子供の貧困院長コラム
2016/09/01 現代社会
NHKの子供の貧困を特集した報道番組で取り上げられた女子高校生の生活環境に対して、ネット上でそれが本当に貧困なのかと疑問が投げかかられ、それに対して片山さつき参議院議員がツイッターでコメントしたことで子供の貧困が注目を集めています。ネットを見てみると、母子家庭で貧困のために夢であるアニメーション関係の仕事に就くための学校に進学できないと報道されていたのに、自室の風景や高価な趣味のコレクション、食事風景をSNSで投稿していたことが暴露され、「貧困ではない」という批判が起きていました。
ネットでこの女子高生を批判している人達は、いわゆる飢えてしまう、住むところがない、着るものがなくて凍死してしまう様な状態を「貧困」と捉えているのでしょうか?一般の人だけでなく、前衆議院の杉田水脈さんまでもが高校生が貧困とは程遠い生活をしていた断じ、このNHKの報道はねつ造であり、この少女は「嘘をつけばどうなるか」ということについてとても貴重な体験をしたのではないかと超が付くほどの上から目線のブログを書いていました。現在の社会で、貧困とはどんな状態を言うのでしょう?それがハッキリ認識されていない、貧困の定義が一般に浸透していないことが、NHKの番組に対して意見の対立が起こる原因だと思います。
日本では、社会保障制度の充実でホームレスなど一部の人を除いて絶対的貧困状態にある人はほとんど存在していないと思いますから、子供の貧困で問題としている「貧困」は「相対的貧困」です。そしてその目安として相対的貧困率が用いられますが、相対的貧困率とは「等価可処分所得」の中央値のの半分以下所得の人の割合です。
そして、日本の貧困ライン(2012年時点)は単身で122万円/年(等価可処分所得)であり(月に約10万円しか使える所得がない状態)。2人世帯だと173万円/年(月に14.4万円)、3人世帯だと211万円/年(月に17.6万円)、4人世帯だと244万円/年(月に20万円)です。そして、この所得以下で暮らしている人の割合が16.1%、つまり6人に一人居るという事です。さらに、子どもの貧困率は16.3%、一人親家庭の貧困率は54.6%と、非常に高くなっています。
おまけに年々等価可処分所得の中央値は減少しているにもかかわらず、子供の貧困率は年々上昇してるのです。貧困率の基準となる貧困ラインの金額が下落しているのに、貧困率が上がっているのですから、相対的な基準ではなく、一定金額の基準に貧困層を設定した場合には、貧困層は貧困率以上により増加しているのです。
そして、日本の16.1%という貧困率は、OECDの32ヵ国中、下から6番目、NHKの番組で紹介された女子高校生に厳しい指摘をした人達はこの現状を認識しているのか疑問でなりません。
先月の院長コラムに書いたように社会の安定を保つためには、格差の拡大が防ぐ事が第一です。実はその第一歩が子供の貧困の解消、子供の教育格差の解消にだと思います。
政府は高校授業の無償化や返済義務のない奨学金制度等で教育格差の解消に努めていると言いますが、子供を育てる、教育するのにかかる費用は授業料に留まりません。義務教育の間も公立ならば授業料や教科書代はかかりませんが、カバンやノートそして制服等の衣料品、様々な費用がかかります。
そして費用がかかる物は、全てが格差、差別に繋がります。せめて子供の間、学校に居る時間だけでも、全ての子供達が同じ環境で過ごせるように出来ないものでしょうか?その為には学業に関わる物全てを国が支給するしか有りませんが、それがそんなに難しい事でしょうか?全てを支給するというと想像がつかないかも知れませんが、実はそんな学校がちゃんと存在しているのです。それは、防衛大学校。生徒は学生ですが、同時に自衛隊員、公務員で全員寮に住み下着から制服、文具まで全て支給されます。そして毎月109,400円(平成27年4月現在)の手当も支給されます。
