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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

診療報酬改定院長コラム

2006/04/10 

 4月1日より診療報酬の改定が行われました。今回の歯科診療報酬の改定は日本歯科医師連盟不正経理事件の影響もあり過去にない大きさで、それに関する準備に忙殺され院長トークを書くのが遅くなってしましました。
当クリニックで健康保険を適用した治療を受けておられる患者さんは、主に顎変形症と言われる顎の骨を切る手術を必要とする方達で患者さんの中で約10%ぐらいです。それでも今回の改正で、患者さんにお渡しする書類が多数増えその書式の準備等で大変な事務作業が発生しました。私の所のような個人のクリニックですと結局その作業は院長一人で頑張ることとなり診療が終わった後夜遅くまで一人診療室で残業する羽目になってしまいました。
 今回の改正で何がそんなに大変になったかというと、患者さんに指導したり、説明したことを文書で提供することと、そしてその控えをカルテに添付する事が義務づけられたことです。また、さらにカルテへの記載内容も細かく指定され、こうした文書と同じような内容をカルテにも記載しなくてはいけなくなりました。ですから、診療室での事務的作業に要する時間は膨大となり、本来の診療業務が、今まで通り行えるのかが心配です。
 こうした今回の改正が良質な医療の提供に繋がるのでしょうか?歯科医師や歯科衛生士などの医療従事者が時間の多くを事務的作業に費やすことが良質な医療の提供に繋がると思いますか?患者に文書を作り手渡すのと、患者さんの顔を見て目と目を合わせ指導するのとどちらに多くの時間を費やした方が良質の医療と言えるのでしょうか?また、患者さんに渡した文書の控えをカルテにする必要が何処にあるのでしょうか?手術の承諾書のような、いわゆる契約に関する書類であれば控えをとっておく必要も理解できますが、説明や指導であれば、その内容をカルテに記載して後で分かるようにしておけば十分でしょう。
 また、カルテの記載内容を法律で定めるとはどういう事でしょう。カルテは、本来医師や歯科医師が治療上必要なことを記録し、その治療内容を後からきちんと確認できれば十分なはずで、記載する内容は医師の裁量に任されるべき物ではないでしょうか?治療上重要なことは患者さん一人一人について違うはずですから、法律で定められた内容だけをカルテに記載すればよい訳があるはずもなく、医療従事者がその一人一人にあった内容をカルテに記載していく必要があるのではないでしょうか?
 このように色々と矛盾ばかりが目立つ今回の診療報酬の改定ですが、私たち医療従事者は国から診療報酬をもらう弱い立場であり、医療費抑制が叫ばれる現在の社会情勢では、国に対して影響を与えることはとても出来ません。ですから医療サービスを受け、その費用を窓口負担金や健康保険料として負担している患者さん自身が良質な医療を受けるためにはどうしたらよいかを真剣に考え、行動を起こしていかなければ国家財政が緊迫している日本の医療水準は、確実に低下していきます。どうかもう一度、日本の医療制度について真剣に考えてみてください。

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