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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

働くということ院長コラム

2004/12/01 

  日本経済新聞に”働くということ”のタイトルで連載されておりました記事が、単行本(「働くということ」日本経済新聞社編)として出版されました。この記事は、若者たちの間では、フリーターや「ニート」(Not in Education, Employment or Training つまり教育、就職、職業訓練のいずれとも無縁の状態)が珍しくなく、中高年ではリストラにより職を奪われる現代社会の中で、働く意味を問いかける連載で私もスクラップして子供に読ませていました。
 ”明日は今日より豊かになる ”と誰もが信じられた高度成長の時代と違い、現代社会では誰もが明日を信じて働くことができなくなっています。高度成長の時代には今の暮らしは苦しくとも、一生懸命働けば今日より明日は豊かになると誰もが思えたわけです。しかし、今では今日は貧しくないけれど将来はどうなるかわからない。リストラで職がなくなるかもしれない、町にあふれるホームレスも他人事とは思えない。一生懸命働いてきた親たちが、こうした不安を訴えるのを見て、若者たちは一生懸命働くことに疑問を感じ、親も自信を持って 子供たちに将来への助言を与えることができないのが現状ではないでしょうか。
 私自身も、高1と中2の二人の子を持つ親ですが、子供の将来の職業についてどうアドバイスして良いのかいつも困っています。私は、だだ自分の好きな仕事についてもらいたいと思っています。好きな仕事でないと本当に苦しいときに頑張れない、頑張らなければ良い結果は生まれない。だから好きな仕事、自分にあった仕事を見つけてもらいたいと願っています。
 私を例にとれば、高校生までは大きな目標もなく成績も目立たない生徒でした。高校3年で進路を決める頃、歯科医の儲けすぎがテレビ等に取り上げられ、歯科医療に疑問を感じたのが歯科医を目指した発端でした。当時の歯科医師の言い分は、保険の治療では経営が成り立たないので、きちんとした医療を行うには自費診療が必要だとの事だったと思います。 それまで、獣医師になろうと思っていましたが、この報道を見て「自分なら健康保険制度の中できちんとした医療をやってやる。」と私は思いました。それから、何とか歯学部に入学し歯科医なりましたが、歯科医師免許を取った後は、健康保険制度とは最も関係ない矯正歯科の分野に進んでしまいました。その後は、「患者第一主義」、治療技術では誰にも負けない矯正歯科医になろうと心に決めて日々努力し、ここまで何とかやってきました。そして、今も日々努力の毎日です。今では、治療が終わり矯正装置を外した時の患者さんの笑顔が、私の喜び、やり甲斐となりました。思い起こせば、苦しい時もありましたが、その度にその決意と患者さんの笑顔を思い出し乗り切ってきました。それができたのは、将来の職業を誰に言われることなく自分で決め、そしてやり甲斐のある歯科医の仕事が好きだからだと思っています。
 この本の中には、様々な人々の働きぶりが紹介され、仕事に対する考えが描かれています。若者が将来を考えるときの手がかり、あるいは親御さんが将来について考え始めたお子さんに助言を与えるときの手がかりがこの本の中にあるような気がします。
 私も自分の子供たちに読ませるつもりです。一度お読みになってはいかがでしょうか?

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