これと同じように義務教育の間、就学必需品を支給し、子ども手当を支給すれば、子供の貧困、教育格差は一瞬にして解消です。これで子育てに関するお金の心配がなくなりますから、少子化の進行も食い止められることは間違い有りません。
しかし、何時ものようにここで問題となるのが財源の問題です。民主党政権で子ども手当 1人月額26,000円を実現するための財源 2兆2800億円を確保できず、公約を実現することは出来ませんでした。その後自民党政権では、所得制限を設けたりして給付世帯を抑制しましたが、結局月額1万円の児童手当が中学生まで支給されるに過ぎません。 政府はアベノミクスでデフレ脱却を狙いましたが、思惑道理にいかず景気回復のため更なる公共事業の拡大を行う構えです。そんなお金があるのなら、公共事業に投じるよりも将来を担う子供達に投資するべきでしょう。赤字国債を発行しても、景気が良くなり将来税収が増えれば問題ないとして公共事業を増やすよりも、子供への投資、子ども手当の充実の方が確実に景気を良くするはずです。
デフレの原因は内需の不振、つまり国民がお金を使わなくなったことが最大の原因です。政府の考えは公共事業を増やせば仕事が増え所得が増加し、それに伴って消費が増えるという、上から下へのお金の流れ、トリクルダウン理論らしいですが、バブル崩壊以来何度これをやっても成功しなかった事は誰でも知っているはず。
それよりも、本当にお金を必要としている、つまり消費が旺盛な子育て世代に直接お金を届け、消費を増やすことで景気の回復を図る方がずっと早道でしょう。
当然財源は不必要な公共事業のカットと相続税の活用です。高齢化社会を迎えた日本では出生数よりも死亡者数の方が増えますから、単純に考えれば生まれた来る子供達はより多くの先人の財産を引き継ぐことになります。ですから、相続税収は着実に増加しています。現在は1,000万円以下の相続では相続税はかかりませんが、小額の相続でも相続税を徴収する事にすせば飛躍的に税収は増加します。相続税に加えて現在は国が没収している相続人の居ない故人の財産を特定財源として全て子供のための予算に支出する事とする訳です。
異論もありましょうが、故人は自身の子供ためだけでなく、次の日本を背負っていく子供達に遺産を引き継ぐと考えればどうでしょう。「死して尚、未来の社会に貢献する」なんて、カッコ良すぎです。私が人生を全うする時までにそんな制度が出来ていることを願わずにはいられません。
ネットでこの女子高生を批判している人達は、いわゆる飢えてしまう、住むところがない、着るものがなくて凍死してしまう様な状態を「貧困」と捉えているのでしょうか?一般の人だけでなく、前衆議院の杉田水脈さんまでもが高校生が貧困とは程遠い生活をしていた断じ、このNHKの報道はねつ造であり、この少女は「嘘をつけばどうなるか」ということについてとても貴重な体験をしたのではないかと超が付くほどの上から目線のブログを書いていました。現在の社会で、貧困とはどんな状態を言うのでしょう?それがハッキリ認識されていない、貧困の定義が一般に浸透していないことが、NHKの番組に対して意見の対立が起こる原因だと思います。
日本では、社会保障制度の充実でホームレスなど一部の人を除いて絶対的貧困状態にある人はほとんど存在していないと思いますから、子供の貧困で問題としている「貧困」は「相対的貧困」です。そしてその目安として相対的貧困率が用いられますが、相対的貧困率とは「等価可処分所得」の中央値のの半分以下所得の人の割合です。
そして、日本の貧困ライン(2012年時点)は単身で122万円/年(等価可処分所得)であり(月に約10万円しか使える所得がない状態)。2人世帯だと173万円/年(月に14.4万円)、3人世帯だと211万円/年(月に17.6万円)、4人世帯だと244万円/年(月に20万円)です。そして、この所得以下で暮らしている人の割合が16.1%、つまり6人に一人居るという事です。さらに、子どもの貧困率は16.3%、一人親家庭の貧困率は54.6%と、非常に高くなっています。
