済不能に陥り破綻するしかないのです。

 不幸にして起きてしまった東日本大震災は、個人の利益を最優先にした行き過ぎた利己主義に警鐘を鳴らすための神の仕業かも知れません。人は自分一人で生きて行くことは出来ないのです。社会が在り国が在ってこそ、個人の生活があること忘れてはいけません。

 震災後一年が経ち、いつの間にか震災の教訓を忘れつつある今の日本の状況を見ると、行きすぎた利己主義を戒めるために神がもう一度、私たちに大きな試練をお与えになるのではないかと心配になります。

 そうなる前に、国民の範たるべき政治家や官僚そして公務員がまず我が身を削る事を国民に率先して示し、国民も自立し社会のために生きることの大切さを自覚して、日本が決められる国、変わる国になる事を願ってやみません。

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