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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

熊本地震の教訓院長コラム

2016/05/02 社会問題

4月14日の夜突然、携帯が「地震です。地震です。」叫び始めましたが、初めてのことで何が起こったのか私は直ぐには理解できませんでした。一息置いて、地震が来るんだと理解しましたが、二階にいた私は一階で入浴中の妻の所に行って「地震らしいよ。」と言うのが精一杯。そういった習慣、地震の揺れが襲ってきました。その間は多分30秒弱だったと思いますが、結局何の対策を打つことも出来ませんでした。ブレーカーを落とすとか、机の下に隠れるとか、色々地震に備えての対策は知ってはいましたが、いざとなると何も出来ずに、緊急地震速報がなってから揺れが車での時間を無駄にしてしまったのです。

 2005年の福岡西方沖地震で結構大きな地震を経験していたにもかかわらず、11年の時間の経過でその経験を忘れてしまったかのように何もできませんでした。日頃からの心構えや訓練が大切と解ってはいますが、実際に地震が来た時には不意を突かれて、驚き何も出来ないのが普通だと改めて思いました。

 今回の熊本地震は地震の規模を示すマグニチュードや揺れの程度を示す震度が阪神淡路大震災を越える程だったのにも関わらす、死者の数は、4月30日現在で49名、エコノミー症候群などの震災関連死の疑いは17人で、阪神大震災の6,402名や東日本大震災の13,135名に比べて非常に少ないのが何よりの幸いでした。

 死者の数が少ない熊本地震と多数の犠牲者を出した阪神淡路大震災や東日本大震災との大きな違いは、地震の規模や振れの大きさの違いではなく、熊本地震では地震の後に大規模な火災や津波が発生しなかったことです。つまり、地震で被害(犠牲者)拡大するのは揺れによる建物の倒壊ではなく、地震の後の火災や津波だったのです。

 つまり備えるべきは、地震本体よりもその後の火災や津波である事がハッキリしました。所が現在の日本の地震対策の柱は相変わらず「地震予知」。一体どれほどの税金が地震の予知のために使われているか調べてみると、地震調査研究に関する予算は毎年100億円前後で推移していたが、阪神淡路大震災後の96年度は150億円、97年度は200億円その後は徐々に減って100億円前後の水準が続いていたが、東日本大震災を機に12年度は350億円、13年度も200億円でした。

 長きに渡りこれほど沢山の予算を使いながら、実際の所地震の予知は全く出来ていないし、出来そうにもありません。地震が起こった後で、「どこそこに活断層があった」と言って、原因を後付けしているようにしか思えません。理由の後付が実証されたような事が今回の熊本地震で有りました。テレビに登場する地震学者や気象庁職員は14日のマグニチュード6.5が本震でその後余震が続くと言っていたにも関わらず、16日にはそれを越えるマグニチュード7.3の地震が発生すると、14日の地震は前震で16日の地震が本震と訂正する始末です。果ては、地震が収束するまでは、どれが前震、本震、余震なのかは分からないと話していました。

 結局の所、地震はどこで起こるのかも、その規模も起きてみなければ分からない、出たとこ勝負。地震の予知など全く出来ないと言うのが本当のところなのです。東日本大震災の後、一部の心ある地震学者達は自分の間違いを認めて地震予知は不可能である表明しましたが、東大地震研究所を頂点とする日本の地震学者の大半は、従来通り地震の可能性がある事をちらつかせて、予算を獲得して自分達の領域を守っています。今回、多くの人を驚かせた「緊急地震速報」にどれほどの予算がつぎ込まれ、どれだけの人命を救ったのでしょうか?これが本当に効率的な国の予算の使い方なのか?疑問で仕方ありません。

 本来なら、地震調査研究の予算を震災後の火災や津波対策に活かした方が、防災の観点からよほど効率的だと思うのですが、長い時間で築かれた「地震予知」の権益を手放さない国のシステムがそこには存在するのでしょう。原発事故があって世論が原発の停止を訴えても、原発を生業としている公務員や原発関連企業の利権集団いわゆる「原発村」の力が強く、結局原発は再稼働してしまう。地震調査でもこれと同じ構図で、「地震村」が存在するのでしょう。

 先にも述べたように防災を最優先に考ええるなら、限りある予算を「地震予知」よりも震災後の火災と津波対策に投じるのが合理的です。例えば震災後の火災の70%弱は電気火災でありそれを防ぐ最も効果的な手段とされているのは感震ブレーカーですから、これを全世帯に設置すれば震災後の火災を大きく減らすことが出来ます。経産省は震災対策として感震ブレーカーの設置を推奨していますが、予算は僅かばかりで感震ブレーカーの設置を勧める広報活動程度です。感震ブレーカーは、簡単な物であれば3,000円程度すから、地震予知の年間予算100億円をこれに当てれば、250万世帯に設置できます。福岡市の世帯数は73万世帯ですから、数年すれば人口密度の高い都市部の前世帯に感震ブレーカーが設置できる事になります。

 国の政策は一度決めたら何があっても変更されない事を私たち国民はイヤと言うほど見せられてきました。民主党政権に変わった時「コンクリートから人へ」のスローガンの元、八ッ場ダムの工事が中止されそうになりましたがいつの間にか復活したこと、財政難で新幹線の新設を見合わせるとした国会決議もあったのに、いつの間にか九州新幹線、北陸新幹線、そして開業当初から乗車率20%と言う北海道新幹線まで。半世紀以上前に決めた政策が社会情勢や環境の変化に関係なく着々と進められて行っています。行政は、方針を変えることが、自身の間違いを認めることになるので、政策の変更に断固として反対し、そして大きな無駄が生まれ、国民の負担は増えるばかりです。

 今回の熊本地震の犠牲を生かすためにも、行政も民間企業のように常に根本から政策の必要性や効率を検討し、必要なら躊躇なく政策の変更を決断してもらいたいものです。その第一弾が、地震対策の主眼を「地震予知」から「地震後の防災」移すことだと思います。

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