おまけに年々等価可処分所得の中央値は減少しているにもかかわらず、子供の貧困率は年々上昇してるのです。貧困率の基準となる貧困ラインの金額が下落しているのに、貧困率が上がっているのですから、相対的な基準ではなく、一定金額の基準に貧困層を設定した場合には、貧困層は貧困率以上により増加しているのです。
そして、日本の16.1%という貧困率は、OECDの32ヵ国中、下から6番目、NHKの番組で紹介された女子高校生に厳しい指摘をした人達はこの現状を認識しているのか疑問でなりません。
先月の院長コラムに書いたように社会の安定を保つためには、格差の拡大が防ぐ事が第一です。実はその第一歩が子供の貧困の解消、子供の教育格差の解消にだと思います。
政府は高校授業の無償化や返済義務のない奨学金制度等で教育格差の解消に努めていると言いますが、子供を育てる、教育するのにかかる費用は授業料に留まりません。義務教育の間も公立ならば授業料や教科書代はかかりませんが、カバンやノートそして制服等の衣料品、様々な費用がかかります。
そして費用がかかる物は、全てが格差、差別に繋がります。せめて子供の間、学校に居る時間だけでも、全ての子供達が同じ環境で過ごせるように出来ないものでしょうか?その為には学業に関わる物全てを国が支給するしか有りませんが、それがそんなに難しい事でしょうか?全てを支給するというと想像がつかないかも知れませんが、実はそんな学校がちゃんと存在しているのです。それは、防衛大学校。生徒は学生ですが、同時に自衛隊員、公務員で全員寮に住み下着から制服、文具まで全て支給されます。そして毎月109,400円(平成27年4月現在)の手当も支給されます。
これと同じように義務教育の間、就学必需品を支給し、子ども手当を支給すれば、子供の貧困、教育格差は一瞬にして解消です。これで子育てに関するお金の心配がなくなりますから、少子化の進行も食い止められることは間違い有りません。
しかし、何時ものようにここで問題となるのが財源の問題です。民主党政権で子ども手当 1人月額26,000円を実現するための財源 2兆2800億円を確保できず、公約を実現することは出来ませんでした。その後自民党政権では、所得制限を設けたりして給付世帯を抑制しましたが、結局月額1万円の児童手当が中学生まで支給されるに過ぎません。 政府はアベノミクスでデフレ脱却を狙いましたが、思惑道理にいかず景気回復のため更なる公共事業の拡大を行う構えです。そんなお金があるのなら、公共事業に投じるよりも将来を担う子供達に投資するべきでしょう。赤字国債を発行しても、景気が良くなり将来税収が増えれば問題ないとして公共事業を増やすよりも、子供への投資、子ども手当の充実の方が確実に景気を良くするはずです。
デフレの原因は内需の不振、つまり国民がお金を使わなくなったことが最大の原因です。政府の考えは公共事業を増やせば仕事が増え所得が増加し、それに伴って消費が増えるという、上から下へのお金の流れ、トリクルダウン理論らしいですが、バブル崩壊以来何度これをやっても成功しなかった事は誰でも知っているはず。
それよりも、本当にお金を必要としている、つまり消費が旺盛な子育て世代に直接お金を届け、消費を増やすことで景気の回復を図る方がずっと早道でしょう。
当然財源は不必要な公共事業のカットと相続税の活用です。高齢化社会を迎えた日本では出生数よりも死亡者数の方が増えますから、単純に考えれば生まれた来る子供達はより多くの先人の財産を引き継ぐことになります。ですから、相続税収は着実に増加しています。現在は1,000万円以下の相続では相続税はかかりませんが、小額の相続でも相続税を徴収する事にすせば飛躍的に税収は増加します。相続税に加えて現在は国が没収している相続人の居ない故人の財産を特定財源として全て子供のための予算に支出する事とする訳です。
異論もありましょうが、故人は自身の子供ためだけでなく、次の日本を背負っていく子供達に遺産を引き継ぐと考えればどうでしょう。「死して尚、未来の社会に貢献する」なんて、カッコ良すぎです。私が人生を全うする時までにそんな制度が出来ていることを願わずにはいられません。