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院長コラムで院長を知ろう!矯正歯科専門医 河合悟が思うこと。

円安とグローバル化院長コラム

2015/05/01 

 この2年余りの急激な円安で社会に色々な変化が広がっています。円安が加速した当初は、輸入物価の高騰とくに原油などのエネルギー輸入費用の高騰で日本経済が多くダメージを受けるとの報道が沢山行われていました。しかし、運良くシェールガス採掘が軌道に乗ったことで、原油価格が大きく下がり、結果として日本のエネルギー輸入費用が大きく増えることはありませんでした。小麦や大豆、牛肉等の輸入食品の価格は幾分上がりましたが、大きく物価を押し上げる程、円安のパワーはなかったのが実情です。

そこで今、注目を集めるのは円安の社会へ与える好影響です。その際たる物は、中国人旅行者の急激な増加とその購買力、いわゆる「爆買い」です。日本の家電メーカーの便座や炊飯器は言うに及ばず、ドラッグストアの大衆薬からコンビニの化粧品まで、日本で売られている物なら、たとえ中国製でもきちんとした検査を受けて安心して購入できると大人気なのです。おかげで昨年の消費税値上げで売上の減少必至と言われた家電量販店の業績も好調、中国人旅行者、様々です。

 先日、会議で東京に出張することになりホテルを予約しようとしたところ、何時ものホテルの料金が50%近く上がっていたのには驚きました。旅行会社の方の話では、外国人旅行者の増加でホテルの予約が取りにくいほどの状況だそうで、ホテル予約サイトでの料金の割引を控えても十分な稼働率を維持できるのでしょう。

そして、東京で見た光景は想像以上、本当に外国人が本当に多いのです。ホテルのレストランで朝食を食べましたが、レストランのお客の半数以上は外国人、中国人を始とする東南アジアの人だけでなく、欧米人やインド等々世界各国から外国人がやって来ているのを実感しました。ココはどこの国だった?と言いたくなる程です。会議は東京駅近くであったのですが、東京駅にも多くの外国人が行き来して、聞き慣れない言葉が飛び交っていました。

 地方都市の福岡でも天神地下街で中国や韓国、あるいはタイなどの東南アジアからの観光客を毎日のように見かける様になりましたが、東京はその一歩先を行ってました。しかし、この円安が続けば、福岡でも東京のように外国人が身近にいるのが当たり前になるのも直でしょう。

 よく考えてみると樋口矯正歯科でもここ数年で、中国、韓国、インドネシア、ウクライナの患者さんが矯正治療を受けています。意識していないだけで、いつの間にかクリニックもグローバル化の影響を受けていたのです。

 以前は、グローバル化と言えば大企業が海外進出したり、あるいは留学で人材が海外に出て行く事、つまり「外へのグローバル化」がもてはやされ、日本の発展に繋がると言われてきました。そしてその時代は円高で海外で海外の物価が日本に比べて安く感じられましたから、企業も人も海外に進出しやすい状況でした。

 しかし、前述のように急激な円安で状況は大きく変わったのです。円安で海外から見た日本の物価は大きく下がり、外国企業や外国人が日本に進出するハードルが大きく下がったのです。今こそ、旅行者だけでなく、ビジネスや留学等で外国人に日本に来てもらい、また海外の企業に日本に進出してもチャンスです。

 円高時には人件費や電気料均等のエネルギーコストが高いとの理由で日本の製造業が海外に生産拠点を移しましたが、円安で生産コストも下がり日本へ生産拠点を戻す日本回帰とも言える現象も起こっています。そこで一歩進めて、日本の企業だけでなく海外企業にも日本に生産拠点を設けてもらう様にするのです。例えば工場の建設に1億円かかるとした時、1ドル80円なら125万ドル必要でしたが、120円の今は83万ドルあまりで済み、約35%のディスカウント。おまけにデフレが続いてきた日本の人件費は、欧米に比べるとただでさえ安くなってきていたのに、そこに35%のディスカウントですから日本進出のメリットは計り知れません。

 しかし為替相場に頼るだけでは、また円高になった時に外国人旅行者も企業も去って行くことになってしまいますから、円安の今、多くの外国人に日本の良さを知ってもらい、日本のファンを作ることが大切です。日本人の真面目さや親切心、おもてなしの心、四季に富んだ自然豊かな環境、治安の良さ、整備されたインフラ等々、外国に比べて多くのアドバンテージが日本にはあるのです。日本人が当たり前と思っている事が実は、外国人にとっては驚きであり、魅力になるのです。

 私も最近知ったのですが、日本の健康保険制度も世界に誇る日本の素晴らしさの一つだと思います。中国からの留学生患者さんが顎変形症の為に外科的矯正治療を行う事になったのですが、彼女は国民健康保険に加入していたので負担する治療費は母国で治療を受けるよりも大幅に安いと驚いていました。私の息子は高校生の時からカナダに留学していましたが、健康保険は日本の民間の保険外支社と契約し高額な保険料を負担していましたので、留学生が国民健康保険に加入できるとは留学生を持つ親にとっては本当にありがたいことなのがよく分かります。そのついでに日本の留学生の国民健康保険の加入について調べてみると、3ヶ月以上の在住には加入義務があり、掛け金は福岡市の場合年額で18,100円、月額に換算すればたった1,500円の掛け金で安心が手に入るのです。

 こんなに留学生に親切な国、きっと世界中に日本しかありません。治安が良くて、健康保険制度も充実していて、安心して子供を留学させられる国として日本を世界中の教育熱心な親たちに紹介すれば、少子化で学生の減少に悩む日本の高校、大学が留学生で溢れ活気づくこと請け合いです。

 国民健康保険は私たちが気づかない、日本の良い点の一例に過ぎません、他にも沢山自分達だけが気付かない日本の良いところがあるはずです。沢山の外国人に日本に来てもらい、多くの日本人と交流することで日本の良いところを知ってもらう事、言わば日本のプレゼンテーションの時間を円安がもたらしたのです。「外へのグローバル化」ではなく、海外から来てもらうことで日本の国内で日本を海外に広める事、それが「内なるグローバル化」です。「内なるグローバル化」で日本のファンを世界中に世界中から愛される国になれば、自ずと国は発展し、国民は幸せになるに決まっています。「外へのグローバル化」から「内なるグローバル化」へのパラダイムシフトが、為替相場に左右されない新しい日本のページを開くキーワードではないでしょうか?

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