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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

日本の医療費は安すぎる?!院長コラム

2011/02/01 

 国会が始まり社会保障費の増大に対応して、いよいよ消費税の増税が大きな話題となっています。確かに高齢者の増加により医療費の増加は避けられないのかも知れませんが、日本の個々の医療費単価は、一般の国民の認識よりも安いような気がしてなりません。

 昨年末に私の名古屋から遊びに来ていた母が夜8時くらいに突然の目まいを訴え嘔吐したため、福岡市急患診療センターを受診しました。診察と脳のCT撮影を受け、大きな異常はないとのことでしたが、嘔吐が治まらないため点滴をしながら救急車で病床が開いていた病院にそのまま入院しました。翌日には目まいや嘔吐は改善しましたが、原因がはっきりしないのでもう一日入院し、血液検査等の内科的検査と脳の造影CT検査を受け異常がないとのことで結局2泊3日の入院で無事退院することが出来ました。

 退院後に母に病院の領収書を見せてもらうと急患センターと入院した病院の費用を合計しても母の支払いは10,000円位で、その少なさに大変驚きました。高齢者医療で1割負担なので実際の医療費は100,000円位なのでしょうが、それにしても安すぎます。夜間の診察、二度のCT 検査おまけに入院時の食事まで含めてこれで、病院は採算が取れるのかと人ごとながら心配になってしまいました。医師や看護師、レントゲン技師等々沢山の人々の手を煩わせ、数千万円するCTを使ってこんな費用、安すぎませんか?これがホテルに泊まって食事をして、数千万円する機械を使って何かしたとしたら、幾ら費用がかかることやら。
 
 どう考えても日本の医療費は安すぎる、だから病院の倒産が後を絶たないのです。一部のやり手?医師の派手な暮らしが、目立つので医療費を抑制しろと言う世論が多いですが、これは大きな間違いだと思えて仕方ありません。幾ら医療費を抑制したとしても医療機関のトップに立つ医師は、従業員の給料や薬品の仕入れコストをトコトン下げ自分の利益だけを守ることも可能です。結局医療費を下げても不利益を被るのは患者であり従業員ばかりと言ったことになりかねません。おまけに拝金主義に走った一部の心ない医師のために多くの心ある医師が経済的に追い込まれ、引いては患者さんの求める「良い先生」がいなくなることになってしまいます。

 それでは、個々の医療費を上げ且つ総医療費を抑制するにはどうしたら良いのでしょうか?難しい問題ですが、それを解決する第一歩はやはり患者負担額の値上げです。特に高齢者の1割負担は低すぎます。セーフティーネットとして高額療養費制度がありますから、その範囲内は高齢者であろうとも3割負担とすべきです。こう書くと老人いじめと言われそうですが、今では高齢者が社会的弱者とは限りません。年金暮らしのお年寄りよりも、非正規労働の20代30代の若者の所得の方が少ない場合も多いのが現実です。忙しくて風邪をひいても中々病院に行けない勤労者がドラッグストアで1,000円を超える風邪薬を買い、時間に余裕のある老人が日課のように病院に通い数百円いや数十円の治療費しか支払わない。これは、どう考えてもおかしな話ではないでしょうか?

 高齢者医療は、患者負担が少ないので医師も患者の訴えがあれば、本当に必要かどうか疑問のある薬を処方し、また患者側ものみもしないかも知れない薬を貰う、結局無駄な医療費の温床になってしまいます。検査に関しても同じこと、医師の診断に対する費用が少ないため検査で費用を上げる、患者さんは大した負担じゃ無いので安心のために何でもかんでも検査を受けたがる。ジェネリック薬の普及に関しても患者負担が少ない高齢者医療では多少薬代が下がっても、患者の負担に大きな変動はなくあえてジェネリック薬を選ぼうとしないのは当たり前です。諸外国に比べてジェネリック薬のシェアが上がらないのは、こうした保険制度の為。
 
 やはり誰しも自分の懐が痛んでこそ厳しいチェックを行いますから、医療費の無駄を減らすには患者負担を増すのが一番です。

 そして、無駄な検査や薬を減らした費用で、医師の診察や手術等、人が関わる所にお金を回すことが必要です。そうすれば医師は患者さん一人一人に時間をかけ診療することも出来ますし、手厚い看護を受ける事も出来るようになります。小児科や産科などにの診療報酬も増やすことも可能になるはずです。

 かつて民主党は、公共事業を減らし社会保障費を増やす「コンクリートから人へ」をスローガンにしていましたが、医療の分野では「検査や薬から人へ」を実行することが急務です。それにはまず、受益者である患者さん自身が医療費を厳しくチェックし、無駄な医療費を減らす努力をすることが第一です。そのための第一歩が患者負担の増額なのです。

 心ある医師や医療関係者が本当に患者さんの為に力を注げる様な医療制度にするためには、政治や行政任せではなく、医療現場にいる医療関係者と患者さんが信頼関係を築き共に努力することが求められているのです。

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