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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

審美歯科は医療と言えるか?院長コラム

2009/05/01 

 先日、審美歯科で数年前治療し再び乱れてきたと訴える患者さんが来院されました。審美歯科での治療は、出っ歯を治すために前歯6本の神経を取り歯を切り落として差し歯にし、歯の形態を変えると言う物でした。一時的に見かけは整いましたが歯の根は異常な位置のままなので無理な力がかかり乱れてくるのも当たり前です。

 この患者さんを矯正治療するとなると異常な形態にしてしまった歯の形を再び元の正常な形に作り直した上で、歯を動かすことになります。矯正治療を行う事で歯並びは正常に(骨の中に有る歯の根の部分も含めて)なりますが、削ってしまった歯は、元に戻りません。お金と時間を失っただけではなく、大切な自分の歯の寿命を短くしてしまったのです。

 歯は、石のように固く生きているように思えないかも知れませんが、中心には神経血管があり、歯の大部分を占める象牙質の中には細い管がありその中を組織液が流れており文字通り歯は生きているのです。生きているからこそ、虫歯になった時歯が痛くなるのです。そんな生きている歯を見かけを変えるために、削って、神経を取って歯の命を絶ってしまう処置が審美歯科の処置なのです。神経を取ってしまった歯は、健康な歯に比べ脆くなり長持ちはしませんし、歯を削って被せる事で歯の形を変え異常な形態にすれば歯を支えている骨に異常な力がかかり、何れ歯がダメになることは当然です。

 例えば足の形が少しおかしいからと言って、足を切り落として義足にする事があり得ますか?しかし、見かけのために歯を削るのはそれと同じ事なのです。審美歯科と美容外科どちらもキレイになる事を売り物にしていますが、そこには大きな違いがあります。審美歯科で歯を削ることは、歯のかむという機能を低下させそして寿命を短くしてしまうのに対して、美容外科で目をぱっちりさせたり、鼻を高くしたりしても、視力や臭覚に悪影響はなく、ましてや将来目が見えなくなったり臭覚を失ったりすることはありません。仮に目の機能や鼻の機能に影響があるなら美容外科を受診する人が居るとは思い得ません。

 それなのに、歯に対しては患者さんも歯科医も歯は生きている臓器、器官なんだという意識が低く、無造作にその命を絶ってしまう、それが審美歯科です。本来歯科の診療科目に審美歯科などと言う物はありません。厚生労働省が認めている歯科の標榜科目には、歯科、口腔外科、矯正歯科、小児歯科があるのみなのです。それなのに大学病院の中にまで診療科目として審美歯科を挙げる所もある現状は何なんでしょうか?

 歯科医として、歯の命を大切にしない歯科の医療の現状に大いに疑問を感じます。医療とは、本来失われた機能を回復し、あるいは異常な部分を正常にして、人々の健康を維持増進する事のはずです。果たして見かけのために生きている人の器官を傷つけ、寿命を短くする審美歯科が医療と言えるのでしょうか?

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